第97話 冒険者Payの隠されてた新機能にキレた修一と先走った福の神の決断
「マニュアルちゃんと読んでませんね。まぁ、お知らせには冒険者Payの使い方しか載せてませんからね。」
腕組みをしてお怒りモードの修一くん。
「「お知らせは読みました。」」
「実、ことり、福、ミナ……父上もです。こちらに派遣された時、マニュアル読めってメールしたよね。」(怒)
僕も、読んでない。謝っとこう……
「修一くん、ごめんね。必要なところは目を通したんだけどね。」
「店長はいいんです。子飼い社員はマニュアル熟読が義務なんです。」
あ、忍者の掟か!さすが次期首領。社長家はいいの?
「アルノさまとシナモンさまも、目ぐらいは通しておいてくださいと言いましたよね。」
社長にもちゃんと物申す性格ね。(汗)
「修一、その辺りにしておけ。お客様が驚かれてる。」
「あ、すみません。この工房の方々と開発したものが、使われてないのが、悔しくて。」
獣人国組の人がちょっとだけ驚いていた。
御三方たち常連は、……いつもと代わりないね。
「修一は、合わせて実とことりに魔法で遅れをとったのが、悔しいんじゃろのぉ。じゃが焦ることはないのぉ。知識は二人よりはるかに豊富じゃのぉ。そして、その知恵には世話になっておるのぉ。」
「あ、初めまして。ドボルジンクさまですね。工房の方々にはお世話になってます。」
「手塩にかけた、『かんたん送金』誰も見てくれなければ、悲しいものじゃ。」
「修一殿、お久しぶりです。やっとこちらへ来られましたね。」
「コボルザンクさん、お久しぶりです。来たかったんですが、あちらでの準備があり、遅くなりました。」
「コボから、開発したもののことは聞いておるのぉ。魔道具にも良いアドバイスをしてくれたと聞く。感謝じゃのぉ。これからもコボを頼むのぉ。」
「お連れはご家族ですか?」
「りおん、アルノ、わしの孫で、惣領弟子のコボルザンクじゃの。これからよろしく頼むのぉ。」
「ドボルジンクさま、コボルザンクさん。こちらこそよろしくお願いします。」
「コボルザンクです。よろしくお願いします。」
「若いドボルジンクさまって感じ。そっくり!」(笑)
「あゆみ、失礼よ。」(怒)
「あさ、気にせんでええのぉ。息子たちからも、そう言われておるのぞ。……コボも若いお嬢さんに気にしてもらえて、よかったのぉ。」(笑)
「はい。確かに、お嬢さんからすると100歳以上年上ですから、ありがたいです。」
「「「「えぇぇ〜。」」」」
同世代と思ってた若者たちが一斉に驚いた。若いドワーフって、ちゃんと若く見えた……。
「早速、ギルドカードの登録行いますね。……マツさんとお仲間の方、こちらへ。」
修一くん、ちゃんと店員モードに。切り替え早っ!
「あ、オイラたち、部下っす。」
「「部下っす」」
喋り方、半蔵さんと同じだった。(笑)
「じゃ、皆さん、ギルドカードを持ってこちらへ。本人認証を行います。
一人ずつ、水晶に触れつつ、ピッて、カードをかざしてください。」
「はい!」
「ありがとうございます。ギルマスと秋山先生、この4名とカードのお名前、年齢、所属、一致してますか?」
レジの冒険者Pay端末も魔道具で、ペーパーホワイト系のモニターも魔道具。タッチパネルになっている。もちろん共通語表示。
水晶に触れてる間、ギルドカードの秘密情報が表示される。魔法すご!スキルとか、スクロールされる。
「おう、先月、ギルドカウンターでみんなで並んでお互いを承認したやつだな。」
「あの時は携帯端末じゃったのぉ。」
「私とドボルジンク殿、ジュリエット殿はギルマスとサブマスが証明してくれたでござるの。」
「合ってるな。」
「全員あってるでござる。」
「では、証人として、お二人のギルドカードをピッと掲げてください。」
ピッ
ピッ
「ありがとうございます。これで『かんたん送金』ご利用可能です。必要な時は、ご利用ください。」
「必要ないな!」
「リーダー、給料は!」
「分配したばかりだろ!」
「そうっすね。でも活動資金から、こっちでの生活資金を回してください。……足りてないっす。」
「修一さんって言ったか?一人10,000リオン、送金できるか?」
「では、送金される方と、受け取る方、一人ずつ。」
「手数料は、月5回まで無料です。」
「じゃ、タケ、お前に30,000入れるから、二人に送金してやってくれな。」
「あ、ずるいっす。」
「他に送金する必要あるかもしれないだろ。お前、あるか?」
「無いっす。」
「じゃ、いいよな。」
「はい。」
「じゃ、タケに30,000リオン送金してくれ。」
「はい。こちらに金額を入力、かんたん送金ボタンを押してください。」
「30,000リオンとかんたん送金。」
「では、タケさん、ギルドカードをかざして、受取ボタンをしてください。」
ピッ
「はい、受取!」
「じゃ、あとは3人でやっとけな。」
「うわ、かんたん!」
「私もギルドカード欲しい!」
「かっこいいねぇ!」
「ダンジョン行ってみたいよね。」
従兄妹組とことりたちが騒いでいた。
「あとで、いいもの渡す!」
あ、あれか!できたってわけね。修一くんて、飴と鞭うまいなぁ。次期首領。柳田家安泰安泰。
「そういえば、マナ、あんた何泣いてたの?」
「シナモン姉さま、ミナ姉。聞いてくださいよぉ。お見合いさせられそうなんですぅ。」
「「えっ?」」
「ミナ姉が家を出たから、伯母様のターゲットが私になったんです。」
「もしかして、「あんたもミナみたいになりたくなかったら、若い今のうちに嫁ぎなさい。」とか言われた?」
「ミナ姉、聞いてたの?」
「あの伯母さんならいいそうよ!」
「ミナもマナも大変ねぇ。研究室移動する予定だから、マナも一緒に寮に入ってもいいわよ。」
「親の説得は、ミナと福ね。」
「えっ?俺ですか?」
「あんた、彼氏として挨拶行くとか、思ってない?」
「いえいえ、それ、まだまだ先の話ですから。まだ、お付き合いするとかしないとかも、話してません。」
「「「えぇ〜まだその話もしてないの?」」」
ことりとあゆみとカエデが、福に対してブーイング。シナモンがそれに乗じて……、
「したく無いの?」
「したいですよ。」
「ミナは?」
「したいです。」
「じゃ問題ないじゃ無い。今すぐ、交際のお願いしなさい。どっちからでもいいわよ。」
呆れ半分、さっさと纏まれ半分、盲導にでもなれ半分……。シナモンの厳命が降った。
「あの、シナモン姉さま?福先輩、福の神とミナ姉、付き合ってるんですか?」
「マナ、ちゃんと聞いてた?……相思相愛なのに、ぐずぐずしてるのよ。……あぁ〜イライラする!」
「はぁ……」
全員の注目が二人に注がれた!緊張が高まる福とミナ……。
「ミナさん、僕のお嫁になってください。」
「はい!よろしくお願いします。」(赤)
心を決めた福の神……。いきなりそうきますか!(笑)
「「「「はぁ〜?」」」」
一瞬の静寂が広がった……
「「「笑」」」
その場にいた一同が、大爆笑した。お庭番組にとって、シナモンお嬢様の言いつけは絶対らしい。兄の方はどうなのだろう?(汗)
「青年、直球だな。でかした!」
「娘さんも、嬉しそうね。よかったわね。」
マツさんとカザリさんが祝福してくれた。福の神に、松飾?お正月みたいに縁起がいい夫婦だね。
一気にプレオに春がやってきた。…………あ、初夏です。
「この店は、神の祝福が濃いのかもしれぬでござるな!」
「週が一回りしてないのにのぉ、……何組目じゃ?」
「天童くん見てたら、僕も行くしか無いなって!」
「ジュリエットと、二組目ですが、赤子7人もあるでござるな。」
「シナモンのご主人も、公表されたしな。」
「ジュリエットさまと誰が?」
「あ、あそこで照れてる天童くん。彼の高校生の頃からの夢にまで見た……、実際夢に現れてた思い女だったらしよ。」
「「「えええぇ〜」」」
修一くんが聞いてきて、僕が答えたら、獣王国組と研究者組が一斉に驚いた。そりゃ、知らなきゃ、驚くわな。知ってても、驚いとこうかしら……。
「ジュリエット姉さまにも春がきたのね。」
「天童くんが告白したけど、今はジュリエットの方がお熱にゃ。」
「エリーそうなの?」
「カザリ、もうお祝い考えておいた方がいいわよ。」
さすがいつもそばにいるエリーの観察眼、周りは納得しかなかった。
「さっき、天童連れて帰るって、叫んでたのは、いつもの冗談じゃなかったのね。」
「いつもの悪ふざけだと思ってたよ。」
「福、まさか、本当に結婚の挨拶するつもり?」
「いえいえシナモン先輩、ちゃんと副室長として、お二人の入寮相談と親御さんへの説明してきます。」
「福、いい歳だから細かいことは言わんが。結婚までは健全なお付き合いをな。柳田一族の伝統だ。」
「めっちゃ、細かく厳しいこと言ってますよ。室長。」
「社長、我が一族の家訓です。うるさい親族対策です。」
「あれは、結婚の挨拶してくるっすね。」
「半蔵さんもそう思います?」
「りおんさんも?」
「経験者は語るよね。」
「え、りおんさんも?」
「え、半蔵さんも?」
「りおんちゃんの同類、結構いるね。」(笑)
「そう言えば、引っ越し準備組、親の説得うまく行ったのかなぁ?」
「ヘルプ電話、来るとしたら、そろそろよね」
「シナモン、行かせるわけにはいかないわよね。」
「安定期前だからねぇ……。」
「たん、たた、たんたらったった、たらたらたん
たん、たた、たんたらっ……」
よく知ったあさのスマホの着信音が鳴った。誰からだろ……。
魔法主体の工房スタッフと電子工学の研究畑が、頑張って共同開発した『かんたん送金』機能だが、コンビニの現場では約1週間まったく使われてないと知り、愕然とする修一……。開発者あるあるとはいえ、「ちゃんとマニュアル読めよ!」って叫びたい気持ち、ちょっと気持ちはわかりますよね。
それに加えて、弟分たちの魔法習得に、怒涛のプロポーズラッシュ。
「お前ら何やってんだぁ〜」って叫びたくなって、当然です。
修一の爆発の陰で、小さくなった、マナの悩みも……。「修一がきっといいことあるよ」「マナ、逃げていいよ」などなど、思ってくれたら、嬉しいです。




