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オフィス・トライメライ 幕張研修所26

 それから私たちはデトロイトへの直行便に乗るために第一ターミナルへ移動した。移動中、叔母たちは何やら世間話をしていた。蔵田さんは新作の衣装がどうだとか、再来月にパリに行くだとかそんな話をしている。その姿は本物のデザイナーみたいだ……。いや、彼はれっきとしたプロの服飾デザイナーなのだけれど。


「鹿島ちゃんもアメリカは初めて?」


 大人たちの後ろについて行きながら私は鹿島ちゃんにそう尋ねた。


「うん。始めてだよ。今回は勉強でついて行くの」


「勉強?」


「そだよー。……私ね、将来叔父さんと同じ仕事したくてさ。そのお勉強!」


 彼女はそう言うと恥ずかしそうに俯いた。そして「縫い物好きだからさ」と付け加える。


「そっかぁ。デザイナーさんになりたいんだね。鹿島ちゃんすごいよ」


「えへへ、ありがとう。まぁ……。まだまだ下手なんだけどね」


 鹿島ちゃんはそう言うと少しばつが悪そうに笑った。その笑顔は年相応の女の子そのもので、さっき見た印象とはだいぶ違う。たぶんこれがこの子の素なのだ。おそらく空港前で見せたのはよそ行き用の顔なのだと思う。


 そうこう話している間に叔母たちが搭乗の手続きを済ませたようだ。叔母の手には二枚のチケットが握られている。


「じゃあ弥生ちゃん。今から飛行機乗るからね」


 叔母さんはそう言うと私の左手を優しく握ってくれた。これから行く見知らぬ土地への道案内でもするみたいに――。


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