アンダーグラウンド幕張7
銀色のドアの前に立つと逢川さんがそのドアの鍵穴に鍵を差し込んだ。そしてカチッという音が鳴るとドアが開く。
「こっちこっち」
逢川さんはそう言うとドアを開いて私たちに中に入るように促した。どうやら目的地はこのドアの向こう側らしい。
「ここ……。ですか?」
思わず私は息をのんで逢川さんに尋ねた。逢川さんは「うん」とだけ返す。
「大丈夫! 別にヤバい場所に行くわけじゃないから……。うーん。いや、ヤバいはヤバいかもだけど危険な場所じゃないから」
不安がっている私に美鈴さんがフォローになっているのか分からないようなフォローを入れてくれた。ヤバいけど安全な場所。正直想像出来ない。
それでも結局私はそのドアの向こう側へ進んだ。ここまで来たら他に選択肢なんかない。
銀色のドアの向こう側にはコンクリート製の壁と床。あとは蜘蛛の巣の張った蛍光灯しかない廊下が広がっていた。蛍光灯はもう寿命なのかチカチカしている。ホラーゲームならこの先にボスがいる。そんなシチュエーションだ。
逢川さんは私のそんな思いを余所にツカツカとその廊下を進んでいった。美鈴さんと弥生さんもそれは同じで特にリアクションはない。
私はそんな彼らの後ろを黙ってついて行った。手持ちのアイテムはスマホと財布と生理用品と化粧ポーチ……。それくらいしかない。もしこの先に謎のウイルスで凶暴化したゾンビが居たら瞬殺されるだろう。――とわけの分からない妄想が脳裏を過る。
でも廊下の突き当たりを右に曲がると私のその妄想は一気に消し飛んだ。左手には大人のおもちゃのお店。右手には占い館。そんななんとも言えない店が顔を覗かせたのだ。
そしてその通りの入り口には小さなアーチが掛けられていた。アーチの真ん中に『アンダーグラウンド幕張名店街』と書かれている。
アーチを潜って前に進む。大人のおもちゃの店と占い館を通り過ぎる。どうやらここはアングラな商品を取り扱う商店街のようだ。




