3検体 「うさ、うさ……」「はい、ウサギです」
「大丈夫ですか?」
……大丈夫じゃない。
久々に外に出たからすごく疲れた。
もう、一生外になんか出たくねぇ。
「大丈夫ですか?」
うるせぇな。寝かせてくれよ。
俺は変なガキに絡まれて散々な目に遭ったんだ。
うん……? そういえば、あれから俺はどうなった?
「大丈夫ですか?」
柔らかい心地良い声に3度そう問われ、瞼を開ける。
そよそよと温かい風が頬をくすぐる。
天気がいいのだろう。眩しくて思わず目を細める。
なんだかすごく甘い香りもする。花でも咲いてんのか?
「あ、目を覚ました! よかった!」
声の主が近づくと、太陽が遮られ、理人の顔が影に覆われる。
「どこか、痛むところはありませんか?」
「いえ……大丈夫です……」
なんて優しい声だろう。
きっとかわいい女の子に違いない。
お礼も兼ねて、ご飯にでも誘ってみるか!
身体を起こそうとするが、鉛のように重い。
「急に動いたらダメですよ」
ああ、やっぱり優しい子だ。
顔がよく見えない。
あと少し、もう少しだけ近づいてくれたら見えるのに。
「もう少し、ここで休んでいてくださいね」
その声に応えるように、理人の瞼はゆっくりと閉じた。
「うぅ……」
すごくよく寝た気がする。
まだボーっとする頭を働かせることもなく、目を閉じ寝っ転がったままぐーっと身体を伸ばす。
手に触れる感覚で、自分が寝ているところが芝の上だと言うことに気づいた。
「あ、おはようございます。大丈夫ですか?」
そうだ! この声。
ずっと、俺を心配してくれていた優しいかわいい女の子……。
お礼に食事でもどうですか、お嬢さん。
よし、これで行こう!!
「大丈夫大丈夫!
お礼に食事でもどうですか、お嬢さん!!」
声の主に手を差し出しながら、パッと瞼を開く。
が、太陽の光に思わず目を細めた。
ううん、これじゃあ格好つかないじゃないか!!
そもそも寝っ転がって言うことじゃねぇか……。
「あら、ありがとうございます」
声の主が再び理人に近づき、太陽が遮られる。
今度こそ、麗しのかわいこちゃんとご対面だ!!
……うん? なんか、でかくね?
「どうしました?」
心配そうにその子は理人に顔を近づける。
「やっぱり、どこか痛みますか?」
「う、う、う、うさ、うさ……」
「はい、ウサギです」
白いモフモフが鼻をヒクヒクとさせている。
はい、ウサギです……?
久々に使った頭では処理しきれず、再び理人は気を失った。




