第61話 翻訳魔法は驚愕の方法で自分で学び成長する
初めの日(足立区でいうと日曜日)の準備のための“種入れぬパン”“種無しパン”“ちゃぱてぃー”の試食販売コーナーが、突然の世紀のスーパー大告白で、主役はジュリエットと天童に…。
シナモンの小さな恋の芽生えを横目に、しばらくしてお店に戻ってきた。ちょうどジュリエットと天童も解放されて戻ってきた。鴨葱だな!(笑)
「ジュリエット、こやつが天童 義隆か。昨日見た時より良い面構えじゃのぉ。」
「気のせいか、精悍な顔つきになったでござるな。」
「ジュリエットに気持ちを伝える決心をしたのが、心根を変えたのやも知れぬのぉ。」
「ご挨拶、遅れて申し訳ありません。
ファミリーストップ社員。天童義隆でございます。
若輩者ですが、よろしくお願いします。」
「あら、秋山先生、ドボルジンクさま。この子たちご挨拶もしてませんでしたね。申し訳ありません。」
「シナモン、堅苦しいことはええのぉ。」
「名前だけは教えていただくでござる。」
「緑山 俊子と申します。」
「山野みゆきと言います。」
「エレン・カーマイケルです。」
「エレンはこちらの名前に似てるでござるな。」
「はい、コスプレーヤーに憧れて、日本に来たスコットランド人です。よく似た島国の生まれです。」
「コスプレーヤーとはなんでござるか?」
「空想上のエリーさんたち猫獣人さんや、エルフさんなど様々な仮装を楽しむ者たちの総称です。わたしも獣人さん、エルフさんによく仮装してます。」
「今度、見せてにゃ。一緒に並んでみたいにゃ。」
「ヒーラーにはならないの?」
「聖女さまは、ことりちゃんの方が似合うと思います。」
「ことりぃ〜。今度ヒーラー修行するわよ。」
「はーい。よろしくお願いします。」
『ねぇねぇ、ことりちゃんって、“ちゃぱてぃー”を焼きながら、生返事してるけど、趣旨が違ってない?』
『多分、ヒルルの勘違いがスタートだよね。あの質問ガチヒーラー募集だよね?』
『あさ、シナモン、インカムでツッコミ入れる癖、付いてない?』
『『りおんが始めたんでしょ!』』
『すみませんでした』(汗)
「カエデ、ことりの聖女服、買いに行くにゃぁ、今度ついて来てにゃ。」
「はーい。りおちゃん、行っていい?」
「エリーさん、ヒルルさん、警護しっかりお願いしますね。」
「「「「やったぁ〜」」」」
『あ、エリーが正道に戻した。』
『私とシナモンに、ウィンクもらった。』
『小声で話してるのにバレてる!』(汗)
「残りはガタイのいい子ね」
「国道 走覇です。日本の道を全て走り尽くすという名前です。馬なし馬車の御者です。」
「翻訳魔法が成長したので、車の運転手で通じるでござるよ。」
「訳すと自走馬車の御者で伝わっているわよ。」(笑)
「失礼しました。」(汗)
『あささん、シナモン先輩。インカムで突っ込むの危険です。……思わず吹き出しそうでした』(怒)
『ことりちゃん、ごめんね。』
『インカムオンにしてたのね』
「シナモン、皆、昨日会った時より、顔立ちがしまったのぉ」
「新しい体験をすると、心構えが変わるのでしょうね?」
「この子たちも含めて、ファミプの皆をよろしくお願いします。」
「あさとシナモンが居れば、大丈夫でござろう。」
「りおんもおるしのぉ」
「さ、みんなそれぞれの持ち場で、よろしくね。」
「ジュリエットさま、名残惜しいでしょうが、天童くん、お返しいただきますね。」
「あら、そばで眺めてるから、大丈夫よ。見てるだけで可愛いの。」
「「「「「「ごちそうさまでした。」」」」」」
「何もご馳走してないわよ」
「幸せのお裾分けをもらった時にも、ご馳走様なんです。」(笑)
はてさて
秘書室組がサポートに散った後、交代し、休憩がてら、春樹と社長と柳田さん。実くんもイートインにやって来た。ことりちゃんとカエデ、天童くんはそれぞれクレープ作りとパン生地を捏ねて、夕方の準備をしていた。
「ドボルジンクさま、いろいろありがとうございます。」
「どうしたのじゃ?」
「翻訳魔法を改良してくださったようで。」(小声)
「ふふ、りおん、勘違いしたのね。わたし、「魔法が成長した」って言ったわよね。」(笑)
「はい。改良してくださって、成長したんじゃないんですか?」
「ドボルジンク、説明してあげて」
「その前に遮音結界魔法をこの部屋にかけておくかの。外には聞こえぬ方がええじゃろのぉ」
たまたま、お座敷周辺には店員とお三方しかいなかった。
「翻訳魔法はな、自ら成長する魔法なんじゃ。」
「基本はあさとりおんの記憶が元になってるわね。」
「元というか、基本辞書で、今も吸い上げておるのぉ。」
「「「えええぇ〜」」」(驚)
「はい。そうお聞きして、」
「了承しました。」
「「「えええぇ〜〜〜」」」(怖)
「ふたりの記憶の中の出来事を、まず共通語で該当する言葉に魔法が結びつけ、できたのが基本辞書じゃ。記憶そのものは、残しておらんから、安心せい。」
「ビッグデータみたいに、必要な要素だけ取り込むから、個人情報とは結びつけれないんですって。」
「家の住所とかも、秘密のものは瞬時に記録から外されるでござる」
「それは今も二人が経験したことで、加筆、補正を繰り返してるということ?」
「そうみたい。」
「夜の……。」
「シナモンの聞きたいことも、らしいよ。」
「カエデ、春樹おいで!」……「なになに?」
おもむろにカエデとハルキのの耳を塞いだあさとりおん。暴れるかと思ったら、おとなしいかった。
「残念ながら、契約以来、夜は大人しいよ。」
「春樹もいるし、それ以上に聴かれてると思うと、なかなかね。」(汗)
「そのうち、忘れて、うっかりしたら、記録しといてください。」(笑)
「そういうのが、その日から、伝わり出すってこと?」
「その前に、別のカップルが辞書構築する可能性もあるわね。」(ふふっ)
「「大人の話は、だいたい想像つくよ。」」
手を離したらカエデと春樹が笑って答えた。
「翻訳魔法を使った時の記憶から文字や言葉のデータは吸い上げられてるんですって。」
「AIと同じだね。」
「キーボードやマイクからじゃなくて、脳は?脳の記憶からってのが、すごいけどね。」
「さ、話は戻すわよ。……二人が共通語の文字を知らないわけだから、最初、共通語の筆記は魔法には無理だったのよ。」
「今でも知りませんよ?」
「そこは、私たち3人よ。私たちの記憶も基本辞書に組み込んであるの。共通語の参照用よ。」
「そこには、こちらの文字の記憶があるでござる。」
「それから、ことりと あさ、お主らお互い同じ言語を学んでおらぬか?」
「この間お話ししたとおり、大学でタイ語を学びました。」
「あら、私もタイ語よ。大阪外大。」
「あささん、私、東京外大です。」
「あらぁ、後輩ぃ〜。」(笑)
「学校違いますけどね。」(苦)
「あの苦しみを通ったものは、後輩よ!」
「それ、すっごくわかる」(汗)
「「先輩(後輩)ぃぃ」」
なぜかすんなりハグし合う二人。ちょい前に嫌がってなかったか?
「翻訳魔法解除じゃ。」
「『ชาปาติ』」
「翻訳魔法再設定じゃの。お主ら、これが読めるのではないかの?」
「「“ちゃぱてぃー”ですね。」」
「やっぱりのぉ。思ったより早かったのはこのせいか。」
「こちらの文字と、タイ語とやらの文字が同じじゃ。」
「その文字読むと発音も同じになってるわね。」
「何かの因果があるのでござろうか?」
「私らとタイという国に血縁があるとかなの?」
「まぁ、わからんが、関係はあるのじゃろうの」
「チャパティというのは、そのタイやインドその辺りで食べられてる、異郷の神への捧げ物のパンです。タイカレーの国です。」
「?カレー?何か忘れてる気がする。」
「りおちゃん、それは後で良いよ。」
「うん、でタイ語の綴りとプレオ語の綴りが同じだから、学習が進んだのかもしれないですね。」
「プレオって、タイ語で炎よね。ことりちゃん。」
「そうでしたよね。」
「プレオは確かに炎じゃのぉ。固有名詞だから訳されなかったのですわ。」
「ことりとあさ、そして我らがここに滞在して、ここの者たちと会話する中で、文字の辞書も発達して来たわけじゃの」
「いま、ここにいる、翻訳魔法を使ったすべての者の一時記憶が翻訳と辞書の補正に役立つ。それで出来上がるのが、二次辞書。拡張辞書ともいうの。基本辞書に公共性を与えるのが、拡張辞書じゃ。これは使った時の記憶で補正しておる。」
「ジュリエットと天童の会話は、これからの恋人たちの会話の礎となるわのぉ。」
「キャァ〜何言ってるのよ。やめてよ!恥ずかしいじゃない!」
「いや、単に技術的説明じゃの」
「気を付けたいけど、気をつけるのも寂しい。」
「義隆、いま考えるのはやめときましょ。」
「はい。ジュリエットさま」
「様、取ってね。」
「はい、ジュリエット」
「カエデと春樹は耳塞いどきなさい!」
「もう遅いよ。終わったみたい。」(笑)
「りおちゃん、あなたもいろいろ考えちゃダメよ。辞書学習されちゃう」
「あさ、僕らのはもう使われてるから、遅いよ」
「再度言うが、プライバシーには配慮しておる。記憶としては残っておらんのぉ」
真っ赤な顔になった、あさとりおんであった。諦めるしかないのも理解した。
朝の会話を思い出した。ギリセーフ。
「AIで翻訳機能とか使って、間違った時補正とかするのと同じだね。自動で補正されたり、脳の一時記憶から直接学習できるとか、遥かにAIより進んでるね。」
「りおんくんの記憶ってことは、経営用語とか、コンビニ本社の隠語とかは、まだないってことだよね。」
「右派系の怖い方々の用語とか、法律用語も苦手です。」
「アニメとコンピュータは得意ね。」
「あさもだから、相撲と洋画洋楽もバッチリ。」
「いえいえ、相撲と時代劇はりおちゃん、担当でしょ。
フォークソングとアニソンも大丈夫だけど、演歌は無理ね。」(笑)
「えぇっ?もうそれだけ処理できてるってことは、
喋った言葉を記録したんじゃなくて、脳に直接アクセス許可してるってこと?」
「AIだって、人間の記憶や発する前の会話は学習できませんよ。」
「そう言ってたよね?」
社長と春樹がAI知識からの感想を呟いた。
「人の脳に直接関われるのが、魔法の強みってことじゃの。」
「わしらでは気づかなかったことでござるな」
「それが当たり前だものね。」
「意識して開発すると、良きものができるでござる」
「魔法で開発して、AIに移行できたら凄いことになるね。」
「世界が変わりすぎるから、やめといた方がいいわね。」
「技術移転は慎重にね。」
アルノとシナモンと春樹。春樹って、そっち系なんだ。
もうすぐ、夜のお客様。今夜のイートインはどうなることやら?
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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