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オフィス・トライメライ 幕張研修所27

 それから私たち四人はデトロイトへと向かった。楽しい楽しいアメリカ旅行。私は心の中だけでそう言ってはしゃいだ。まぁ……。旅行と言っても仕事なのだけれど。


 一二時間のフライトはとても退屈で、私は離陸のときとキャビンアテンダントさんに「ビーフオアチキン?」と言われたとき以外はずっと篠田楓子先生の『エデンなんていらない』という漫画を読んで過ごした。篠田先生の漫画は私にとっての心のよりどころなのだ。辛いとき、悲しいとき、寂しいとき。そんなときはいつも篠田先生の漫画が隣にあった気がする。


 その漫画を読みながら私は『いつか篠田先生みたいな漫画を描いてみたい』と思った。これでも絵には自身があるのだ。少女漫画の構成だってきっとできる。子役なんかより向いているかも……。そんなことを思った――。


「弥生ちゃん!」


 急に叔母の声が耳に響いた。どうやら私は漫画を読みながら寝てしまっていたらしい。


「はーい……。おはよう叔母さん」


「おはよう。気持ちよさそうに寝てたね。そろそろ降りる準備しなさい」


 叔母はそう言うとポニーテールにしていた髪をほどいて手ぐしを掛けた。そしてヘアバンドで再びまとめるとスッと立ち上がった。どうやら飛行機はもうデトロイトに到着しているようだ。


 それから私たちは飛行機を降りてアメリカに入国した。手続きは叔母と蔵田さんがしてくれたので私と鹿島ちゃんは後ろで黙って待っていた。鹿島ちゃんも長旅に疲れたのか目を擦ってボーッとしている。


 入国審査が終わるとすぐにタクシーでホテルに向かった。車窓からは高いビル群と緑地化された公園が見えた。その町並みはどことなく幕張に似ていて妙な親近感を覚える。


 そんな幕張っぽい街を少し走ると目的地のホテルに到着した。


「さぁ着いたわ」


 叔母はそう言うと私たちに降りるように促した。


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