4検体 「がんばれよ、分析屋さん」
「おい、起きろ」
お断りします。
もう、変な夢は懲り懲りだ。
ガキの戯言に付き合って、目を覚ましたら巨大ウサギ?
もう、いい加減にしてくれ。
「おい、聞こえているのはわかっているぞ」
わかっているわけないだろ。
俺は何も口に出していないし、目だって閉じている。
寝たふりをしているなんて、気づかれるはずがない。
「我は知っているぞ。
お前、ウサギをナンパしたな」
「いや、ウサギだって知ってたらしねぇよ!!」
「やはり起きているのではないか」
クソ!!
まんまとしてやられた!!
飛び起きて言い訳したのはいいが、相手はあの白髪のクソガキだった。
「ウサギをナンパするとは……。
お前もかわいそうな奴じゃな、誠哀れ」
「……ほっとけよ」
「それで? 仕事はしたのか?」
仕事……? 仕事ってなんだ?
俺はお前に採用! って言われて、気失って、起きて寝て、巨大ウサギナンパして、気失って、今だぞ!?
仕事なんてしてるわけねぇだろ!!
つーか、俺の仕事ってなんだよ!!
「はぁ……。呆れた奴じゃな。
ニート、お前の仕事は分析屋さんだろう?」
「ニートじゃねぇよ、リヒトだ!!」
「どちらでもよいではないか。
それで、分析業務は進んでいるのか。と問うてる」
は……? あれ、まじなやつだったの……?
てかなんも説明されてねぇし、こんな原っぱの真ん中で何をどう分析すんだよ!!
「いや、分析しろって言われてもさ……。
どこでやんだよ。機器も道具もなんもねぇじゃん」
「危機? 何訳のわからないことを言っておる。
そんなの常にあってみろ、絶滅してしまうわい」
「は? 訳わからんのはお前だわ、ガキ!!」
「……ガキ?」
やべぇ……、禁句なのかよ……。
拳を握りしめ、わなわなと怒りに震える少女からは、殺気に近い何かを感じる。
「し、失礼しました!!
ご無礼をお許しください!!」
「ふん! 次ガキと言うてみろ。
お前なんぞ、木っ端微塵にしてくれるわい」
とんだご冗談を! と言いかけて、やめた。
まじで木っ端微塵にされると本気で思った。
意外とこういう時の感は当たる。
「それで、具体的には何を分析すればいいわけ?
土壌? 水質? それとも、大気か?」
「何を言っておる。
肉食獣の分析に決まっておるではないか」
「いや、決まってねぇだろ!!
つーか、肉食獣の分析ってなんだよ!!」
「お前、ちゃんと求人見てきたのか?」
「分析業務の経験者を探してたんじゃないのか?」
「だからそのように求人を出していただろう?
がんばれよ、分析屋さん。お前に全てがかかっている」
こいつとは全く話が噛み合わない。
いや、まて。まて、待て。
そういや、ここはどこだ……?
「あのさ、まずここどこ?」
「ここ? らびらびランドだが」
らびらびランド……?
なんだ、そのセンスのカケラもない名前は。
しかし、さも当たり前のように名前を出されたため、元々良くない頭を必死に働かせる。
らびらびランドっていう場所が、本当にあるのかもしれない。
そんなリヒトの小さな努力は、全く意味をなさないのであった。




