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株式会社エレメンタル21

「お座りください」


 社長はそう言うと私の前のソファーに腰を下ろした。社長の隣には逢川さんも座った。心なしか昨日よりも逢川さんがシャキッとしているように見える。


「ではいくつか質問させてください」


「はい。よろしくお願いします」


 それから私は社長に色々なことを聞かれた。家族構成だとか部活動だとか。そんなありふれた質問だ。


 私はそれらの質問に正直に答えていく。嘘を吐いたって仕方ないのだ。


「そうですか……。では募集要項通り週末限定で働きたいということで」


 一通り面接が終わると社長は几帳面に履歴書を折って封筒にしまった。そしてその封筒をテーブルの端に寄せる。


「はい! 可能であれば夏休みが終わったあとも続けたいです」


「……わかりました。では最後に。夏木さん? あなたはなぜここで働きたいと思ったのですが? その理由をお聞かせください」


 社長はそう言うとテーブルの上で手を組んで私に視線を向けた。志望動機……。まぁアルバイトでもそれぐらいは聞くか。なんて答えよう? と一瞬思考が止まる。


「そこまで深く考えないで大丈夫です。正直な理由を聞かせてください。私は夏木さんの本当の気持ちが知りたいだけなので」


「はい……」


 私は返事だけして軽く深呼吸した。そしてすぐに美鈴さんに言われたことを思い出した。


『正直に答えた方が良い』


 そんなありふれた言葉だ。嘘は吐かない方が良い。きっと社長にはバレるから。美鈴さんはそう言っていた。


 だから私は「お金が欲しいからです。一日二万円貰えればやりたいことができるので」と守銭奴みたいに素直に答えた。これが正直な気持ちなのだ。……というよりもここに応募する人間でそれ以外の人は稀だと思う。


「……そうですか。ではそのお金であなたがやりたいことはなんですか?」


「それは……」


 私は再び言いよどんだ。お金でやりたいこと。言ったら笑われそうだな……。そう思った。


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