第65話 緊急会議は「魔獣解体職人見習いを探せ!?」彼に魔獣解体を教えることは決定事項です。会ってみましょう。
『ファミプ』プレオ店の特徴は、雑談から会議になり、会議してたら雑談になる曖昧さ。まぁ、ほぼ雑談ですね。
「では、2階の会議室で、ちょうどこちらも揃ってますしね。」
ギルマスと緊急会談を制定した後、アルノに声をかけた。
「社長、暇なの?」
「暇じゃないはず…」
「昼食会から帰ってから、ずっと居ませんでした?」
「いや、途中で、真・社長室で事務してたよ。」
「その真、ちょっと古く感じますよ。」
「第二社長室にしておく」(汗)
「二番目の社長みたいですよ。社長室第二の方がいいんじゃないですか?」
「他の考える。」
「ほんの少しですけど、してましたね。」
「柳田さん、3時間はしたよね!」
「ちょこちょこ、こちらの見学に来てましたよね。」
「天童が悪いでしょ。今日は…。」
「私も経過気になりましたしね。」
二人、一緒に降りて来てたのね。
「時間は?」
「あるよ」
「大丈夫です」
「ということで、あさもシナモンも大丈夫でしょ。」
「大丈夫!」
「その前に、秘書室の備品、発注しないと。今日あっちは水曜日でしょ。配送、来週になっちゃう!」
「本社の秘書室と同じものを人数分カートに入れてありますが、確認されますか?」
「すぐする。半蔵くんが帰ってくるまでには終わらせる。」
「ギルマス、それからでいいですか?」
「半蔵に声かけたから、待っててやるつもりだった。お茶しとる!」
「山野と国道分は発注終わってます。」
「なんで、そっちのだけ早いのよ!」
「すみません。声かけるタイミングが…。」
「まぁ、変えたいものもあったから、よかったわ。」
「緑山、手伝って。みんなの備品注文する。」
「はーい!」
「そうだ、だれか知り合いに鳥獣解体したい人、できる人がいる人、できる人。……居ない?」
「りおんくん、大雑把な希望だねぇ。」
「社長の関係者で、います?」
「・・・」
「いないと…」
「りおちゃん、ちょっとやばめなのはいるかも。」
「春樹、同級生?」
「康太にいちゃんの中学の同級生。」
「啓太のことか?」
「わかった。いるのか、じゃ、後は半蔵くんとシナモンの用事が終わったら、2階の会議室で。春樹たち4人も参加してもらおうか。」
「後のみんなには、シナモンと柳田さんに説明してもらうから。お店のこと、頼むね。」
……
はてさて。シナモン、半蔵も揃った。
「で、康太、誰だ、そいつ」
「徳山啓太って奴だけどさ。いい奴なんだよ。それ前提な。代々マタギの家系でね。親父さんが山を降りて、東京でステーキレストランしてるんだよ。たまにうちも食べに行ってる。」
「それって、綾瀬にある店か?ログハウスみたいな木のテラスの」
「それそれ。あそこ美味しいでしょ。」
「その啓太、実践やりたいって、いま農業高校に通ってんだ。」
「実践?」
「畜産獣の解体。」
「お爺ちゃんがマタギで、夏休みとか一緒にずっと山行ってて、畜産科行くと解体ができるって、農業高校入って大学は東京農大か、東大農学部に行きたいって。なら高校は普通科に行けって、おじさんにもお爺さんにも言われたらしいんよ。」
「この間、僕の入学前に康太兄ちゃんと一緒に会った時、目が血走ってて、鶏の解体したら、面白かった!次豚!って、すごい興奮して語り続けるの。ちょっとサイコ入ってた。」
「怖かったなぁ。大丈夫ってか? って聞いたら、「おかんにもそう聞かれる」って。」
「初心者ハイって奴だな。」
「特に、才能のある奴がなりやすいわね。」
「ちゃんと時期を見て経験させないと、危ないぞ」
「怖さも知らないと、問題を起こすやもしれぬでござる。」
「そやつの爺さん、自分で指導したかったんじゃろうの」
「問題って?」
「2種類ある。解体が怖くなる者と、解体を遊びのように考える者。」
「家が、杣人なら遊びのようにはならぬでござろうの。」
「杣人の家で、解体が怖くなるのは問題だのぉ。」
「康太、そやつの家が杣人なら、異界には慣れておるのではないか。」
「そうでござるな。森には街の人間には感じられないものもいるやもしれぬでござる。」
「森の中だと、誰もいないのに、いたずらされたり話しかけられたりするって言ってた。」
「コロボックルや妖精がいるんじゃないか?って、話してたよね。」
「カッパとか座敷童とか?」
「あゆちゃん、それは川とお屋敷。」
「河童の川流れっていうもんね。」
「カエデ、なんでそんな言葉知ってるのよ?」
「早い時期に、良い師匠のもとで数をこなさせたほうが良いでござるな。」
「いきなり連れて来ても、良いかもしれぬな。」
「異世界も森も、変わりはなかろう。」
「ここに連れてきて、一時記憶忘却魔法をかけておけば、問題はなかろう。」
「秘密保持魔法契約できなければ、忘れてもらうだけでいいわけですものね。」
「決定じゃの」
「えっ?決定なの?」
「杣人の家系で解体ができなくなるほうが、問題じゃのぉ」
「可能なら、啓太くんの父と祖父とも話をしたいですね。」
「啓太の爺ちゃん、ちょうど来てるって言ってたよ。」
「心配だったんじゃない?」
「その子の家系では特別な課程で体験してたことを、途中から他の者と同じ課程で学べば、おかしくなるのは当然だわ?」
「それでストレスが溜まって、精神が病んでおったということじゃと、ワシは見るぞの。」
「人間より長く人を見ておる我ら3人、信用して良いでござるよ。」
「爺さんは、大切に孫を育ててきておったんじゃろのぉ。」
「子供の時からの流れに戻してやるのが良いということじゃ。りおん、お主ならわかるじゃろ。」
「そうですね。特別な学びをしてるものを、普通の基準の学校に合わせる問題は、私たちの国の大きな問題点です。」
「それぞれの能力に合わせて、成長させるのが苦手な国ですよね。」
「あら、春樹、難しいこと考えてるのね」
「あさちゃん、僕ら、りおちゃん筆頭に、変な人だらけの中で育ってると思うよ。」
「俺、普通のモブだけど?」
「「「どこがぁ〜」」」×全員
「せっかく就職した会社、嫌になって、1年で辞める人はモブじゃない!」
「「「モブは3年我慢するね。」」」
「夜眠れなかったら、昼寝るから、大丈夫って平気で夜更かしする。」
「興味持ったら、ず〜とそれだけしてられる。」
「「「「「「モブではないね!」」」」」
「ほほほ、りおん、諦めるんじゃの」
「モブは自分をモブと思ってません」
「春樹、確信ついてあげないで」
「じゃ、啓太は、バイト勧誘候補ってことでいいの?」
「ギルドの解体職人のもとで、修行させればのぉ、凄腕の解体職人になるだろうの。」
「あっちではできない修行だわ。」
「僕が親なら、その後大学に行って、学問を学べというね。他の人とは違う目で学ぶことができるからね。」
「あ、まず独習しろって学び方、それもモブじゃないわね。」
「あさ、独習してから、教えを乞うたほうが、最初から深く学べるよ。」
「ま、最近、それ納得したけどね。」
「あさが一人でピアノ練習してたの、そのせいなの?」
「大人になってから、ピアノやり直した時、習いに行こうとしたら、りおちゃんに反対されたの。もう、自分が先生になれるから、独習しろって。そのほうが自分で考えて、早いよって。」
「先生に教わると、その先生までにしかならないもの。それに稼ぐためにはのんびり練習させたいしね。」
「講師経験者は語る」
「自分で考えるように教えたら、仕事の依頼が来なくなった。」(笑)
「途中で手が痛くなって、中学生で辞めた時に似てたの」
「で、自分で色々調べたら、今はちゃんと手が痛くならない引き方を指導してる本があったの。もし、習いに行った先生が、前のままだと。もう練習辞めてたかも」
「ネット動画でも昔の弾き方の人多いもんね。」
「独習って、自分で考えて学ぶことを身につけさせることが目的なのね。」
「それができてれば、人から学んだって、いいんだよ。難しいけどね。」
「聖なる書にも『弟子が師を越えることはない』と記されておるの。『師のようになることはできる」とも」
「間違った教えを学ぶと、そのまま間違った教えを身につけるということでござる。」
「正しいことを習って、師のようになれれば、それも良いことよね。師が良ければだけどね。そこが難しいのよ。どんなに良い師であってもね。」
「りおちゃん、私たち、高校生には難しい話になってるよ。」
「教えてもらうばかりじゃなく、ちゃんと自分で考えて、学びなさいってことよね。」
「りおちゃんがカエデ姉ちゃんに「一人で学べばいいじゃん」って言ったのは、そういう意味でもあったの?」
「まぁね。」
「話し戻すと、啓太くんは早めにあっちの事務所に連れておいで。彼のためには早急に必要なことかもしれないね。話を聞いて、必要があれば、こっちに招待しよう。」
「まぁ、春樹くんと康太くんの話を聞いただけの判断ですから、見当違いということもあります。まずは会ってみることですね。」
「では、ギルマス。一人候補が見つかったということで、こちらで解体を受けるとしても、彼だけで精一杯いうことです。」
「成長を待つ時間はい。解体職人はやはりこちらでということだな」
「では、受付業務をどうするかだな。その辺りから話そうか。」
やっと懸案だった、ギルド委託業務についての相談が始まるのか? ギルドから業務委託の開始は、いつになるのか。
タイトルは聖書ルカによる福音書6章40節の引用です。間違った教えに従ってる者たちへの喩えです。




