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オフィス・トライメライ 幕張研修所7

 母との通話を終えると私たちは一旦トライメライの受付に向かった。そして受付の女性から研修所の鍵を受け取るとすぐにトライメライを出た。出雲社長には会わない。弥生さん曰く、「挨拶に来ないでいいって」とのことだ。


 その足で研修所に向かう。どうやらここから研修所は比較的近くにあるらしい。


「お昼食べたファミレスのすぐ近くだから」


 弥生さんはそう言うと真っ直ぐ前を見て研修所に向かった。私はそれに早足でついて行く。


「弥生さんたちってよく幕張来るの?」


「まぁね。一応こっちがエレメンタルの本社だからねぇ。どうして?」


「いや……。道に詳しいからさ」


「ああ……。そうだよね。聖那ちゃん的にはそう感じるかもね。イベントでもなきゃ幕張なんて普段は来ないもんね」


 弥生さんはどこか含む言い方をすると横断歩道の通行人用ボタンを押した。横断歩道の向こう側には今日昼食を食べたファミレスが見える。急いで来たお陰でもう目的地付近まで来ていたようだ。


「しっかし……。参ったね。メイリンには申し訳ないけどこれじゃ予定立たないもんね」


 弥生さんは気が滅入っているように言うと深いため息を吐いた。私は「そうだね」とだけ返す。我ながらつまらない返事だと思う。


「……面倒は今始まったことじゃないけどね。逆に普段は私がメイリンを振り回してる感じだし」


「……そうなの?」


「ああ、そうだよ。だって無理言って魔法少女の世界にあの子を引っ張り込んだの私だし……」


 弥生さんは横断歩行の先の方をボーッと見ながらそう言うと「だからね。メイリンに続いて聖那ちゃんが入ってくれてすごく嬉しいんだよ」と付け加えた。本音と建前。その両方が入り交じった言葉に聞こえる。


「そんなそんな。私はただお金欲しかっただけだから……。なのに二人には散々迷惑掛けちゃって」


 私はそこまで話してまた言葉に詰まってしまった。なんか今日はダメだ。美鈴さんと話したときもそうだったけれど、今日は会話の空気が妙に重い。


 そうこうしていると信号が青に変わった。その奥で太陽が小憎らしいくらい茜色に染まっていた。


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