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異世界コンビニ『戦場のファミリーストップ』開店です 〜足立区から出勤、本社と提携。手作り特大角煮おにぎりが爆売れ。夜は常連S級冒険者のほのぼの居酒屋に。  作者: 柿野たね
第1章 異世界でコンビニ始めました

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第57話 天童義隆。オタクは、男の中の男だった!

 クレープが盛況だと思ったら、クレープ焼き機も盛況。主婦が種無しパンが早く焼けると興味を持って“ちゃぱてぃー”食材も大盛況。白い“ちゃぱてぃー”も売れていた。…そこにエルフのご婦人。ジュリエットのお母様?



「うちにもこんな子一人欲しいわ。…婿にどうかしら。」


 天童君の母世代のエルフさんが、ため息混じりにつぶやいた。…推定年齢300歳、憶測です。


「母さん、勝手に婿探ししないで…。孫がこんなにいるんだから、いいじゃない!」

「それは、あんたの妹の子でしょ。あんたも早く見せなさい。」

「天童、昨日会ったばかりなのにわるいわね。聞かなかったことにして。」

「えっ、ジュリエット様。お母様なんですか? 」

「そうよ。…似てないけどね。」


「似てますよ。優しい雰囲気とか…

 お母さんですか、初めまして。天童 義隆と申します。

 ファミリーストップに勤めて4年目です。

 まだまだひよっこですが、……」


「娘さんを僕にください。

 幸せにできないかもしれませんが、

 一緒に幸せになります。」



「「「「「「「「「「「「「「「「「ええええええええええ」」」」」」」」」」」」」」」」


「「ええ?」」

「えっ?」


 子供たちも沈黙の後、みんなが驚いて、エリーとヒルルが驚いて…


 ジュリエット本人が小さく驚いた。


「ジュリエットさま、ちょっとお待ちください。」


 ダッシュで事務室に走って行った。逃げた? …訳ではなさそう? …


 …

 大きな花束を持って来た。いつの間に?

 あ、うちの近所の花屋のフローレンス風花(かざはな)さんだ。

 深夜に注文しとけば、勝手に休憩して、ファミプPay使えた?

 十分買って来られる。ゲート事務所直結。誰にも見られずにロッカーで。

 うん。可能だ。『断固憶測』


 …

 店員、客、子供、孫、犬、同僚、店長、大婆ちゃん、

 秘書、秘書室長、総員注目で静まった中。

 …

 ジュリエットの前に花束を大事そうに抱えて、(ひざまず)き。間を開けて、(おもむろ)に…。


「ジュリエット様、昨日お会いしたばかりで失礼ではないか考え続けましたが、どうしても気持ちを抑えきれずに、一晩考えました。せめて、お伝えだけさせて頂きたいと。この真っ赤な薔薇の花束を捧げます。」


 …

「突然お母様に会って、動揺して、「娘さんを僕にください。」と本心が突っ走ってしまいました。ごめんなさい。…昨日悩んで出した答えは…」


  絶妙な間がうまい。そのまま頑張れ!


 …

「あなたに惚れました。僕のことを覚えてほしくて…、

 この花束を受け取ってください。」


 …

「ジュリエット、なんか応えなさいよ。わたしに孫、抱かせなさいよ。」

「母さん、黙ってて! 誠実には誠実で返したいの。」


 …

「天童、ありがとう。気持ちは受け取っておくわ…。」

 …

「あなたの可愛い容姿も、その真っ直ぐな性格も、嫌いじゃないわ。わたしを真っ直ぐに見つめて来た男も百年で初めてよ。その前はわたし子供だったわ。」

 …

「真っ赤な薔薇の花を持って来た男も初めてよ。いただいていい?」


「ぜひ、受け取ってください。」

「ありがとう」

 …

「まず店員と客からね。わたしはあなたを知らない。あなたもわたしを知らない。男と女は知るところから始めるものでしょ。」

 …

「わたしがあなたを好きになるか、あなたがわたしへの興味を失うか。結論が出るまでは、店員と客ね。」


「はい。嬉しいです。」

「その次は、何すればいいのかしらね? あさにでもまず相談するわ…。」

 …

「義隆、わたし、あなたを少し気に入ったから、これからしばらくは、あなたを守るわ。だって、こんな素敵な言葉と贈り物、貰ったんですもの。」


 しおらしく顔を赤らめ、少し俯き加減に花束を見つめるジュリエットだった。


 そして真っ赤な顔をして、美しい睡蓮(すいれん)が埋め尽くす湖を見つめるような目の天童青年だった。男前に見えた。…元々悪くはないな。



 …

「うん、めでたい。」(棒)

「とても素敵な告白だったわね。」(棒)

「うちらも嬉しいから、喜んで祝杯をあげるにゃ」(棒)

「気が抜けてそうな人には、ヒールをかけるわよ。」(棒)

「こっちに、既婚者用社員寮、建てなきゃダメかしら?」(棒)

「また、孫が増える。嬉しいかな?」(棒)


 棒読みで、祝ってる りおん、あさ、エリー、ヒルル、シナモン…

 オチはジュリ母。その場の空気が固まって、風まで止まってる。あ、暑くないからエアコン止まってるんだ。家電までタイミングを計ったのか?



 その空気は晴れることなく、無の感覚で、子供達も笑わず、


「試食のクレープ焼けました。追加のご注文も受けられます。」(棒)

「うちは、2つずつ、6個お願いね。」(棒)

「蜂蜜とチョコ2つずつとイチゴひとつ。」(棒)


「カエデちゃん、材料は全粒粉でお塩とお砂糖。お水は試しに軟水っての入れてみよ。お塩とお砂糖は次から持って来ていい?」(棒)

「大丈夫ですよ。冒険者Payでしたら、お会計はこの携帯端末で大丈夫です。」(棒)

「じゃ、これね。」(棒)


 棒読みが続く。


 …

 …

 …


「店長!午前便持って来ました。追加の種無しパンの材料も持って来ました。」

「おぉ〜福の神ぃ!」


「「「「「「「あああぁ〜〜〜福の神だぁ!」」」」」」」


「「「「「「「「「「「福の神、福の神、福の神」」」」」」」」」」」


「「「「「「「福の神バンザ〜イ。いいところに来た福の神」」」」」」」


〜〜〜〜〜〜 店中が大爆笑! 〜〜〜〜〜〜



福田福(ふくだふく)副室長(ふくしつちょう)、本当いいところに来てくれたわ。おかげでみんなの心がほぐれたわ。」

「「「「ナイスタイミング。」」」」

「「やっと笑えたわ」」


「天童、お前、時と場所を(わきま)えろ…。」

「でも、すごい素敵なプロポーズ?を見せてもらったわ。」

「一晩で大したもんだ!」

「「「ジュリエットお姉さまも素敵だわ。」」」


「「「「(あね)さんに俺も惚れた!」」」」

「「「覚悟が足りん」」」

「「気の迷いよ。やめとけ!」」

「「「「優先者は義隆ね」」」」


「「おめでとう(にゃ)。ジュリエット。応援するから、幸せつかんでね。」」


「よくわからないけど、ありがとう。でも、100歳近く違うのよ。義隆、本当にいいの?」

「「いつも、エルフの100歳はまだ成人したばっかりって言ってるの誰よ(にゃ)」」


「もう、このままOKな感じだけど、出会ったばっかりだから、ゆっくり関係を作るといいと思うよ。俺も昨日会ったばかりだけど、天童はいいやつだと思っとくよ。オタクだけど…。」(笑)


「りおんのお墨付き。なんかあっても安心ね。」(笑)



「ジュリエットは小さいクレープ焼いて。見てたからできるでしょ。」

「天童はクリームにチョコレート、イチゴ一粒とシナモンでくるっと巻いて。」

「さぁ、みなさん、もう一度試食よ!あま〜い。新しいカップルの幸せを分けてもらいましょ!お一人もう一つずつどうぞ。」


 あさとシナモンの号令で二人の共同作業の開始です。もう結婚式?(笑)


「なんだか、わからないけど…」

「「「「「「「「「「おめでとう〜」」」」」」」」」」


 お店の外の女子会にも騒動が伝わり、祝福と試食の列が増えていった。


 ジュリエットと義隆が焼き、店内にはチョコとハチミツの甘すぎる香りが漂う中、シナモンの爽やかな香りも合わさり、小さなクレープを受け取る行列ができていた。スノーとノエル、大婆ちゃんも並んでた。(笑)



 はてさて


「ドボルジンク様、秋山様、いらしゃいませ。」

「あさ、シナモン、何かあったかのぉ?」

「幸せそうな空気でござるな。」

「ジュリエット様に、春の予感です。」

「それは重畳、良い結果を祈ろうぞ!」


「なに気が早いこと言ってるのよ。わたしもわけわからないのよ。でも、ちょっと幸せなの。どうしてくれるのよ、義隆。」

「一緒に幸せになりましょう。」(笑)



「ドボルジンク様、いつも娘がお世話になってます。」

「良い婿に恵まれたようじゃの。重畳じゃの」

「りおん殿が見立てた婿なら、心配ないでござろう。」

「えぇ、昨日会ったばかりですから、責任は鴉瑠之(アルノ)かと…」

「一番ここで長いのはシナモンよね。」

「まぁね。こっちに連れて来るって気にさせた奴ってことだけは、言っとくわ。」

「まぁ、あの花束はなかなかの気構えじゃのぉ。」


 風花さん、赤いのだけで、あんなにあったか? 全部買い占めた?

 抱えると隠れるほどの赤いバラ。皆で眺め感心した。


「ドボルジンク様、秋山様、おひとつどうぞ。

 初めてお二人が作られた幸せのクレープです。」

「姉さまのお母さまも、おひとつどうぞ。」

「あささん、シナモン室長、りお店長、福の神もどうぞ。」


 ことりとエレンが、幸せのクレープを関係者に配って回ってた。


 クレープをもう一度買う人がいて、あゆみとカエデ、エリーとヒルルも大忙しだった。


 幸せな雰囲気で、試食コーナーが包まれた。



「りおさん、よくわからないんですけど、天童がジュリエットさまに告白したんですか?」

「福くん、その前に舞い上がって、お母様に「娘さんをください」って頼んでた」

「なんなんですか、あいつ。ネジ何本すっ飛んでるんだ? エルフっての省いて、みんなに話したら、社内報トップページになるな。」

「まぁ、やめといてやりたいけど、鴉瑠之(アルノ)がどうするかだな」

「トップ記事、確定ですね。」(笑)



 その後、すべての潮が引いた時、驚愕の事実を天童くんから見せられたりおんと福。


「「全ての謎は、解けた!」」


「まぁ、あの人のヒットCMコピーですけど……オタク舐めたらあっかっん〜です。」

 「好きです。付き合ってください。」「愛してます。結婚してください。」これ、半分近くは、恋愛ドラマの失敗する定番のセリフだよね。

 初対面で一目惚れ。一晩悩んだ男は、「まずは僕のことを知ってください」とまっすぐに伝えた。「天童くん、グッジョブ」と思った方、ぜひ、いいねとご感想を。


 天童くんの一本気な告白「大きな真っ赤なバラの花束素敵!」「こんな出会い、素敵かもしれない。いいなぁ」「二人を応援したい」と思ったら、『★★★★★』をポチッとしてくださいね。


 ……したくなったでしょ。(笑)

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