第52話 五日目の午前〜種無しパンの販売はどうなった? 試食したエルフたちは不満なのか?〜
種無しパンが売れると知って、慌てて当日朝試作するあさとシナモン、付き合わされることりたち社員。動画配信だって、数日試作してから撮影するのになぁと呆れつつ黙ってるりおんである。
「じゃ、また行って来ま〜す。」
「あ、ルート逆順なんだったわね? 頑張ってね!」
「国道父に柳田さんが電話したら、暇だったからって代理で走ってくれてます。定年前の有休消化してて暇だったらしく喜んで変わってくれました。
朝の便の後、追加の分が出来たって聞いて、それ貰いに行って来ます。」
「えぇ、親父、来たりしませんよね……」と、冷や汗を流す。
「ここの住所は知らないから、来れないだろうな」
「いろいろ調整もありがとう、気をつけてね。」
「追加がなければ、そのあとはこっちに居ます。」
「必要な追加は、今すぐ至急でしとくわ。」
「室長、お願いします。行ってきます。」
このままだと、通常組と種無しパン組で調理場が混雑して、大変なことに……。
だが、りおんには……。
「チャパティって、捏ねて、休ませるんだっけ? じゃ、先に始めなきゃ!」
「あささん、こねるの、僕がやります。」
「まぁ、力仕事は男よね。じゃ、私のアシはカエデちゃんね。量るの手伝って。試しだから四枚分ぐらいでいいわよね?」
「じゃあ、私は薄力粉のチャパティですね。カーマイケルさん、よろしくね。」
「ことりさん、よろしくです。同期なんで、エレンと呼び捨てで……。」
「じゃ、エレンちゃんで……よろしくね!」
「唐揚げとおにぎりとコロッケの助っ人は、みゆき。実がリーダーね。お婆ちゃんもよろしくお願いします。」
「小さいのは私が作るのね。」
「コロッケと唐揚げは売れ行き見て、加減してね。」
「さぁ、作るわよ。クレープは味付けたほうがいいわよね。」
「シナモン。少し甘めのプレーンで作って、味見してから考えようよ。」
「実くんと国道くん、ちょっといい?緑山さん、準備は一人だけど大丈夫?」
「はーい大丈夫です。」
「「なんですか?」」
「シー、ついて来て」(内緒)
二人を連れてイートインへ。さっきからこそこそしてるリオンである。
「ここにね、テーブル二つずつ三組並べて。クレープ調理器100Vをそれぞれ置いて、商品を並べるテーブル四つ分をL字の短い方にして、並べて、そっちには材料の商品を陳列しておいて。……L字型の囲みの中は、動きやすいように、ゆったりとって置いてね。
今日のイートインはお座敷と近いテーブル1列だけにするよ。」
「あ、屋台スペースと、材料置き場兼商品陳列スペースですね。」
「さすが実くん、ウチに慣れましたねぇ〜」
「あまり慣れたくはないです」と、実は苦笑いする。
「屋台はわかるんですけど、陳列スペースいるんですか?」
「「国道くん。」」(苦)
「わかるようにならないほうが、幸せだよ。」と、リオンは苦笑した。
「その後、天井からこれ貼っといて!」
「懐かしのお昼の定番、森田さん?」
「えっ、知っとるけ?」(笑)
「社長がポスター貼ってもらってた出演回の動画、何度も見せられて……。」(汗)
「本社で何やっとるんじゃ」(冷)
「あと、中サイズの空き箱を一つずつ、上を開けて、それぞれのクレープ台の下に置いといてね。使った材料のパッケージ入れ。後でピッするから、バーコード切らないように開けてって、伝えてね。
じゃ、頼んだよ。コロッケと唐揚げ揚げてきま〜す。」
……
「誰もいない!山野さんとお婆ちゃんだけ?」
「あ、種無しパンチームは材料持って会議室に移動しました。」
「調理場じゃ狭いもんね。大きなおにぎり、よろしくね。」
「唐揚げ、お願いします。」
「はーい。」
はてさて。その頃会議室。
「あささん、全粒粉、こね終わりました。結構きついですね。」
「天童くん、もうちょっとかも!頑張れ!」
「舐めたらあかん〜舐めたらあかん♪〜〜飴舐めて!」
「店長、舐めてませんよ……」
「そこは飴ちゃん舐めといて!」(汗)
「りおちゃん、遊んでるんなら手伝って」
「様子見に来たんだよ。調子どう?」
「クレープは順調よ。もう焼きに行ける。」
「薄力粉も大丈夫です。」
「シナモンも、ことりちゃんもOKそうだね。」
「あとは、天童くんが頑張って、こねたら、試作準備完了だね。」
「実くん、そっちどう?」
『あ、テーブルとクレープメーカーはできました。今、吊って貼ってます。』
「もう行っても大丈夫?」
『暇な人いたら、商品陳列。手伝って欲しいです。』
「わかった。エレンちゃんとカエデ、それ持って、イートインに行って、実くんたち手伝って。」
「「はい。行って来ます。」」
「りおちゃん、何やってるの?」
「販売スペース、いるでしょ?」
「あぁ、忘れてた!」
「二人とも、酔った勢いで作ってみたくなっただけでしょ。」
「「そうとも言うわね。」」……遠い目
「そこは、認めないでください。」(苦)
「ことりちゃん、二人が巻き込んでごめんね。」
「あのぉ、こんなもんですか?」
「天童、忘れてて、ごめん。」
「いい感じね。じゃ、ラップして30分寝かせて、分割して伸ばして焼きましょ。」
「じゃ、僕らも下に降りよう」
あさとシナモン、ことりが降りてみると、
=======
{種入ってない}変わり種種無しパン
チャパティ&クレープご試食コーナー
=======
フキダシ付きのコーナー看板と屋台がそこにあった。
「りおちゃん、作ってくれたの?」
「夜、パパッとね。厚手のコピー用紙で印刷して繋げただけ。」
「ありがとう?でも、販売コーナーじゃないの?」
「社長も、流石に販売は急ぎすぎじゃない?ってことに。」
「りおんでしょ。提案したの。兄さんじゃ無理。」
「ご想像にお任せします。」
「それと何あれ、種入ってない変わり種種無しパンって……舌噛むじゃない……種入ってるのか入ってないのか、どっちなのよ」(怒)
「どっちでしょう」(笑)
「りおちゃんのウケ狙い……。シナモンほっとくほうがいいわよ。」
「気に入った人は進んでもらって、後ろで商品カゴへ。レジへどうぞと……。」
「気に入らなくても、お家の材料も同じだと思うから、こちらで選んでもらえるわね。」
「あ、そう言う意味だったんですね? 販売しながら、材料も売るのかと思ってました。」
「国道くん。そうなったら嬉しいけど、あまり高望みはね」
「でも、日本語でいいの?」
「あっ!なんてね。あとでどなたかに下のスペースに書き込んでもらう。下ろせるよね。」
「ちょうど、上げ下げできるバーがあったんですけど、最初からここはそう使う予定だったんですか?」
「そんな機能、うちの仕様にないわよ。」
「多目的になるだろうと、建築士さんにここに設置してもらった」
「あさ、あんたの旦那変人?何者なの?」
「りおちゃん。」(汗)
「そういえば、浅田家のキッチンも、普通じゃないわよね。」(笑)
「国道、ありがとう。引き続きレジと店内、よろしくね」
「もう、大丈夫ですか?戻りますね。」
今日のお店番は大変だろうな……。二人で頑張ってなぁ〜
「そろそろ焼いてみましょ。」
「ちょっと待って!」
「クレープ班はこれ……。チャパティ班はこっち見て。」
調理場からタブレット2つ持ってきて、それぞれネット動画を見てもらった。
「うーん、この手首の柔らかさが重要ね。」
「クレープトンボの片側を円の中心にして、クルぅ〜ですね。」
「上から押さえちゃダメね。トンボの重さだけね。」
「トンボ濡らす水用意しなきゃ」
「油引かないんだ」
「あの長いヘラ、ある?」
「りおちゃんが三本持ってきてる。」
「クリームの絞り袋と口金も持ってきたよ。」
「なんで持ってるの?」
「趣味!」
「クリーム、端っこに☆の口金でこんもり絞り出すんだ。」
「六等分した三角の少し内側に、果物のせるのね。」
「生地のギリギリまで、可愛くなるように盛るのね。」
「大丈夫。あさがケーキで慣れてる!」
「あさちゃん、教えてね」(涙)
「カエデ、泣くんじゃないわよ!」(笑)
「お手柔らかにね。」
「チャパティの厚さ2㎜なの。そんなに薄くするんですね。」
「ちゃんと丸いボール作ってからが大事なのね。」
「よく捏ねてます。大丈夫です。」
「プクゥ〜って中が空洞に膨らんだらOKね。」
「何度もひっくり返していいんですね。焦げすぎ気づきますね。」
「じゃ、試作開始!」
「エレンちゃん、薄力粉のチャパティ、小さめのおにぎりぐらいに分割して、麺棒で薄く、2mmぐらいだって。丸く伸ばして、焼いてね。」
「クレープも簡単よ。カエデちゃんも焼いてみたいでしょ?」
「天童くんは後十五分経ったらね。ことりちゃんの見て、学習すること。」
「クレープ、惜しい、掠れてる、そっちの持ってきて。もう少して手首柔らかく!」
「おっ、そんな感じ!いいわね。美味しそう。」
「天童!厚すぎ!あとで膨らむからもう少し薄く!均等にね。」
「チャパティはこのお好み焼きのコテ、ちょうどいいですね。ひっくり返しやすいです。」
しばらく練習。ネット動画を見たのが良かったのか、全員成功。クレープもこの後、交代でやってみるらしい。……美味しそうな匂いが漂い出す。
はてさて。開店十分前……
「「おはよう〜」」
「あ、新人ちゃん二人、おはようニャァ〜」
「ジュリエットさまとヒルルさん?それにエリーさん?おはようございます。」
「覚えてくれたにゃ〜」
「わたしも嬉しい」(照)
「国道 走覇って言います。国が作った道を全部走ってやるって名前です。」
「緑山 淑子です。よろしくお願いします。」
「ところで、いい匂いしてるニャァ」
「美味しそうな香り」
「シナモン?」
「秘書室長?……呼びますか?」
「じゃなくて、懐かしいシナモンの香りだわ?」
「さっき試食の時、バターにシナモンを振りかけてたから、それですかね?」
「ジュリエットさま、シナモンお好きですか?」
「種無しパン、種入れぬパン、作ってくれてるの?」
「はい。あさちゃんとシナモンさんと ことりちゃんの三チームで三種類。」
「試食されませんか?」
「「「いいの(にゃ)?」」」
「是非是非、お待ちしてたんですよ。」
「あさ、おはよう、美味しいの作ってますの?」
「おはようにゃ」
「美味しいの出来ました?」
「私たち、種無しパンのことは知ってたんですけど、作ったことなくて、思いつくもの作ってみたんです。街の人が食べてるのと同じのがあればいいんですけど。」
「まず、チャパティ。全粒粉で作ったチャパティです。カレーの国の種入れぬパンです。家庭料理で、作り方はカップ1杯の全粒粉、小麦をそのまま挽いた小麦粉に、お塩ひとつまみ、オリーブオイルをスプーン1杯、水カップ半分ぐらいで、よく捏ねて寝かせました。」
「薄くて少しカリッとして、全粒粉なのでさまざまな香りや味を含み素朴な味わいです。」
「私が作ったのは、薄力粉のチャパティ。こちらの特別な小麦粉で作りました。お菓子やスイーツを作るときに使う小麦粉です。作り方はほぼ一緒で、寝かせる時間は半分ぐらいです。どちらもお店では業務用のクレープメーカーを使ってますが、フライパンでも焼けます。」
説明し、試食のお皿をお渡しした。気に入ってもらえる種無しパンは見つかるのか?
ジュリエットたちの表情はあまり芳しくない気がするのは、気のせいだろうか?
試食品を用意するため、こね続けてる天童とことり達だった。中でも天童が張り切ってる。パン作り好きなのかな?
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