第54話 クレープはやっぱり女性のものでした。〜聖女はドブロクと柿の種がお気に入り
種無しパンの試食コーナーで、最初に盛況になったのは、やはりクレープでした。作り方は簡単で、フライパンでも焼けるけど、多くを焼くのはこの業務用の温度管理のできるプレートがないと、難しいんですよね。お店の名物になればいいのですが…。
「あなたたち、他のもあるのよ。あさたちが困ってるわ。」
ジュリエットさまがアイさん達を促してくれた。
「あ、白と茶色い“ちゃぱてぃー”も作ってくれたんだったにゃ。」
「アイリーン、あっちも美味しいのよ。茶色いのは家で作るのに似てて、美味しいの。白いのは王様か貴族さまが食べそうなフワッとした食感なの。」
「父が、あささん達が何かやりそうだから、早めに行ってみろって言ってたの、それね?」
「アイさん、いらっしゃいませ。」
「あささん、色々作ってくださったんですか。お味見いいですか?」
「あ、その前にお願いがあるんですが…。」
「なんでもやりますよ。」
「この看板、こちらの言葉で訳して、下に書いてもらえませんか?」
「えっ?この看板、わたしにもちゃんと読めてますよ。」
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{種入ってない}変わり種種無しパン
“ちゃぱてぃー”&クレープご試食コーナー
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「合ってますよね?」
「「「「「えぇぇぇ〜」」」」」
「なんで日本語の文字が読めるんですか?漢字? カタカナ? しかも“ちゃぱてぃー”は共通語の発音で聞こえます。」
「えっ?日本語? カタカナ? 共通語で書いてありますよ。」
「あら、こっち側の子も、読めるようになってきたわね!」
「ジュリエットさま、どういうことですか?」
「翻訳魔法で、あさ達は早くから読めてたわよね。その逆もできるように魔法が成長してきたってことよ。」
「どういうことなんですか?」
「簡単にいうとね、翻訳魔道具の魔法が勉強したってこと。成長するのよ。そのうち教えるわ。」
「“ちゃぱてぃー”がちゃんと聴こえて、私が発音できてるのは?」
「違いを認識した単語はあさ達にも伝わるからって、魔法が遊んでるのかしら?」
「「「「「納得しときます。」」」」」
「読めないとこもあるけど、便利になりました。」
「ありがとうございます。では、ご試食されますか?」
「はい、楽しみです。クレープも食べたいです。」
「あ、ことりちゃん、わたしのも作って!」
「「「「「わたしのも!」」」」」
「「「僕のも!」」」
「「俺も食べたい!」」
あさが言うと、従姉妹組、社員組が食べたいと騒ぎ出した。
「はい、このみちゃん、のぞみちゃん、アイさん。まずはクレープです。どうぞ。」
「ことりちゃん、ありがとう」
「「「いただきま〜す」」」
「おいしいぃ〜。冷たくないけど、アイスといちごが合体したみたい!」
「おいしい〜、合体したみたい!」
「昨日、おじいちゃんが買ってきてくれたアイス? 似てるの?」
「アイスは冷たいの。かたいけどとろけるの。こっちはふわふわ。どっちもおいしい!」
「甘くて、イチゴとバナナと白いの、どれも美味しい! これ、なんなの?」
「いちごのクレープです。」
「いちごのクレープ。ね。バナナは?」
「わたしの感覚では、バナナはクレープの一部なので、名前に入れないのかな?って思ってます。多分ですけど。」
「名前もだけど、どうやって作るの?」
「ヒルルさん、そろそろクレープ焼いてみます?」
「わたしもイチゴクレープ作ってみるにゃ!」
「エリー、毛を落としてはダメですわよ。」
「さっき、出がけにヒルルにクリーンしてもらったにゃ」
「もう一度やっとくわね。…エリアヒール」
「みんなのも、抜けてる毛は全部まとめて消しといたわ。」
「「「1店に一人、ヒルルが欲しい!」」」
経営者3人が叫んだ。
「工場にも欲しい!」
「クレープの材料は、薄力粉、スイーツ用の小麦粉と、牛乳と砂糖、溶かしバターと卵を測って、よく混ぜたものです。」
「生地を真ん中からちょっと右側に流して、…クレープトンボを使って、クルゥ〜との薄〜く丸〜く伸ばして広げます。そそ、ヒルルさん、そんな感じ。上手です。小さめに作ってください。試食用ですから。w」
「こんな感じ?」
「少し掠れてるから、そこにこっちの余ってる生地をトンボで寄せて。」
「これでいい?」
「大丈夫です。」
「うちも頑張るにゃ!」
ヒルルとエリーがクレープ作りに挑戦を始めた頃、イートインに続々お客様が入ってきた。
店長のりおんはいつものようにフライヤーで唐揚げを揚げつつ、奥のモニターとことりに頼んでオンにしてもらったインカムの音声で様子を見ていた。盗聴じゃないよ、警備と情報収集。……上々の滑り出しで、クレープが話題の中心に。
なぜか自動ドアが開く度に、女性のお客様はイートインに直行していく。逆に男性陣は華やかな香りに近寄りがたいのか、遠目に見ながら大人しくお店でお買い物。よく見ると、コソコソっとお座敷に行って、ちらちらと試食コーナーを眺めながら、子守りをしながらスルメと缶ビール。誰が勧めた、その組み合わせ。
「なに、これ?いい香り!」
「エリーとヒルルが作ってるの?」
「ことりとカエデに教えてもらったにゃ!」
「クレープの焼き方はカエデ、作り方はことりが教えてくれたのよ。」
「試食したい人…。いっぱい!一人じゃ無理!」
「あささん、3台全部使って、焼いていいですか?」
「ことりちゃん、2台だけにして。焼く方がデコるより早い。それとイチゴとバナナは少しずつに…。材料、多くないから。はちみつシナモン、チョコとバナナも出して。」
「シナモンは種無しパンをお願いね。カエデちゃんはクレープ焼いて、ことりちゃんとエレンちゃん、クレープ作りね。奥でわたしと実くんは生地作りと下準備。天童くんは薄力粉と全粒粉のパン生地作り。両方お願いね。」
「「「「「はーい」」」」」
「あさ、うちも手伝ってもいい?楽しいの!」
「じゃ、午後1時までお願いしていいですか? お礼は…レモンサワー500mL缶一箱24本入り!一箱でどうでしょう?」
「+ライムサワー6本セットが気に入ったにゃ!」
「OKだにゃ。」
「わたしも手伝う!」
「ヒルルさんは焼く方ですよね。それは助かります。条件一緒でいいですか?」
「わたしはドブロクの一升瓶が好き。口当たり甘くて美味しい。」
「お一人で飲むときは蓋を開けると少しづつアルコールが抜けるので。900mL 2本がおすすめ。柿の種2袋おまけ付き。」
「OKです!」
「では、よろしくね!」
聖女がドブロクの瓶抱えて、柿の種。カエデに描いてもらおう!(悪)
「叔父さま、お主も悪よのぉ」(悪)
「??カエデ殿。なにか…?」(ふふふ)
「いらっしゃいませ。明日の安息日のお買い物の参考になればと、私たちの知ってる種無しパンを作ってみました。“ちゃぱてぃー”は、全粒粉と薄力粉というスイーツ用の小麦粉の2種類です。それとスイーツのクレープです。挟むもの、味付けによっては、種無しパンとしてもお勧めです。」
「ぜひ、試食して、材料商品のご購入の参考にしてください。」
「エリーさんとヒルルさんもお手伝いしてくださってます。」
「クレープは、チョコとバナナのクレープ、いちごとバナナクレープ、そしてちょっと大人のはちみつとシナモンのクレープです。試食ですので、おひとり様1個です。お好きな列にお並びください。スタッフは後ね。」
あさとシナモン、親友コンビが種無しパンを大宣伝。
「はーい!うちの列はチョコとバナナだニャァ」
「わたしはいちごとバナナです。」
「はちみつとシナモンは、憧れの大人のお味です。」
エリーが売り声をあげ、ことりとカエデが続き、その向かいにそれぞれ、数人ずつが並んだ。悩んでる人も多数。誰かが食べてるのを見て決める作戦?(笑)
「さ、実くん、奥で追加の生地と果物、ミキサーで生クリームも混ぜとかないと、チューブは高い!りおちゃん、フライヤー止めて、手伝ってくれる?」
「ちょっと少ないけど、いいよ。おにぎりもいいんじゃない?なかったら、福くんが持ってきてくれる分で、賄えるよ。」
「お婆ちゃんは引き続きおにぎり。山野さんはこっち手伝って。
じゃ、頑張りましょ」
「あささん、全粒粉の小麦粉って、普通コンビニで売ってないですよね? ファミプにありました?」
「山野さん、鋭い!」
「あ、りおちゃんが、自分が欲しいからって、これも柳田さんにムチャブリしてた。」
「入荷してたねぇ〜」(汗)
「ここで200Vでためし焼きできますよ。生地できたら、チェックしてください。具も、スライスしたら並べますね。その家庭用には大きなミキサー、どこから出てきたんですか?」
「さっき、うちから持ってきといたよ。業務用の一番小さいの。欧米の家庭用?」
「なんで持ってるんですか?」
「こんなこともあろうかと…」
「うそよ、りおちゃんの趣味。シフォンケーキ用。得意よ。」
「最近はふわふわパンケーキに挑戦中。悩んでる。」
…
「あささん、3枚焼いて、はちみつシナモンとチョコバナナ、いちご、3つ作って、一口大に切っておきました。」(秘)
翻訳魔道具というか翻訳魔法が成長するって、AIも真っ青な秘密がありそうです。それにしても原宿で大人気のクレープは、プレオの街でも行列を作りそう。ドブロク抱えて柿の種を鷲掴みの聖女さま。イラスト欲しいですよね。誰か描いてくれないかなぁ。お待ちしてます。
このままクレープがトップ独走か!種無しパンレースの結果は!次話をお楽しみに。
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業務用の赤いミキサー(欧米では家庭用)、作者も欲しいんです。小さいのは持ってます。
赤くて大きいのが欲しいの!




