オフィス・トライメライ 幕張研修所1
それから程なくして私たちはUGに向かった。時計は既に約束の時間を過ぎている。
「いらっしゃいませー」
UGに入ると鹿島さんが私たちを出迎えてくれた。蔵田さんの姿はない。またパチンコかな? と少し邪推めいた考えが浮かぶ。
「やほ! 鹿島ちゃん衣装の仕立て終わった?」
美鈴さんはとてもフレンドリーな感じで鹿島さんにそう尋ねた。数分前までのあの暗い表情が嘘のようだ。
「はい! 出来ましたよぉ。どうします? 一回試着しますか?」
鹿島さんはそう言うと私の方を向いて首を傾けた。傾いたことで彼女のヘッドドレスがふんわり横に揺れる。
「……サイズは間違いないんですよね?」
「はい! 大丈夫です! 聖那ちゃんの体型ぴったりに仕上げましたから。逆にもう聖那ちゃん以外は着れないくらいですね」
鹿島さんはそう言うとニッコリ笑った。その笑顔は絵に描いたような営業スマイルで少しだけ気味悪く見える。
「なら……。大丈夫です! たぶんそろそろ逢川さん戻って来ると思うので」
私はそう言うとカウンター横の壁に掛かっている時計に目を遣った。時刻はもう既に午後五時過ぎ。そろそろ逢川さんも戻ってくると思う。
「りょうかいです! じゃあ袋お入れしますねぇ」
彼女はそう言うと『UG』というロゴの入った黒い紙袋に私の衣装を入れてくれた。袋の口から魔法少女の紫色の襟が覗いていた――。




