2検体 「お前のがガキだろ!!」
怪しげな求人に応募すると、今すぐ来いとのことで送られてきた住所に来たのはいいが……。
「廃墟じゃねぇか!!」
完全に騙された!!
そりゃそうだよな!!
あんな胡散臭い求人に応募する馬鹿なんていねぇよな!!
俺くらいだよな!! こんなまんまと引っかかるのは!!
「何が、Let's 分析 Life! だよ!!」
悪態を吐き、近くに投げ捨てられていたパイプ椅子を蹴る。
完全に八つ当たりだ。
だが、そんな八つ当たりも上手くはいかず……。
「いってぇ……」
運動不足の身体は全くいうことを聞かない。
足の裏で蹴ろうとした椅子は、見事に足の甲にぶち当たった。
あまりの痛みに、しゃがみ込んで足をさする。
「なんとなんと、下品なガキが来たものだな」
突然現れた声の主に顔を上げる。
高くもなく、低くもないその声の持ち主は、白い髪の10歳程度の少女だった。
「最近の童は、挨拶もまともにできぬのか?」
なんだこのクソガキは。
こんなガキにガキと言われて黙ってるのが大人なら、俺は一生子供でいい!!
「お前のがガキだろ!!」
「失礼な奴じゃのう。雇い主にそんな口を聞くとは」
「雇い主……?」
ああ、なるほど。
そういう遊びがしたいお年頃だよなー!
仕方ねぇな。
相手してやろうじゃねぇか!
この、理人様がな!!
「おい、聞こえぬのかガキ」
「失礼しました! あなた様が私めの雇い主様でしたか」
急に恭しい態度になった理人に、少女は怪訝な表情を見せる。
「馬鹿にしておるのか?」
「いえいえ、滅相もございませんよ」
膝をつき、頭を垂れて見せる。
なんだか楽しくなってきたぜー!!
このクソ生意気なガキをギャフンと言わせてやる!!
「そうか。まぁこれまでの無礼は許してやる。
ところでお前、本当に分析できるのか?」
「えっと……まぁ一応、経験者ですけど……」
少女の射抜くような瞳に、思わず素で答える。
おかしいな。
ただのガキ相手のはずなのに、全てを見透かされているような気がする。
若干、空気が冷たくなったようにも感じるが……気のせいだな!
「なるほど、採用!」
「え!? まじすか!?」
お遊びに付き合ってやっていたことも忘れ、素っ頓狂な声をあげる。
「とりあえず、頑張りたまえ!!」
ポンポン、と少女に肩を叩かれた瞬間、理人の意識は遠退いていく。
「いってらっしゃい、理人くん」
ニートじゃねえよ! リヒトだ!
そう、言い返したいのに体がいうことを聞かない。
クソ!! 怠惰に過ごしすぎたぜ……。
気を失う寸前に見えた少女の頭には、長いウサ耳が見えたような気がした。




