第93話 蒸らし炒めの甘い野菜とミノタウルスのカレーライス試食会
「あさ、これ食べて」
「あ、姉さん、ありがとう」
「やっぱり、バレるか!」
「カエデの後じゃね。」
「「「これどうぞ」」」
「春樹、ありがと」
「康太くん、すごいね。ちゃんと消えてたよ。」
「あゆちゃん、すり足だと、バレバレだよ。」
僕と実とことりの横に、従姉妹組が隠れてた。
「「「驚いてくれないか」」」(悔)
「っていうか、なんでいるのよ?」
「……学校は?」
「あ、3時間目で、世話になってる叔母が倒れたって、帰ってきた。」
「私は、叔母が怪我してサポートいるって、帰ってきた。」
「僕は、叔父の犬が逃げ出したって、帰ってきた。」
「全員、嘘下手!今頃バレてるわよ。」
「うそだよ。中間テスト。3時間目までで終わりだよ。」
「あさちゃんが意地悪言うから、意趣返しってやつよ。」
「うちの学校、二学期制だから、今日なんだよ。」
「「……負けました。」」
「春樹はだから、朝勉強してたのか?」
「カエデも知ってたの?」
「「うん。」」(笑)
「あゆみと康太は勉強してたの?」
「はぁ、それは聞かないでね!」
「二人とも、赤点の心配はないよ。約束だからね。」
「二人とも、不思議と成績いいよ。」
「カエデ、『不思議と』はいらないと思うよ。」
「うん、いらない!」
「ところで、隠密、義兄さんも会社でやったりしてないよね。」
「大丈夫でしょ。2秒しか消えれないから。」
「姉さんは、長かったわね?」
「ユンゲルと、子ども達が魔力足してくれた。でも、あと2秒で切れるとこだった。」
「そんなことできたの?」
「魔力放出トレーニングの応用だって。あの歳は柔軟ね。」
「ユンゲル、足立区民にも効いたの?」
「子どもたちの時より、増えた気がしたわ。」
「ここにも、柔軟なのがいるわよ。」
「ジュリエット、俺のこと?」
「文句ある?」
「無いです。」
「「「「本当に、篠山家、全員隠密魔法使ってる。」」」」
「一晩で、なかなかのもんじゃのぉ。修行すれば、実践も可能じゃの。」
「隠密の安定性で言えば、半蔵にも負けませぬな。油断大敵でござるぞ。」
「はぁ、秋山先生。おいらも精進っすね。」
「???」
「秋山先生、いらっしゃってたんだ。……田沼くん、あとで紹介するから、今は待ってね。」
「はい。」
……
「みなさん、カレーライス手元にありますか?」
「「「あるよ」」」
「まずは、ドボルジンクさま、感謝の祈りをお願いします。」
「りおん、わしかのぉ?まぁよいわな。
この世界を創造された神と、我々を恵み守ってくださる御子さまに感謝を捧げます。敵の魔法弾から、同胞をお守りくださり、この地に送ってくださり感謝であります。
昨晩、あさとりおんを備えてくださって、治癒の魔法を与えてくださり、感謝です。
今、我々にとっては初めての食をいただけることも感謝して、この祈りを皆と共に捧げます。御子の御名によって祈ります。
アルーノ」
「「「アルーノ」」」
祈りが響いた。
「私たちもアルーノって唱えていいんですか?」
「本当にそう思います。って意味だから、そう思えたら、大丈夫よ。」
「じゃ、大丈夫です。」
「「「「アルーノ」」」」
「良きことじゃ。神の御名によって、獣王国の者達と新しい研究者達を歓迎する!」
「「「アルーノ」」」 ×一同
「聖職者は置かないって言ってて、実質はドボルジンクさまが預言者よね。」
「シー、あさちゃん」(笑)
「ドボルジンクには聞こえてないわよ。」(笑)
「「ジュリエット」」(汗)
「さ、みなさん、お口に合いますでしょうか。ぜひ、カレーライスをご堪能ください。」
「「「いただきま〜す」」」 ×スタッフ&常連
「お肉を提供してくださった、ギルマス、ありがとうございます。」
「「「ありがとうございます」」」 ×一同
「お、おう!」
「いい匂い、これ、なあに?」
「一口食べてみて。」
「「「美味しい〜」」」 ×子ども達
「「「辛いけど、美味しい〜」」」 ×大人達
「え?お前達、こんな辛いの大丈夫か?」
「「「辛く無いよ。」」」
「子ども達にはこちらの甘いカレーをかけてます。」
「大人の方達は、こちらの中辛をかけてます。」
「もう一つの鍋は超辛いです。試してみたい方は、お代わりでチャレンジしてください。」
「その小さな箱が、こんな量になるのか?」
「あ、このルー、スープの素です。具はじゃがいもと玉ねぎ、にんじん、セロリ、だったよね?」
「りおちゃん、エリンギとミノタウルスのいろんなお肉も入れたよ。」
「カエデ、ありがとう。」
「「「ミノタウルス」」」
嬉しそうなコーラスが響いた!
「贅沢なカレーじゃのぉ」
「ドボルジンクさま、カレーをご存知ですか?」
「わしの子供の頃までは作るお人がいた。使徒さまのお弟子のお弟子のその弟子じゃ。」
「えっ?使徒さまのお弟子のお弟子のお弟子?」
「香辛料を揃えて、お作りになるのじゃが、材料集めと粉にするのが、大変すぎてのぉ」
「誰も引き継ぐ人がいなかったと……。」
「流石に使徒さまとお弟子はお亡くなりになってたがのぉ」
「味は似とるが、もっとサラッとしておったのぉ」
「あ、あさ、今度タイカレー作ってみてね。」
「サラッとしたカレーもあるのかのぉ」
「あさが作る鶏肉のカレーが多分同じです。」
「鷄か、そうじゃ確かに鶏肉じゃった。……それは楽しみじゃのぉ。」
ドボルジンクさまの目をいつもより厚く水の膜が覆っていた。
「使徒さまがこちらで過ごされたのは短かったようじゃ。お弟子の言葉が共通語の始まりじゃ。皆がその方のもとで修行をして、お弟子の言葉で話したで、それがこの世界の共通語になったのぉ。」
「なんだか、色々わかった気がしますが、詳しくは後ほど……。」
「難しいことは後にして、カレーを楽しもうのぉ。」
「「ハイそうですね」」
「おじちゃん、カレーお代わりしていい?」
「ちょっと待ってね。」
「激辛、中辛、甘口、少しずつ取ってあるよ。」
「カエデ、お手柄。」
「あとで、試食したいって人、いそうでしょ?」
「この匂いだもんね。」
「はーい、子供達はお代わりしていいわよ。」
「「「やったぁ〜」」」
「でも、少なめね。残り少ないから。」
「大丈夫、もうちょっと食べたいだけ。」
「いい子たちね。」
目を細めながら子ウルフの頭を撫でるあさだった。
「大人も、半分ずつぐらいですけど、おかわりどうぞ。みんな大丈夫だよ。」
「こっちは、もっと辛いので、そちらもおすすめです。」
「じゃぁ、その辛いのもらおうかな。」
「どうぞどうぞ」
「「「俺も」」」
「「私も」」
「「「僕もぉ」」」
「ありがたい、こんなの食べたことないから、味わいたかった。」
「野菜が甘いのに、ルー?スープが辛い。複雑で不思議な味だ。」
「肉にも味がついてて、ほろほろだし。」
「このゼリーみたいなのはなんだ?」
「それ、スジ肉かスネ肉なんです。美味しいでしょ。」
「あの硬くて捨てるところか?」
「じっくり煮ると、こうなりますよ。」
「そうなの?」
「はい。こうなるまで、煮るんです。」
「俺は、乾燥させて砕いて肥料にするだろうと、入れておいたんだが、食べることできたんだ。」
「ギルマス、我が家の大好物です。冬も美味しい料理になるので、捨てるなら、くださいね。」
「他にも料理あるのか?」
「まだ、いくつかありますよ。」(笑)
「ごはん、足りなかったら、午後から同じお肉の特大カレー角煮おにぎりを販売します。」
「ご購入お待ちしてます。」
「それ、絶対食べる。」
「りおんは、ちゃっかりしてるなぁ」(笑)
「ギルマスのお肉分、特価で2割引にしてますよ。1個16リオン」
「じゃ、俺3個な」
「ギルマス、おにぎりって、さっきのか?」
「あれの3倍ぐらい大きいやつだ。しかもさっきのカレーの肉が入ってる。」
「そりゃ、美味しそうだな。」
「「「じゃ、俺2個」」」
「「私も……2個、子供に半分取られるから。」」
「店長、もう少し休憩させてもらっていいか?」
「はい。そのための場所ですから、譲り合って使ってもらってます。今日はみなさんが優先です。」
「ありがたい。」
「一息ついたら、ギルド本館の宿舎に泊まれ。色々聞きたいこともある。」
「それもありがたい。」
「こっちに来る前に、こちらの口座に金移しておいたが、確認してもらえるか。」
「悪いが、緊急事態だから、ギルマス権限で確認させてもらった。マツの全財産っぽい金額が入ってたぞ。」
「そんなに多く無いだろ?」
「結構入ってたぞ。パーティーの活動資金としては半年〜1年は大丈夫じゃないか?」
「そんなわけない。俺たちギリギリの生活だったんだぞ?」
「あっちのギルマス。フェンリル殿が追加したんじゃないか?」
「あり得るな。今回は先ぶれだって言われた。依頼書をもらう時間はなかったが、依頼にして、前渡金をくれたのかも。」
「先ぶれか。」
「あっちは、かなりヤバいのか?」
「戦でヤバいわけじゃなく、内乱だな。」
「敵は創世神国じゃないのか?」
「魔法弾は最近では、着弾点が予想できるから、死者は出てないんだ。」
「なら逃げる必要ないじゃないか。」
「獣王国内の派閥争いだ。」
「子どももいるから、話は後にするか?」
「そうだな、そっちにも元服前の子がいそうだな。」
「彼らは、大丈夫だが、まぁ、今は楽しい話にしよう。」(笑)
避難民だけじゃなく、貴重な情報も飛び込んできたらしい。
……会議室バッティング?
「それにしても、店長の治癒魔法はすごかったな。」
話がループしてきた。そろそろ会議、しないとかな。
会議に来たはずの研究者たち、美味しいカレーをいただいて、ただただ試食というか、美味しいグルメに浸ってる。さ、そろそろ本業を頑張ってもらわねば。次回はシステム会議ですかね?
最近、作者にも続きがわからないんです。なんで銃王国から避難者が出たんでしょうね?




