オフィス・トライメライ 幕張研修所19
結論から言えば私のドラマ初出演は大成功だった。トライメライ始まって以来最大の収益だと叔母が氷川さんや逢川さんに話していたので間違いないと思う。(話は前後するが叔母は同業他社から氷川さんと逢川さんを引き抜いていた)
……とは言っても私自身はそこまで成功したという実感は持っていなかった。言われたことを言われたとおりしただけ。それこそプリンを美味しそうに食べて「みんなで食べると美味しいね!」と言うのと大差なかったと思う。
でも……。幸か不幸か私には役者としての才能があったらしい。少なくともNGはほとんど出さなかったし、それは間違いないはずだ。だから私は六歳で天才子役としてもてはやされる羽目になった。
正直に言えばそれは私が望んではいないことだった。叔母が喜んでくれさえすれば良い。それ以外何もいらない。本気でそう思っていたのだ。チヤホヤなんかされたくない。才能や容姿を褒めないで欲しい。そうやって褒められるのは……。なんか母みたいで嫌だ。
きっと私は母に似ているのだ。器用なところ。先天的に愛嬌を振りまいてしまうところ。そんなところがきっちり遺伝してしまったのだと思う。
おそらく……。私は可愛い顔をしているのだ。そして表情の作り方が必要以上に上手いのだ。子役としてはこれ以上ないくらいに。大人たちがチヤホヤしたくなるぐらいに――。
そして気がつくと私の日常は完全に子役を演じることそのものになっていた。普段の私と演技する私。どちらが本当の春日弥生か分からなくなるほどに。




