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先島諸島攻略

20XX年 7月5日07:00  航空自衛隊宮古島分屯基地

日本軍の警備は厳重だった。基地から宮古空港にかけて、日本製の89式小銃とやらで武装した複数の兵士が警備している。89式小銃なんて汎用性がない。しかも日本製のくせに大型で、米軍のM-4よりデカイ。レイルを装備していないなんて現代戦には不向きだ。そのままではドットサイトすら装着できない···。まあ、それは我々の95式小銃も同じだが。しかし95式は小型で使い回しが良い。隠し持つには良い銃だ。我々のものは特別に改造してあって、サイレンサー、ドットサイト、ブースター、フォアグリップなどを装着してある。普通の89式よりは圧倒的に使いやすい。


今回の我々の任務は上陸地点の敵を一掃することが最優先で、成功した後も周辺の敵を撃破する。今回の上陸作戦ではスピードを重視し、海岸からの上陸と空挺部隊の降下による同時攻撃を行うそうだ。しかも3島同時攻撃。石垣島、西表島にも友軍がいて、我々と同じように上陸地点の確保を行う。ここ宮古島では、上陸地点は島東部の名も無き浜で、空挺の降下地点は宮古空港となっている。これからこの2ヵ所を攻撃することになる。


我々の目的が宮古基地の襲撃だと敵に思い込ませるため、先日から破壊工作や基地周辺の敵兵の狙撃を行っている。所詮は陽動作戦なのだが、敵の警備も厳重だったため銃撃により戦友2名が戦死してしまった。仇は直ぐに取ってやる···



07:30  宮古空港

作戦司令部から、攻撃を開始せよとの命令があった。上陸作戦もじきに始まるということだ。

 民間の軽トラックの荷台に武器を隠し持っている。荷台にRPG射手、車内に運転手と小銃手が乗り、攻撃地点に移動した。


 空港には日本軍の装甲車、対空機関砲部隊が展開していた。「とっとと片付けるぞ。目標、空港前の敵装甲車···」96式なんちゃらという装甲車だ。RPGでは簡単に撃破できる。「パシュッ!」攻撃が始まり、次々に爆発が起こる。「タタタタッ!」爆発から逃れた敵兵を友軍がMINIMIで掃射する。「突撃!」友軍の援護射撃を受けつつ、空港に突入する。突如襲撃したため、空港内には民間の警備員や空港管理人もいた。この中に敵兵も潜んでいるかもしれない。非道だがリスクは犯せない。全員射殺した。


ものの数分で空港を占領した。作戦司令部に連絡すると、数分以内に空挺が到着するので、それまで空港を死守しろと言われた。お安いご用である。




同時刻  宮古島沖 中国空母艦隊

与那国島がまだ制圧できていないが、もう宮古島まで来てしまった。我が艦隊は宮古島の北東に展開し、本土から宮古島を分断している。尖閣諸島で日本艦隊をボコって以来、抵抗は全くない。不気味なほど静かだ。

 司令部から連絡があった。上陸作戦を開始せよとのことだった。あの小さい島ですら占領できなかったのに、3島も攻略できるのだろうか···。皆少々不安そうだ。


艦隊が艦砲射撃を開始した。同時に空母"遼東"の艦載機が空爆を開始する。味方ゲリラが潜伏している海岸、空港は攻撃せず、敵基地や市街地、味方ゲリラの偵察で判明した敵兵の拠点を攻撃している。

 揚陸艦から舟艇、エアクッション艇、ヘリコプター部隊が発進する。今回は味方ゲリラが島中を偵察してくれたはずだから、与那国上陸時のような惨事にはならないだろう。上空ではIl-26輸送機から空挺部隊が次々と降下を始めている。対空放火があったが、爆撃ですぐに沈黙する。

 舟艇、エアクッション艇が海岸に到着し、戦車や装甲車、陸戦隊員がなだれ込んだ。西表島、石垣島でも同時刻に上陸することになっているから、あちらも同じ状況だろう。苦戦の様子は全くない。


内陸部に入ると、敵が小規模ながらも抵抗した。「タンッ、タンッ!」「タタタタッ!」「······」所々銃声が聞こえるが、友軍が反撃するとそれは直ぐに沈黙した。敵は小銃や対戦車ミサイルも撃ってきた。敵の対戦車ミサイルは高性能で、我々の戦車をあっという間に撃破してしまうが、攻撃があまりに小規模なので侵攻は止められない。のちに敵兵が次々と投降してきた。空軍の兵士が多いため、陸戦は苦手なようだ。一応捕虜としたが、中国軍兵士は日本人をとことん嫌っている。奴らの安全は保証できない。するつもりもないが。



09:00

島全域を制圧した。上陸時の抵抗はほとんど無く、散発的に小規模な交戦があるのみだった。小規模な戦闘とはいえ、ヘリ4機、戦車6両が撃破されたが、こちらの戦力が圧倒的に大きいため、攻略に支障もない。石垣島、西表島、宮古島の3島を完全に掌握し、市役所に中国国旗が翻る。

 

 


20:00  宮古島 作戦司令部

 ここ先島諸島は中国の防衛ライン"第二列島線"を死守する拠点となる。作戦司令部もここに置かれた。要塞化および沖縄攻略に備え、本土から輸送船がやって来て、物質や部隊を陸揚げしている。既に陸軍兵士10万人、戦車、装甲車数百両が上陸し、空港にも空軍の戦闘機が100機以上配備されている。艦隊も集結し、守りを固めている。今日中に第二砲兵も輸送されることになっている。そうすれば日本本土の海軍基地に新型の"対艦弾道ミサイル"をお見舞いすることもできる。 




22:00  西表島から南西50kmの海域

「大型輸送船発見。距離14、20ノット」"そうりゅう"潜水艦は与那国島から西表島にかけての海域を警備している。数日前から敵艦隊が行き来していて、攻撃のチャンスもあったが、反撃の危険があるためできなかった。しかし最近衛星からの情報で、第二砲兵の部隊が、先島諸島に陸軍をピストン輸送している輸送船に搭乗するのが確認された。これはかなりの脅威だ。しかも敵艦隊もこの海域から移動したため、攻撃可能だ。探し出し撃沈せよとの命令だった。


「国籍中国。船首の番号は···626···標的だ。」目標と確認された。「よし、撃沈する。1番、2番に魚雷装填」砲雷科の隊員が魚雷の準備をし、CICでは目標の追跡や、命中させるための計算が行われる。直ぐに攻撃準備が整う。「1番、発射よーい、てっ!」「1番発射!」「2番、発射よーい、てっ!」「2番発射!」ゴーという音とともに89式魚雷が発射された。「目標命中まで2分」···2分近く経過した。「潜望鏡深度まで浮上!」潜望鏡で戦果を確認する。輸送船を観察していると、大きな水柱が2つ上がった。「命中!撃沈確実。潜航しろ」大型輸送船を撃沈し、"そうりゅう"は再び深海に潜った。

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