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オフィス・トライメライ 幕張研修所15

 それから私たちはカウンター席の横を通り過ぎて奥の座敷に通された。カウンターでは常連客らしき男性たちが赤い顔でビールを飲んでいた。あとはテーブル席に大学生くらいのカップルが一組。見た感じ今日はそこまで混んでいないらしい。


 奥の座敷は六畳くらいの小綺麗な和室だった。その部屋には床の間があり、部屋の奥には丸い形の障子がはめ込まれていた。素人の私から見てもかなりお洒落な部屋だと思う。


「メニューにないものでも出せるから気軽に言ってね! 香澄に聞けば出来るかどうか分かるからね」


 女将さんはそう言うと微笑んでカウンターに戻って行った。本当に感じが良い。なんでこんな素敵な人が蔵田店長みたいな人と結婚したんだろう? ……ととても失礼なことを思った。


「叔母さんもああ言ってるから食べたいものがあったら言ってください。たぶん私も台所手伝うとは思うけど」


「ありがと……。とりあえずメニュー見てから決めるね」


 弥生さんはそう言うとメニューに目を通し始めた――。


 それから私たちは各々料理を注文した。私は天ぷら定食を。弥生さんは刺身御膳を。鹿島さんはまかないをそれぞれ頼んだ。まぁ……。まかないに関しては鹿島さんが自分で作るらしいのだけれど。


「ここはねぇ。私が小さい頃よく通ってた店なんだ」


 鹿島さんが調理場に行ってしまうと弥生さんが懐かしそうな口調でそう言った。


「へー。そうなんだ。もしかして弥生さんって昔は幕張に住んでたの?」


「うん。まぁ……。そうね。そんな感じ。何て言うのかなぁ……。寮生活みたいな感じ?」


 弥生さんは煮え切らない言い方をすると「うーん」と唸った。


「寮かぁ。中学まではこっちの学校だったんだね」


「いや……。そうじゃないんだけどさ。話すと長いんだけど良い?」


 彼女はそう前振りすると自身の幼少期の話を教えてくれた。


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