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異世界コンビニ『戦場のファミリーストップ』開店です 〜足立区から出勤、本社と提携。手作り特大角煮おにぎりが爆売れ。夜は常連S級冒険者のほのぼの居酒屋に。  作者: 柿野たね
第1章 異世界でコンビニ始めました

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第58話 待受が示したジュリエットと天童の出会い。それは奇跡なんて言葉じゃ足りない……

 「娘さんを僕にください」からの天童くんの告白と、ジュリエット姉さまの男前な応答に、いきなり恋愛ドラマの視聴者になったファミプ店内の全員が無言に…。荘厳? 静寂? 笑えないだけ? 感動してたのだけは確かです。 福が舞い降り、お祝いモードに。二人の幸せが店内を包み込んだ。

「(社長が知ると)トップ記事、確定ですね。」(笑)


 興奮の潮が引いた時、驚愕の事実を天童くんから見せられた。


「あささん、店長、室長。ジュリエット姉さまって、僕の運命の人なんです。昨日からドキドキしてて、今日は眠れてません。」


「ほら、僕の待ち受け見てください。」


 ジュリエットと並んで、なぜか僕らに説明してくれる天童くん。


 彼のスマホの待受。そこにはジュリエットにそっくりの、いやそのものの、純白で(つた)の花の刺繍の絹のワンピースを纏って、世界樹の麓で祝福を唱えてるエルフのイラストが輝いていた。

 その姿は実物同様に高身長でスレンダー、周りのものよりも小さな頭一つ分抜き出ている。シルバーゴールドとでもいうのだろうか。ほんのり僅かに金色を纏ったシルバー。主張しすぎないゴールドのストレートヘヤーである。鼻筋が通り、大きすぎもせずキリリとしたベールにティアラのエルフ美人がそこに立っていた。

 背景に小さくスレンダーで少し露出過多で短剣2本を装備した小顔の山猫獣人と、大人なのに少し小柄の可愛らしい茶髪でショートボブの白いシスター姿の聖女が少しぼかして描かれていた。


 天童が憧れを自分で描いたイラストは、ジュリエットそのものだったのだ。僕らは見比べて、納得した。


「私にも見せて」

「カエデちゃん、いいよ。」

「この衣装、ジュリエット姉さまの戦闘服の下の衣装とおんなじよ。今日も着てらっしゃるわ。」

「「「あ、本当だね。」」」

「義隆はもっと早く分かりなさい」

「ごめん。素敵すぎて凝視できなかった」


「うちらもいるにゃん」

「この絵の女性は、ジュリエットで確定ね。」

「運命の人に、初めて来た異世界で出会って、一晩悩んでたのね。」

「いきなり、その人の母親出て来たら、テンパって、「娘さんください。」ありえる。」


「僕はないけど。」

「あら、ファミレスで、いきなりプロポーズした人、居たわよ?」

「相談してた夫妻に報告するときに、お付き合いします。というところを「結婚します」って言った人も居たわよね。」

「はい、そういう人、ここに居ます。」(恥)


「高校生の頃に初めて描いて、それから何枚も、戦う姿や、魔法を詠唱するシーン。描くうちにだんだん詳細な描写になって、これは世界樹の前で民に祝福を捧げてる姿を夢で見て、描きました。」

「あら、わたし、世界樹の巫女よ。ねぇ、(かあ)さま。」


「エルフの里の皇女(ひめみこ)の家系で、ジュリエットはその跡取りよ。」

「皇女の旦那が人間で大丈夫なんですか?」


「りおちゃん、旦那はないわぁ、せめて皇女の伴侶ね。皇配(おうはい)が正式かも。」

「皇女の娘はエルフになるのよ。ハイエルフに…。でもどこかに皇配の特徴も受け継ぐの。不思議よね。…婿殿の子どもは、どんな娘が生まれるのかしら。」


「男の子の可能性も…。」

「あら、孫全員女の子よ!男の子は少ないわね。それに男には継がせたくないのが、エルフの世界なのよ。」


「この間、世界樹の里に戻って、継承の儀をして、里の民に祝福を捧げた時、あっエリーとヒルルも後ろに控えてたわよね。」

「そうだにゃぁ、ご馳走してくれるって聞いて、ついていったにゃ」

「ご馳走食べて、すぐ帰って来たけど、皇女が里にいなくていいの?」

「千年も里にじっとしてられないわよ。必要な時だけいればいいのよ。」


「先代も千年、里にいたのは合計しても二百年にもなってないわね。どうせ、どこにいてもすぐに戻れるから、みんな気にしないのよ。」

「里の人もいろんなところに出かけてる人が多いしね。エルフってあちこちで忙しいのよ。」


「お母さまが先代さま?」

「千年統治するから、その間に5〜8代は過ぎるから、先代は6代前ね。」


 ジュリ母の説明に驚いた。


「ジュリエット、あさと りおんのとこには、こんなのばかり集まっとるわい。これは良い出会いじゃ。大切にのぉ。」

「ありがとう。でも、わたしよりちょっと小さいのが、悲しいわ。」

「ジュリエットさまがデカすぎるの。日本では義隆は群を抜いて高い方よ。」


「ふふ、言ってみただけよ。本当は可愛いの。それより、あさ、これからは恋バナする仲なのよ。シナモンもジュリエットと敬称抜きで呼ぶのよ」

「あ、それ、わたしでいいの?」


「このお店で既婚で、素敵な旦那さんがいるのは、あなただけよ。シナモンも独身同士、アドバイスしてくれる?」

「お役に立つかわからないですが…。」

「まぁ独身です。いいですよ。わたしも見つけるわヨォ〜。」


「ジュリエットお姉様、良かったですね。」

「ことり、お嫁にもらってあげられないかも…。ごめんね。」

「大丈夫です。全く、問題ないです。」

「あら、ツレない」



 はてさて


 隙を見ながらスタッフそれぞれがお昼ご飯を……食べてない?


「おーい、みんなお昼ご飯ちゃ……」


「おはようございます。」

「ミナちゃん、お疲れ様。ゆっくり休めた?」


「「「ただいま〜。なんか面白いことあったぁ〜」」」

「あったヨォ〜めちゃすごくて、厳かで、幸せで、はちゃめちゃな時間だった」

「なになに?カエデちゃん、なにがあったの?」

「すっごく素敵なこと。」

「まさか、誰かが誰かにプロポーズした?」


「「「「「「あゆちゃん、当たり!」」」」」」


「「「「えぇっぇぇ」」」」


「クル〜と見たら、すぐわかるよ」


 ・・・


「「「ジュリエット姉さまと天童さん?」」」


 二人の顔は真っ赤になっていた。


「正確には天童先輩がジュリエットさまのお母様に「娘さんを僕にください」って爆弾発言から始まったの。」


「「「ええぇえええ」」」

「朝から来るんだった!」

「「「学校休めばよかった」」」


「カエデちゃん、実くん。二人が可哀想だから、事務室で説明してあげて。

その前にあの待受の確認は忘れずにね。」

「はーい。天童さん、待ち受けみせて!」


「「「「なになに、見せて!」」」」


「りおさん、優しいのか意地悪なのか、どっちなんです?」

「りおん(怒)、まぁ、見せてもいいわよ(照)。」


「いじらずに優しいだけだと、ふたりも寂しいでしょ。」


 諦めて、ジュリエットの待受を見せる天童。


「「「すごぉい。」」」

「これ、朝までに描いたってこと?」


「あゆちゃん、違うのよ。高校生からず〜と描いてて、こっちに来る前に描きあげたイラストなんだって。」


「「「えぇええ〜。奇跡じゃん」」」

「「そうなのよ」」


「はいはい、事務室に行ったげてね。二人が茹で蛸になりそうよ。」

「情報共有できたら、4人もすぐお仕事してね。」


「「「「あさちゃん、シナモンさん、了解です」」」」


「ただいま、シナモン、なんかおもろいことあった?」

「ただいま戻りました。何事もなかったですか?」


「実、カエデちゃん、その二人も事務室に連行して、説明お願いね!証拠開示は後で!」

「情報共有は素早くやって、仕事復帰ね!」


「「「「「「はーい!」」」」」」



「「「「「「えぇ、なにそれ」」」」」」

「「ステキィ〜〜」」


事務室から5人の驚きとあゆみとミナの黄色い叫びが聞こえて来た。



「そうして、ジュリエットの横で、

 義隆はずっと彼女を描きながら、

 幸せに暮らしましたとさ。お終い。」



「りお店長、勝手にお話終わらせないでください。」

「りおん、それ、素敵なんだけど。」(笑)

「ジュリエットさまは分かってくれると思ってました。」

「分かるわけないでしょ(照)。りおん、あなたもジュリエットと呼びなさい(怒)。」


「さ、義隆、お仕事しなさい。みんなもね。」

「エリー、ヒルル、ダンジョン行くわよ。」

「えっ?」

「魔法、ぶっ放しに行くにゃ?」

(たかぶ)った気持ち沈めるには必要だよね。」


「説明いらない、行くわよ」


「「「「いってらしゃ〜い」」」」


 …


「「「「「「「ジュリエット姉さま、逃しませんよ!」」」」」」」



 第30話、カエデのファッションチェックが証拠になるとは……。作者も驚きの展開です。

 描き連ねたイラストに込めた天童にとっての本当の出会いを伝えられたジュリエット。気持ちが(たかぶ)りすぎて逃亡を図るが…。まぁ、まだ逃すわけにはいきませんよね。(笑)


 「高校時代からの想いを込めての告白すてき!」「(ゆで)だこな2人が可愛すぎる!」、そして「天童くん、さらに頑張れ!」と思ってくださった方は、ぜひ下にある『★★★★★』をポチッとクリックして応援してください!

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