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和平のために

20XX年 11月11日00:00 北京 中国国防部

冬が近づき、日の入りは早くなり、北京市街は闇に包まれる。昼にあった攻撃の影響で電子機器は全て壊れ、政府は完全に孤立した。指示も出せず、周りがどういう状況なのかもわからない。政府施設には非常用の発電機が備え付けてあったが、“機”と付くものは基本的に電子機器だ。全く動かない。主席はロウソクを点けた部屋でうたた寝をしていた。

「主席、ようやく生きているのを見つけました!」

パソコンを持った憲兵が部屋に入ってきて叫んだ。主席が迷惑そうな顔をしながらも立ち上がり、

背伸びをしながら言う。

「おう…そんなんどこで見つけたんだ?」

「市民から借りてきたんです。見つけるのに苦労しましたよ」

早速起動させ、周辺の軍や武装警察と連絡をとる。何度か試したところ、南京の武装警察と繋がった。テレビ電話のモードにすると、画面に灰まみれの武装警察隊員が映った。主席が話す。

「そちらの状況は?何があった?」

「敵のミサイルが着弾したようです。迎撃にも失敗したようです。街はこの通り…」

隊員が顔をカメラから離すと、瓦礫と化した街の様子が現れた。ビルはガラスが全て砕け散り、コンクリートと窓枠のみになっている。黒焦げの死体も無数に転がっていた。再び隊員がカメラに近づく。

「停電が発生しているようですが、北京はどうでしょう?」

「こっちも停電だ。電子機器自体壊れているみたいだ」

「やっぱり…おそらく高高度で核爆発が起きたのでしょう。電磁パルス攻撃です」

「なるほど、そう言えばあの時一瞬空が明るくなったな」

「それでは、こちらも部隊の再編成をしなくてはいけないので…失礼します」


その後も数ヶ所と連絡がとれたが、どこも同じ状況だった。しかし第二砲兵とは連絡が着かず、全滅した可能性が高い。さらに悪いことに、武力で押さえつけていた反政府派の暴徒が逆襲を開始した。武装警察が使用していたヘリや装甲車が使用できなくなったからだ。安全と思われていた北京でも一部で戦闘があり、警察に死傷者が出た。戦闘は東海岸全域で発生しているようで、武装警察の力が弱まったところを見計らったようだ。

北京を管理している武装警察第8師団の師団長がやって来た。

「主席、部隊が暴徒に圧されています。軍の派遣を要請したいのですが…」

溜め息を吐いて答える。

「師団長、ここ最近暇そうな人民軍兵士を見かけたか?っていうか兵士すら少ないんだ。実弾の使用は許可しているはずだぞ。殺しても良いから、とにかく任務をこなせ」

「はあ…了解しました。失礼します」

入れ違いに参謀長が入ってきて、珍しく真剣な顔で話し始めた。

「主席、さすがにもう我が党はおしまいです。死者が増えないうちに国連軍と和平を結ぶべきです」

主席が参謀長を睨みつける。

「何だと?いいか、敵は核で一般人を吹き飛ばしても何とも思わないような連中だ。そんな奴らと和平を結んでみろ。数千年続いた偉大なる中国の歴史が終わってしまうぞ」

「そうだとしても、我々に反撃する力が残っていると思いますか?兵士も足りないんですよ?武装警察隊への射殺許可も却下して、降伏すべきです」

「そんなもん知るか。射殺許可はそのままだ。そうでもしないと暴徒は止められん。お前はもう出ていけ。こっちだって戯言聞くほど暇じゃないんだ」

手払いされ、参謀長が渋々席を立つ。

「バカな真似はしないでくださいね」

帰り際に一言言って部屋を出ていく。

「…ったく、私に意見するとはあいつらしくもない…」

しばらく沈黙したのち、受話器を取って国防部長に繋いだ。

「国防部長、敵への報復について検討したい。こちらへ来てくれ」

その声は主席室を離れる参謀長にも聞こえていた。国のトップですら混乱し、もはや中国は制御不能に陥っている。




04:00 トルキスタン連邦共和国 首都 西寧(シーニン)

まだ薄暗い西寧空港に日本の政府専用機が着陸する。今回トルキスタンを訪れたのは、対中戦争での今後の対応や、戦後の対応などを協議するためだ。日本以外にも、戦争に巻き込まれたASEAN諸国や国連軍に参加した国などが集まった。

空港周辺の警備は厳重で、空港付近には重装備の兵士やT55戦車、対空砲陣地などが置かれていた。広西省を攻略できたおかげで中国本土への地上部隊展開が容易になり、連邦軍の他にも日本、ベトナム、中華民国軍が駐留している。首相としては初のトルキスタン訪問だ。

駐機し滑走路へ降り立つと、護衛官に囲まれてトルキスタン首相が待っていた。

「ようこそ、トルキスタン連邦共和国へ。はじめましてですね」

「おはようございます。お会いできて光栄です。それにしても凄い警備ですね…」

「ええ、平時でも漢族との対立もあって治安が悪いですからね。万全の体制ですのでご安心を。では、すぐそこに迎えが来てますので、どうぞ」

迎えの車に向かうが、それらしいのは見当たらない。すると、警備隊のものかと思っていた装甲車にトルキスタン首相が乗り込んだ。

「えっ…迎えって、これですか?てっきりリムジンか何かかと…」

「いえいえ、リムジンなんてとんでもない。そんなのロケット弾一発でお仕舞いですよ。それよりだったらこれ、BTR80です。狭いですけど、乗り心地は悪くないですよ」

話を聞いた途端、攻撃されることが前提なような気がして不安になる。



04:30

車列が議事堂に到着する。議事堂といってもかつての省庁を再利用しているだけなので、それほど豪華ではない。建物の外壁には未だに銃弾の跡や爆発の跡などがあり、激戦地となっていたようだった。

「すみませんね、復旧中なんですけど…さっ、到着しましたよ。どうぞこちらへ」

後方のドアから下車すると、トルキスタン国民が歓声を上げて出迎えてくれていた。日の丸の手旗を振っていたため首相も笑顔で手を振り返す。トルキスタンが中国から独立するのを日本が手助けしてくれたと認識されているようだ。


議事堂に入り会議室へ向かうと、既に各国の代表が集まっていた。首相が入った途端全員立ち上がり、拍手をしてきた。ベトナムの国防大臣が言う。

「攻撃成功おめでとうございます!おかげで我が国の危機も去りました!」

攻撃をした際の映像を見てしまったため喜ぶことはできないが、とりあえずニコニコしてみる。

席に着くと早速話し合いが始まった。

「現在の状況について説明します」

ベトナムの国防大臣が画面を使って話を始める。

「我が軍は海南(ハイナン)省、広西、広東省を占領。またトルキスタンと合同で重慶への攻撃を行っています。また、日韓朝軍が遼寧、吉林省を占領。北京まであと100kmにまで迫っており、突入しようとすればできる状況だとのこと。トルキスタン連邦軍は中国を南北に分断するような状況ですね。山東省もほとんど陥落し、捕虜や支配民の増加が問題になっています」

水を一口飲み、さらに続ける。

「それでこれからの行動についてですが、EMP攻撃が成功したということで、我が国としては今のうちに北京を攻略すべきだと考えているのですが。実際、南部戦線では我々が快進撃を続けております」

日本首相が言う。

「いえ、それについては、地上部隊の相当な被害が予想されるので現時点では行わない方針です。北京は包囲できているので、兵糧攻めと砲撃くらいで十分かと。韓国、北朝鮮も同じ意見でした。全体的に戦況も安定しているようですし、全軍現状維持が妥当かと」

「失礼…」

トルキスタン首相が立ち上がって発言する。

「先ほどの報告にもありましたが、我が軍では捕虜の増加が問題になっています。兵士たちが世話を面倒がって捕虜を処刑するという報告も上がっているほどです。我が軍の兵士は貴国の兵に比べると民兵に近いので、その辺の管理もずさんでして…」

この問題はかなり厄介だ。東アジアの人々は皆中国人を殺したがっている。ましてや共産党の管轄下にある人民開放軍の兵士など、確実に報復の標的となるだろう。結局、この問題は棚上げとなった。どっちみち、捕虜虐待は避けられないからだ。

その後も話し合いを進めていく。

「…次に戦後処理についてですね」

真っ先に中華民国大臣が挙手した。

「中国共産党を排除し、現中華人民共和国を中華民国圏とすることを要求します」

各国の代表たちがざわめくが、よく考えるうちに静まってきた。現在、中国国民で共産党を支持している者は少なく、共産党支配から開放された者は台湾やトルキスタンに逃げ込んでいるという。中華人民共和国の消滅もあり得ないことはない。

「しかし反対勢力が多いにしても、共産党員だけで数千万人もいるし、支持者も含めると1億人ほどになるぞ。しかし反対勢力を放っておくわけにもいかんし…」

ベトナム国防大臣が言う。

「中国共産党には戦争犯罪者が複数います。そいつらを投獄すれば数万から数百万人にもなるでしょうから、多少は減るでしょうけどね。それでも多いのには変わりないからなあ…」

「仕方ないですね…それでは、とりあえず中華民国への編入に賛成の方、挙手お願いします」

ほとんどが挙手する。

「なるほど…それでは、一応中国国民にも編入の呼び掛けをしましょうか。解決はその反応を見てからということで」


数時間の会議の末、

・中国共産党員の処罰

・尖閣諸島や南沙諸島、一部の中国領土の統治

・日本の北朝鮮統治(治安が安定するまで)容認

・トルキスタンへの軍事、経済支援

が決定した。あくまで会議に参加したのは日本、ASEAN、一部の国連軍参加国だけだったため、非難されることはあるだろう。意外にも日本の北朝鮮統治について韓国が反発することは少なかった。今回の北朝鮮への攻撃によって、半島統一は実現したようなものだ。こちらから攻撃して北朝鮮を制圧したのだから、北朝鮮の世話はこちらがしなくてはいけない。しかし韓国にそれほどの経済力はない。よって日本が統治するしかないのだ。治安が安定したらすぐに統治権を北朝鮮、北朝鮮が韓国との併合を許可した場合には韓国政府に渡すことを約束した。




06:00 北京 房山区 武装警察隊 第1大隊

「分隊突撃!突っ込め!」

隊長の指令でライオットシールドと警棒を持った隊員たちがデモ隊に一斉に突撃する。ライオットシールドを持った隊員の後方には銃を構えた隊員がおり、あまり抵抗しない者は警棒で殴り、攻撃してきた者に対しては発砲していた。しかし、今回はほとんどが抵抗してきた。火炎瓶を投げてきたり、発砲してきたり、どこから入手したのか手榴弾を投げてくる者までいた。突撃を開始した途端両者に多数の死傷者が出る。

分隊長がなんとか遮蔽物に隠れる。部下は多数が被弾したり火だるまになったりしていた。

「くそっ!奴らどこからこんなに武器を…」

分隊長の元に生き残った部下が走ってきた。

「隊長、ここの分隊どころか、ほとんどの部隊で武器が足りません!」

それもそのはず。我々が想定していたデモ隊は、投石や火炎瓶攻撃をしてくる程度だ。警棒が主な装備であるため銃は少ない。隊員たちは一方的に被弾して倒れていった。しばらく考えたのち、無線機を持って叫ぶ。

「増援を要請しろ!このままでは全滅する!」



増援は意外とすぐに来てくれた。道いっぱいに防弾盾を構えた数百名に隊員が並んで少しずつ前進する。まるで一枚の長い壁が迫ってくるようだ。催涙弾や実弾を撃ちながら前進している。

そのとき、火の玉のようなものが飛来し、盾を持った警官隊をなぎ倒した。後からさっきまでとは違うような銃声が鳴り響く。

分隊長が恐る恐る遮蔽物から顔を出すと、向こうからピックアップトラックの荷台に搭載された重機関銃が火を吹いていた。おそらく12.7mm弾を発射するDshk38機関銃だ。防弾盾とはいえ、こんな銃弾には耐えられない。警官隊は銃座に向けて決死の突撃をするが、次々と被弾し粉々に吹き飛んでいった。まるで第1次世界大戦のような光景だ。一瞬にして通りは数百人の警官の死体で埋もれた。

「酷い…畜生!」

怒りのあまり、無意識のうちに一人で銃座に向かって飛び込んでいた。

「うおぉぉ!」

「ダッダッダッダッ!」

再び火の玉が真正面に飛んできた。次の瞬間、額に熱いものが突き刺さり、頭蓋骨全体が強く振動した。目の前が真っ赤に染まった後、分隊長の記憶は消えた。




08:00 北京 中国国防部

参謀長が主席の居る部屋に飛び込んでいった。

「主席、房山区に展開していた武装警察の大隊が全滅しました!」

着替えをしていた主席が、口をぽかんと開けて沈黙する。

「…何?敵軍と交戦したのか?」

「いえ、北京市民とです」

徐々に顔を真っ赤にし、怒りの表情に変わった。

「何だと!市民に武装警察が殺されるってのか!全く…バカか!クソったれが!」

騒ぎを聞き付けて護衛の憲兵がそっと部屋を覗いてきた。しばらく壁などを殴りながら歩き回り、深呼吸してから言った。

「…よし、良いだろう。空軍に連絡しろ。房山区を空爆させるんだ」

「何ですって!それはダメです!」

「ダメですじゃねえよ!こんな兵も時間も足りねえときに陸軍でちまちま制圧しろってのか!」

「そうです、陸軍で十分ですって!空爆なんて、あの地区にも関係のない民間人が…」

「んなこと知らねえよ!そこに居るのが悪いんだろ!死にたくねえなら街を出てるはずだよな、つまり死ぬ覚悟はあるってことだ!てめえも死にたいなら房山に行ってこい」

主席が空軍司令部に電話しようと受話器を取る。参謀長が溜め息をついて、少し考えたのちホルスターの銃を引き抜き、主席に向けた。

「おいおいおい…何のつもりだ?」

「受話器を置いてください。これ以上の犠牲は御免です」

二人とも固まり、しばらく膠着状態になる。そして、参謀長がトカレフの撃鉄を下ろすと「カチャッ」と音がし、主席がそれに驚き受話器を置く。

「んで、どうするつもりだ?」

「一緒に来てもらいます。あなたは国の指導者にふさわしくない…」

すると瞬時に主席の腕が上がった。手にはデリンジャー拳銃が握られており、参謀長に銃口を向けている。

「ふさわしくないって?確かにそうかもな。だがそれを判断するのは国民であって、お前じゃない」

「あなたが国民に発言させないから言っているんです」

再び膠着状態になる。すると、再び護衛の憲兵が顔を見せた。驚いていたようだが、この凄まじい状況を理解したようだった。

「おっ、丁度良い時に来てくれたな。こいつを捕まえてくれ」

憲兵が参謀長に銃を向ける。

「残念だったな参謀長。続きは100年後、お前が刑務所から出た頃に…」

「タンッ!」

「……」

主席の腕に激痛が走る。ふと憲兵を見ると、こちらに銃口を向けて、その銃口からは煙が出ていた。自分の手を見ると血が噴き出していて、銃を落としていた。

「貴様…裏切りやがったな…」

「タンッ!」

今度は参謀長が発砲する。額を撃ち抜かれ、崩れるように倒れた。主席の大穴の開いた後頭部から血がドクドクと血が噴き出し、死体の周りは赤い池のようになった。倒れた主席の様子を参謀長と憲兵は黙って見ていた。




15:00 東京 首相官邸

「中国新政府」を名乗る者から停戦の申し出があってから3時間が経過した。信じられない情報ではあったが、国としての制式なものであるということが確認された。日本政府はもちろん停戦を受け入れ、現在では散発的な戦闘はあるものの、ほとんどの交戦が終了した。

停戦の情報はトルキスタンにいる首相のもとにも伝えられ、「現在行っている攻撃を中止し、中国側から攻撃があった場合のみ反撃を許可する」との指令を全自衛隊の部隊へ行った。戦闘は中止されたものの厳重警戒は続いており、偵察機による敵の行動監視を強化している。





11月16日12:00

トルキスタンを訪問していた首相が、急遽帰国した。中国側が無期限の休戦、講和も兼ねた会議を要求したらしい。そのため「中国新政府」の代表として中国共産党国務総理が日本を訪れた。今のところ戦闘は完全に停止しており、停戦に支障は出ていない。

成田空港に降り立った中国代表団には、現地で激しいブーイングを受けた。空港内を移動するだけでも危険で、人々から石やゴミなどを投げつけられた。空港警備員や警察の機動隊も出動するほどで、遺族がナイフを持って代表団に斬りかかるという事態まで発生し、これにより複数の負傷者、逮捕者が出た。幸い国務総理は無事で、その後も厳戒態勢のもと首相官邸まで向かい、無事日本首相などと合流した。


14:00

講和に向けた会議が行われた。最初に日本国首相が「主席はどうしたのか」と訊くと「主席は自殺した」のだという。この国務総理が中国の代表であることに変わりはないため、そのまま進められる。

会議が進むものの、中国側の要求のようなものはほとんどなかった。日本側の話に付和雷同するようなかたちだ。北部、西部、南部戦線で戦闘にために待機している人民開放軍の投降、国連軍の中国本土駐留、尖閣、南沙諸島の国連統治があっという間に許可されてしまった。そのため日本側が「中国共産党の解党、党員の処罰を要求する」と言うと、中国側はあっさりと承諾した。


そして最後に、小規模ながら日本と中国の戦闘停止を宣言する休戦文書に署名する調印式が行われた。両者にとって、これまで署名したものの中で最も重要な署名となったであろう。日本国首相、中国国務総理がそれぞれ調印する。名前を書くだけなのだが、これで数百万人を殺した紛争が終わるのだと思うと手が震える。多少手間取ったものの、無事に調印は終了した。

最後に日本国首相が中国国務総理に手を差しのべる。突然握手を求めたられ、国務総理が苦笑いする。

「いや…共産党の代表と握手するのはどうかと…」

首相が笑顔でこたえる。

「さっきの会議で中国共産党は解党しました。あなたは中国という国の代表です。共産党とではなく、中国との友好のためですよ」

国務総理も笑みを浮かべ、渋々手を差しのべて握手を交わした。





11月25日

停戦を経て無期限の休戦へ、そしてそれから2週間が経過した。戦闘は終了し、国連軍が中国本土での治安維持に務めている。


中国では共産党が崩壊し、国民党政府への支持が高まっている。先日の会談でも「中華人民共和国の崩壊」の可能性について話があったが、現実味を帯びてきているようだ。国内では、戦争犯罪容疑者である共産党員の一斉検挙があり、現段階で数万人が逮捕されている。共産党支配から開放されたため、治安は悪くはない。攻撃によって国連軍を憎む者も多いが、大抵の国民は協力的だ。復興に尽力している。

トルキスタン連邦共和国は、中国東部まで領土を拡大していたものの、独立宣言をした時点の領土を国土とし、その他の占領地域は中国に返還するという。今後は中国などには編入せず、このまま連邦共和国として国家運営をしていくとのことだ。トルキスタンは基本的に親日であるため、日本としては有り難いことだ。


そして日本。交戦国の中で最も多い400万人以上の死者を出し、国家運営は容易ではない。とりわけ若者人工の多い東京を攻撃されたために、若者人工減少に一層歯車をかけてしまった。

日本が侵略されてから約4カ月、東京は未だに廃墟となっていて、復興には十年ほどかかるだろう。

戦場となった南西諸島も徹底的に荒らされていて、住民たちが片付けに逐われている。特に先島諸島は日中軍兵士の死体、車輌の残骸などで溢れており、処理が問題となっている。

また、戦闘に備えて過剰に生産された兵器があり、一部を友好国に輸出する予定だ。軍事面でも新たなビジネスを初め、日本の復興を助けることになる。




こうして、日本侵略から始まり世界中を巻き込んだ大戦争は、たくさんの血を流し、ようやく終結した。








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