第81話 【大スクープ】聖餐式に説教なし!聖なる書では種なしパンと葡萄酒と讃美と食事これがセット!
「ねぇ、私の罪って、どんなこと?」
「りおちゃんが、『私たちの罪のためにその身を捧げ』ってお祈りしてたでしょ。」
「確かに……そうお祈りしたよね。」
「御子さまの血で贖われるほどの私の罪って、なんなんだろって思って。」
直球の質問が飛んできた。あさが受け止めた。
「カエデ、犯罪的な罪を思い起こして、そんなことしてないしなぁって思うでしょ?」
「でも、そういうのじゃないのよね?」
「もちろん、派生的な意味では、そういうのも絶対ダメな罪だけどね。」
「僕なんて、そっちもいろいろしてたから、すんなりだったよ」
「りおんさん、自慢していいもんじゃ無いです。」(笑)
「実くん、昔の大学生は、ひどいもんだったよ。」
「今も変わりないですよ。」(汗)
「はいはい。うるさい大人はほっとこうね。……昨日話した、農園の1デナリ。最初に雇われた農夫が自分が他の人より優位でありたいというのも罪よね」
「神様は誰にでも良心を与えてるんですって。その良心がダメだよって言ってるのに背くのが、罪なんだよ。」
「優位でありたいから自分が頑張ってそうなりたいというのは、大丈夫だよね。でも優位になりたいから、人を蹴落としたいていうのは、罪だよね。いっぱいもらいたいって言う強欲の罪もあるよね。」
「今のカエデたちは、聖なる書を読んで無いから、この農夫たちのように、『自分を優先したがるようなことをして無いか?』、『神様が与えてくださった良心の囁きを無視して無いか。』罪って、そういうふうに捉えていれば良いわよ。」
「あと、カエデが自分で自分の心を吟味して、ごめんなさいって思えたら、それに従えば良いのよ。」
「自分でそんなの私にはないって思ってるのに、人に強制されるのは嫌でしょ。」
「そんな強制、意味ないしね。」
「あ、それならカエデもいっぱい考えるから、罪人だね。」
「まずは自分自身で、吟味して。どうすればいいのかは、またお話ししましょ。こういう時は叔母ちゃんを頼っていいわよ。」
「あさちゃん、叔母ちゃん違う。あさちゃんはあさちゃん。」
「ありがとうね。私、あゆみの叔母でしょ。立場で話しただけよ。
……叔母ちゃんて呼んだら怒るわよ。」(笑)
「真面目な話、毎週、毎日、そう言う自分を吟味する時間を大切にできたら、素敵なことよね。……そう言う日を積み重ねてたら、きっと御子さま、感謝しますって思える日が来るでしょ?」
「こういうふうに、自分の悩みを話したり、人の悩みを聞いたり、質問したりするのって、寺子屋も神様の群れも大事なことなんです。これを経験してない神の民は、成長していかないんじゃ無いかなってそういう気がします。」
「嫌な例えだけどね。聖餐式の前には「何も持たない人々に恥ずかしい思いをさせようとするのですか」って聖句を聞くのよ。なのにね、クリスマスの祝会で、「これ美味しいわよ。なくなる前にもらっときなさい。」って親戚の人誘ってる信徒のおばさんやおじさんがいたの。新しい人、生活が大変な方も参加してるのに、自分の親戚が優先なんだなって、悲しくなっちゃった。りおちゃんが良くして貰ってた方たちのために作ったスイーツだったの。」
「りおちゃん特製プリン!冬の楽しみ!」
「公園で遊んだ後のおやつ!」
「あゆみたちが喜ぶから、それじゃ新しい方たちにも、食べてもらいたくて作ったんだよ。」
「うん、あれ美味しい。」
「あれ、同じ材料で作ったケーキ屋のプリンは高いからね。手作りだと、卵と生クリームとお砂糖と材料代だけだからねぇ。あ、あゆみたちは普段用だから、牛乳だった(笑)。」
「牛乳でもおいしかったよ」
「我先のおじさん、おばさんも食べてくれて良かったんだけど、配慮は欲しかったね。」
……
「りおさん、聖なる書って、毎日少しずつ読むのが良いんですよね。学校でそう教えられました。」
「同じくそう教えられたけど、僕は一気に読むのが好きです。」
「えぇ?聖なる書、全部?」
「あ、ごめん、福音書ごととか、書簡ごととか、時間をとって一気に読むってこと。」
「あ、そう言うことなんですね。」
「緑山さん、お手紙、たとえば熱烈な長文ラブレターもらったとするね。一日、1枚づつ読んだりしないでしょ。」
「しませんね。ラブレター、もらいたい。」(汗)
「ごめんね、変な例えして。……福音書も、コリント人への手紙とか、書簡の書も手紙形式なんだよ。だから、手紙は一気に読んだ方が、理解しやすいかな?って僕の思いなんだ。」
「確かに、その方が、良さそうですね。」
「そうやって読むと、パウロさんやヨハネさんが自分に書いてくれた手紙読むって気になれるよ。福音書は御子さまの物語。魔法冒険ラノベ小説。」
「魔法って言って良いの?奇跡じゃ無い?」
「うん。そうかもね。まぁ、僕は両方を同じ感じで捉えてる。」
「りおちゃんだなぁ〜」
「めちゃくちゃいい加減って意味ね!」(笑)
「あさとシナモン、酷すぎ!」(笑)
「もしかして、りおちゃんが良い加減だから、本当は奇跡と訳す言葉を魔法て訳してたりしない?」
「あるかもしれない」
「ジュリエットさまたちにごめんなさいしないとダメかもね。」(汗)
「魔法って、聖なる書では禁止してた気もしない?」
「してるね。魔法見たとき悩んだけど……どうしよう!」
「だって、魔道具とか、どう考えても魔法じゃん!」
「ジャンって言っても誤魔化せません。」(笑)
こうして、いろいろな質問を受けたり、お互いに聖餐式の感想や、魔法と信仰の関係を妄想してみたりと、いろいろ話が弾んでいた。
「おはよう!お店の灯りがついてたから、来てみたわ。」
「あ、ジュリエット、おはようございます。」
ジュリエットが飛び入り参加した。
「今、ジュリエットの名前が出てたとこだったのよ。」
「なにかあったの?」
「後でね。」
「イートインでもしかして、聖餐式の最中?」
「そうなんです。ジュリエットとドボルジンクさまの信仰にふれて、若者たちがやりたいっていうので、あさと僕で司式してます。」
「じゃ、ここから私も参加していい?」
「はい、ぜひ。違いを教えてください。」
「ここまでは何してたの?」
「まず、讃美歌を歌って、僕が神を賛美するお祈りをして、“ちゃぱてぃー”を分けて食べ、食事に入ったところです。」
「この後は、食事が終わってから、お祈りを捧げて、葡萄酒を飲むのかしら?」
「はい。」
「長〜い説教は無し?」
「あ、要ります?」
「いらないと思うわよ。」
「やってるとこあります?」
「人間の国とかの大きなところはやってるかしらね。」
「あっちでは、新教はどこでもやってます。」
「僕たちはやめました。」
「じゃ、聖なる書の通りで、私たちと同じね。」
「やはりそうなんですね。」
「まだ、食事の最中ですから、よかったらご一緒に……」
「ありがとう。美味しそうなオムレツね。」
「それはことり、こっちはりおんちゃんが作ったものよ。」
「いただいて良い?」
「どうぞ、“ちゃぱてぃー”に乗せて食べると抜群よ。」
「あさ、抜群って、死語よ。」
「良いじゃ無い!」(笑)
「どちらも、美味しいじゃない。こっちは何か入ってるわね。」
「ハムとバジルを入れて、包み焼きしてるよ。それ、僕が作ったの」
「春樹も作れるのね。さすが甥っ子ね。」
「私がきたから、静かになっちゃった?……遠慮せずに話し続けてね。」
「ジュリエット、ありがたい説教でもしてくれる?」(笑)
「じゃ、なぜ説教が不要か、長〜い説教しましょうか?」
「ジュリエットお姉さま、私、長い説教だと寝ちゃいます!」
「緑山もみんなも長いの苦手よね。冗談ですわよ。」(笑)
「りおん、冗談はそのくらいに……。この時間は心を耕す大事な時間なのよ。……そうね、じゃ、一つ質問しようかしら。」
「何なりと!」
「魔法をどう思ってる?……」
「「「えっ?」」」×全員
「ごめんなさいね。実は、広場からあさとりおんのやり取り聞いてたのよ。」(笑)
「えぇ、聞こえるんですか?」
「心配しないで、私とエリーぐらいかな?広場から店の中の音、聞き取れるのは。」
「魔法とか使ってるんですか?」
「魔法使ってだと、悪意があると結界がキャンセルするから、心配しなくて良いわよ。私とエリーは耳がいいの。エルフと猫獣人の中でも特にいいのよ。特殊スキルね。」
「そうなんですね。ホッとするような、ドキドキするような」(汗)
「こないだ、シナモンがお店の中でプチ切れしてた時、やっぱり聞こえてて、ごめんてお辞儀してた?」
「りおん、やっぱり見えてたのね。」
「えぇ、えぇ、私がキレてたの、ジュリエット聞いてたの?」
「多分、そうだと思ってた。」
「りおんちゃん、なんで教えてくれないのよ。」
「シナモン、ごめんね、興奮して失礼なこと言ったわね。」
「そんなに怒ってないわよ。大丈夫。」
「あの時もエリーにそう言ってたね。」
「で、りおんの悩みよね。」(笑)
「聖なる書、持ってます?」
「あるわよ。これ」
ジュリエットがストレージから聖なる書を取り出した。
作者は聖なる書=聖書で魔法禁止って書かれてたの知ってましたよ。知ってたんですけどね。諸事情で、使うことに。諸事情については、次話の後書きで言い訳書きます。
言い訳って断言してるし(笑)
次話の後書をお楽しみに。




