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オフィス・トライメライ4

「さて。早速だけど夏木さんにお願いしたいことがあるわ」


 出雲さんはそう言うと自分のデスクから封筒を取って私に差し出した。


「えーと……。これは?」


「あなたの初仕事よ。今週末の興行はあなたも参加して欲しいの」


 出雲さんはさも当たり前みたいに言うと葉巻を灰皿に押し当ててもみ消した。今週末ということは……。『明日なの!?』と一瞬ツッコミを入れそうになる。


 そんな私の様子を見かねたのか弥生さんが「いきなり明日からです……か?」と口を挟んだ。


「そう。明日からよ。夏木さんだって早めにお金出た方が良いでしょう?」


「それは……。そうかも知れませんが。でも今日の明日じゃ準備が……。夏木さんの衣装だってまだ仕上がってませんし」


「あら? さっきUG行ってきたんでしょ? なら衣装は今日中には上がるはずよ? 大丈夫よ。香取さんのときだってこうだったんだから」


 出雲さんはそこまで話すとスッと立ち上がった。そして「じゃあ明日からよろしくね」と言った。マジで勘弁して。本気でそう思った――。



 それから私たちは逢川さんを残してトライメライを後にした。どうやら逢川さんは社長とミーティングがあるらしい。


「ふぅー。あー! 疲れたー!」


 建物から出ると美鈴さんが大げさに背伸びした。身体の伸ばし方が猫に少し似ている。


「んじゃ買い物でもしてこよっか? 幕張なんか滅多に来れないんだからさ」


 美鈴さんはそう言うと屈託のない笑顔で笑った。対照的に弥生さんの表情は曇っている。


「はぁ……。メイリンは気楽で良いよね」


 弥生さんはそう言うと深く肩を落とした。


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