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オフィス・トライメライ 幕張研修所24

 春日弥生の話


 テレビドラマの放映が終わってからすぐに次の仕事のオファーがあった。


 今度は『アポカリプティックガールズ~終末魔法少女~』という映画の脇役で、私は見習い魔法少女みたいな役柄だ。要はマスコットポジションってやつだと思う。


 ちなみ他の魔法少女たち……。もとい女優さんたちはみんな高校生だった。主演女優の名前は天沢天音。私と同じで子役出身の女優さんだ。まぁ……。彼女の所属する事務所はトライメライの比ではないほど大きいのだけれど――。


「弥生ちゃん準備できた?」


 叔母は大きめのボストンバッグを肩に掛けると私にそう尋ねた。私は「はーい」とだけ答える。今からお出かけ。行き先はアメリカ合衆国のミシガン州デトロイトだ。


「忘れ物ないようにね。飛行機乗ったらもう戻れないんだから」


「大丈夫だよ。ちゃんとリュックにみんな入れたし。叔母さんがパスポートは持っててくれるしね!」


 私はそう言うとピンクのリュックを降ろしてジッパーを開いて見せた。中には旅に必要なものが一式入っている。……もっとも、本当に必要なものは全て叔母が手配してくれたのだけれど。


 それから私は叔母の車の助手席乗って成田空港へ向かった。初の海外旅行。そう考えると期待と不安が同時にこみ上げてきた。しかも今回は叔母も一緒に来てくれる。これ以上に心強いことはないと思う。


「天沢さんたちは先に行ってるからね。なんか撮影以外にもやることあるんだって」


 叔母はそう言うと車の窓を開けてタバコを口にくわえた。セブンスター。たしかそんな名前のタバコだったと思う。


「お買い物とか?」


「違う違う! あっちのメディアが面白がって取材申し込んだんだって……。まぁ天沢さんは小さい頃にあっちの映画にも出たことあるからねぇ。それで急遽ってことみたい」


 叔母はそこまで話すと「あの子は別格だから」と言ってくわえていたタバコに火を付けた。私は「ふーん」とだけ返す。


 そうこうしていると叔母の車は高速道路の乗り口に入った。そして成田方面へ。成田……。母の職場のある街だ。


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