珈琲と占いの店 地底人4
それから私たちは料理を選んだ。そして私は和風パスタを。弥生さんは半熟卵のドリアを。美鈴さんはふわとろオムライスをそれぞれ注文した。あとはドリンクバーとフライドポテトも。いかにも女子高生が学校帰りに食べるようなメニューばかりだと思う。
「ふぅー。明日の仕事は酒々井だったよね?」
注文が終わると美鈴さんが弥生さんにそう尋ねる。
「そう。酒々井駅の近くの児童福祉施設だね。確か……。『あけぼし』ってとこだよ」
「ふーん。じゃあ四月に行ったとこと同じような感じか……」
「うん。だいたいそんな感じだね。……とりあえずドリンクバー行こっか」
弥生さんはそう言うと立ち上がった。心なしか街中より表情が明るくなったように見える。
ドリンクを持って席に戻るとすぐに男性店員がフライドポテトを運んできた。そして彼はサッと料理だけ置くと忙しなく下がっていった。店内はけっこう混んでいるし、彼も相当忙しいのだろう。
「ポーテト! ポテト!」
美鈴さんがそんな変な歌を歌いながらフライドポテトをつまんだ。そして付け合わせのケチャップにディップすると五、六本一気に頬張る。
「食い意地張ってんなぁ」
弥生さんは呆れながら言うと紙ナプキンを美鈴さんに差し出した。美鈴さんは「あっえ、おああふいへはんはほん」と口にポテトが入ったまま行儀悪く答える。
「え? 何て?」
「……ふぅ。だって! お腹空いてたんだもん! ほら、二人とも食べな! 食べないと元気でないよ!」
「……いただきます」
それから私たちの席には次々と注文した料理が届いた。美鈴さんの頼んだオムライスからは美味しそうな湯気が立ち上っている。
「おぉー! やっぱオムライスはふわとろだよねぇ」
美鈴さんはそんな風に大げさなリアクションをするとオムライスを頬張った。そして「うーん。やっぱ最高だよねぇ」と言ってコーラを口に流し込む。
「美鈴さんって美味しそうに食べるね」
「うん。やっぱご飯は美味しく食べたいじゃん? もし戦争になったら生きるためだけに食べるようになっちゃうもん。平和を感じながら食べるご飯って本当に幸せなんだよねぇ」
美鈴さんはどことなく達観したみたいな言い方をした。そして「命を食べるってありがたいし幸せなことだよ」と付け加える。
「……あんたみたいに食べてくれたらファミレスの厨房の人も喜びそうね」
「ん? そうかね? ま、でも料理作ってくれた人にも感謝だよねぇ」
美鈴さんはそう言うともう一口頬張った。まるでお子様ランチを食べる子供みたいだな。私はそう思った。




