第91話 カレーができたので、特務室研究科のメンバーを迎えてイタズラした
「あさ、カレーどう?」
「ちょっと待ってて、今、角煮を引き上げてるの。」
「残ってたら、当たりお肉だね。」(笑)
「角煮は、午後のおにぎり用よ。」
「でも、炊き出し足りなかったら、みんなで作って、出しちゃおうか?」
「そん時は、デモンストレーション兼ねて、あっちで作ったらいいよ。」
「それもありね。」(笑)
「ご飯、あと2升。炊いとくか!」
「冒険者食べるからねぇ。……お願いしようかな?」
「あ、研究班もこっちにくることになったんだ。聞いた?」
「シナモンから聞いてるわよ。」
「彼らは足りなかったら、ステーキって手もあるわよね。」
「もうすぐ着くらしいよ。」
「残念。ステーキお預けね。」(笑)
「おにぎりもあるから、足りるよ。」
「じゃ、ゲート行ってくるね。」
「イートインの設営は?」
「実くんと福くんが中心で、ブラックウルフのお父さん達も手伝ってくれてる。」
「カレーとおにぎりとスープを配るテーブルも作ってくれてる?」
「大丈夫。ちゃんとやってくれてた。」
「ジュリエットが、治癒魔法の確認してくれてたわよ。」
「ちゃんとできてたかな?」
「丁寧だから問題ないわって。ヒールを重ねがけして、悪いものは取り除いてくれたって聞いたわよ。」
「ヒールって、細菌除去なんだ。ありがたいね。」
「りおん、その細菌とはなんなの?」
「ジュリエット、傷ついたところには、土や剣についた異物が付着してることがあるんです。そこに人の目に見えないほど小さい、悪さをする生き物が生きてたりするんです。それを細菌と言います。」
「ヒールは悪いものを取り除くとイメージするように伝えられてきたが、足立区では具体的に立証されているのね。」
「りおちゃんが、いたずらするから、ジュリエット達が、あっちは足立区って世界だと思ってるじゃない。」
「そう?」
「ジュリエット、あっちは日本て国で、日本がある星を地球。すべての国々がある場所を世界。足立区は私たちが住む東京都の街の一つよ。」
「あさ、わかっているわよ。面白いから乗ってるだけ。」
「ジュリエット!」(怒)
「じゃ、ゲート行ってくるね。」
「足立区から、誰か来るの?」
「あ、はい。足立区の本社から研究スタッフが打ち合わせに。今日は大勢お店にいらっしゃるから、会議室で行おうと思ってます。」
「なんだ、本当に足立区なのね。」(笑)
「ええ、」(苦)
「私たちは、こちらにいるわね。」
「お願いすることもあるかもしれません。」
「その時は気軽に言ってね。」
「はい。よろしくお願いします。」
りおんはシナモンたちと共にゲートに向かった。
「いらっしゃいませ。」
「あ、りおんさん、こんにちは。」
「ご無沙汰してます。」
「父がいつもお世話になってます。」
「修一くん、こちらこそです。」
「冒険者Payどうですか?問題ないですか?」
「トラブル皆無ですよ。ただ、ギルド側の問題がさっき、わかりました。」
「なんですか?」
「詳しくは後で伝えます。」
「そうですよ。課長、私たちも挨拶したいです。」
「こんにちは。琴子ちゃん」
「兄たちが、ご迷惑かけてません?」
「福田兄弟、頑張ってくれてるよ。」
「あと二人が、新人です。シナモンさんと秘密保持魔法契約をしました。」
「初めまして。店長の浅田りおんです。」
「田沼仁と申します。」
「えっ、田沼さん。よろしくお願いします。」
「ふふ、秋山さんという剣客がいらっしゃるそうですね。」
「はい。無外流を極めている剣客です。甥を暴漢から守ってくださいました。」
「刀を振るわれたのですか?」
「はい。……田沼さんは剣客の秋山先生とご関係が?」
「はい。先祖です。秋山三冬の子どもが田沼家の養子に……。子供が絶えないように分家を立てたのです。」
「三冬さまが実在?まさか……。」
時代劇オタクとしては、驚愕の事態。
「今日、先祖に会えるかもと思って、楽しみにしてまいりました。」
「えっ?秋山先生も本物なんですか?」
「ええ、その方かどうかはわかりませんが、血は繋がっている可能性があります。」
「三冬のひ孫が昼日中の釣行中、同僚の前で突然消えたのです。」
「神隠しですか?」
「川に落ちたか神隠しにあったかと系図に記されています。」
「系図ですか……。」
「ほんとにオタクなんですね。そこで引っかかるとは……。」(笑)
「失礼しました。」
「あれ、ちゃんと買ったのに、いちゃもんつけれて、こっちが被害者です。」
田沼意次ファンとしても、同意である。
「消えた時は36歳で後継も授かっていたので、分家が今も続いてます。」
「昼日中、釣りをしてて?目撃者もいるんですか?」
「目撃者、釣り大会で大勢いたみたいです。」
「秋山先生は漢字も日本語もできません。」
「ではご当人ではないかもしれませんね。」
「翻訳魔法の所為とも考えられますね。」
「お名前も残ってるんですか?」
「秋山麟三郎と申します。」
「秋山麟造先生です。」
「似てますね。」
「親族かもしれませんね。」
「ワクワクすっぞ!」
「はい、オラ、ワクワクすっぞ!ですね。」
「あ、私、奥山マナと申します。」
「ミナさんの妹さん?」
「はい。お姉ちゃんがいつもお世話になってます。」
「こちらこそ、お姉さんにお世話になってます。」
「あの、私も寮に入っていいですか?」
「はぁ、空いてると思いますが、それはシナモンの領分で。」
「シナモン室長、私も、私も寮に入れてください〜えぇぇぇ〜ん」
「急にどうしたの?何かあった?」
「はい。いえ……何も」
「何もなくて、いきなり泣き出さないでしょ。」
「はい。あのぉ、家に居づらいんです。」
「あなたの両親て、優しくて、問題ないでしょ」
「両親には家にいてって、言われてます。」
「じゃ、……」
カンカンカンカンと寮の階段を降りる音。
「やっぱり、マナなんでこんなとこで泣いてるのよ。」
「お姉ちゃぁ〜ん」
「今日はいったい何人泣くんだ?」
「さっきのあさの泣き方もすごかったわね。」
「あれ、ハグしたのは、今考えると恥ずかしい。」
「室長、りおんさん。これ見て、その話……いま盛大に恥ずかしいのは私です。」(怒)
「じゃ、二人は放っておいて、あっちに行きますか。」
「そうね、ミナ、マナのこと任せたわ。」
「承認はしとくから。」
「ゲートに手を触れて、マナちゃんと仁くん、承認と……。」
「さ、会議室へどうぞ。」
「えっ?置いていかれるの?」
「「「「えっ!会議室直行?」」」」
「ミナ、もしかして、あのあと寝てた?……マナ、さっさと入りなさい。」
「室長、なんかありました?……下から走る音が聞こえてましたけど。」
「あったどころじゃないわよ。」
「え、私また見逃したんですか?」
「ハァ〜」(笑)
「ミナさんだな(笑)……修一くん。ゲートも進化してるよ。」
「先頭の人が行きたいとこ念じると、事務所と調理場と会議室、倉庫のどこかに直行できる。おばあちゃんはなぜか調理場直行。犬部屋も行けるかな?各扉に繋がるんだよ。」
「いつから仕様が変わったの?」
「気がついたら、こうなってた。」
「えっ?」
「……もしかして、シナモン気づいてなかった?」
「私、バックヤードからしか入らないもの。」
「さあ、異世界へようこそ。
異世界コンビニ『戦場のファミリーストップ』へいらっしゃいませ……。
今日はちょっとトラブルというか、事案?ぐらいかな……があって、こちらで開催することになりました。ご迷惑かけてすみません。」
「突然悪かったわね。」
「隣国から避難民の冒険者家族が4組、怪我をして駆け込んできたんです。」
「無事、治療も終わって、これからイートインでご飯なんですけど、皆さん白衣じゃなく、普段着ですね。」
「シナモン室長から、背広禁止!って御触れが1週間前に出されたもので……。」
「こういう時、すぐにあっちに行けるでしょ。背広より違和感ないわ。」
「カエデちゃん、みんなのサイズ、覚えた?」
「はーい、取ってきますね。」
「シナモン、四人程度、いまなら紛れ込めるよね。」
「初めての人は約25人だし、そのほかは関係者中心。大丈夫じゃない?あ、兄さん」
「大丈夫だろ。」
「社長、おはようございます。」
「みんな、そんな固くならないでね。普段着で来てる意味がないよ。」
「制服持ってきました。修一さんはこれ黄緑です。琴子さんはうす紫。フジの下でお琴を弾くイメージです。」
「あら、私お琴弾くのよ。」
「田沼さんはこれ、淡い空色。マナさんは薄いオレンジ色。サイズもあってるはずです。着てみてください。女性はあちらの奥の更衣室使ってくださいね。」
……
「すごい!全員ピッタリ。色も合ってる。名前、ゲートの前で挨拶した時いた?」
「はい。シナモン姉さまの後ろに立ってました。」
「全然気が付かなかった。」
「えへへ!隠密魔法、使ってみました。」
……
……
「「「「えええっ」」」」(驚)
新人二人を含む研究者四人。周り中、魔法使いに囲まれてますよ。どうやって魔法を使うのか。カエデちゃんが隠密魔法を作った方法、聞いてみたいですよね。明日公開の次話をお楽しみに!
※秋山三冬さま、田沼家子孫云々はフィクションです。実在の田沼家とは全く関係ございません。ご理解ください。




