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オフィス・トライメライ 幕張研修所8

 例のファミレスを通り過ぎて細い裏路地に入るとその建物はあった。それはまるで普通の民家みたいな建物で、ここが研修所だと知らなければ完全に素通りしてしまうと思う。


「私もここ来るのは数ヶ月ぶりだよ」


 弥生さんはそう言いながら引き戸の鍵を開けた。そしてカチッという音がなると扉を左側にスライドさせた。扉が開放されると中から消毒液の匂いが漂ってくる。どうやら普段からここは誰かに利用されているらしい。


「入って」


「うん」


 私は促されるままその建物の中に入った。玄関には『株式会社ニンヒアレコード』という会社のカレンダーとここの利用規約が張られている。あとは……。下駄箱の横に小さなテーブルが置かれ、その上にデジタル時計とキャンパスノートがあった。キャンパスノートの上には太字で『利用者ノート』と書かれている。


 私がそうやって玄関を物色していると弥生さんがデジタル時計を見ながらその『利用者ノート』に何やら書き始めた。


「ここ使うときは入った日時と出た日時書くきまりなんだ」


「そうなんだ。……けっこうきっちりしてんだね」


「うん。まぁ一応ね。ああ見えてトライメライ割と大きな会社だからさ」


 弥生さんはそう言うとそのキャンパスノートを閉じた――。


 それから私たちは奥の部屋に進んだ。そして奥には鏡張りの大きな部屋があった。その部屋の造りは近所のバレエ教室によく似ている。おそらくここでダンスレッスンなんかをするのだろう。


「とりあえず適当なとこ座って待ってて! ちょっとコンビニ行ってくるから」


 弥生さんはそう言うと急ぎ足でコンビニに行ってしまった。彼女が居なくなると急に静かになった気がした。


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