珈琲と占いの店 地底人2
占いと聞いて私が最初に思い浮かんだのは星占いだった。毎朝朝のニュースの前にちょこっと流れてるランキング的なやつ。『六位は蠍座! 今日はサラダを食べるとハッピーな気分になるかも?』とかいう信憑性のないアレだ。
「ちょっと待って弥生。鹿島ちゃんに何時ぐらいに仕上がるか聞くから」
美鈴さんは弥生さんにそう声を掛けるとスマホを取り出した。そしてどこかに電話を掛ける。
「――香取です。はい。――こんにちは。――ハハハ、まぁ普通っすね。あの鹿島ちゃん電話でれます?」
美鈴さんは電話口の相手に軽く挨拶すると鹿島さんに取り次いで貰うように頼んだ。おそらく蔵田さんが電話に出たのだと思う。
「――もしもーし。ごめんね忙しいのに。――うん! 試しに振ってみたけど調子良かったよ。あんがとね。――そうそう! もうトライメライ出たんだ。逢川さんだけ会社に残ってるけど。――いやぁ。どうだろね? そこまで忙しそうじゃなかったけど。――うんうん。そっか、そっちも大変だよねぇ」
美鈴さんはまるで営業マンみたいな口調で鹿島さんと話していた。その様子は友達というよりも親しい取引先みたいに見える。
「でさ! 縫製何時ぐらいまで掛かりそう? ――三時半ね……。了解了解! んじゃ夕方取りに行くね~。よろしくお願いします」
美鈴さんはそこまで話すと電話を切った。そして「あの様子じゃあと一時間で終わるね」と言って苦笑する。
「鹿島ちゃんのミシンめっちゃ早いもん。あれは才能だよねぇ」
弥生さんは感心したみたいに言うと「フッ」と嬉しそうに鼻を鳴らした。
「マジでね。あの子も大概だよ。……天才って奴なんだろうけどさ。……したら聖那ちゃん。少し買い物したらUG戻ろっか。つーか飯食お! 飯!」
美鈴さんはそう言うと大きく背伸びする。
「その前に……。弥生さん占いって?」
「ああ、それは――」
それから弥生さんは簡単に占いのことを教えてくれた。




