第49話 協定締結祝賀会(結)〜週の初めの日を定めるのは当主の役目〜
「師匠は弟子よりカッコよくないとね」(笑)
「大人気ないのぉ」(笑)
従兄妹組、本社組。四日間を一緒に頑張った子たちが、揃って七色の炎をともして、会場にいた人たちの拍手喝采を受け、祝賀会の幕を閉じた。
「上出来じゃ! さぁ、ここらで、お開きとするかのぉ。店は明日も営業じゃろ。」
ドボルジンク様の言葉で祝賀会も終わりを告げ、冒険者も店員たちも皆、静かに耳を傾けた。一部、爆睡中ではある。
「今日と同じで、10時開店の案内をしておきました。」
「ギルドの皆さんの週末の連休は明日・明後日ですよね。」
「そうだな。明日はそれで大丈夫だ。」
「明後日、週の初めの日は、この街では各々の決め事にしたがって、創造神に心を馳せつつ、『集い、足を洗い合い、パンを割き、食事を共にし葡萄酒を飲む』それが新しい安息日のあり方、“初めの日”の唯一の定めじゃ。
集い方は違うが、あり方はほぼ同じじゃのぉ。いくつかの家庭で集まったり、親族で集まったり、冒険者パーティーとその家族で集ったり。家族だけの者、夫婦だけの者も、一人で過ごす者も居るのぉ。
定めに従わぬ者もおる。居って良いのじゃ。それぞれの在り方で集まって豊かな食事を共に分かち合い、初めの日を過ごす。それが過日、安息日が終わりの日から、初めの日へと変わったと告げた、御使が伝えた新しい創造神様の定めじゃのぉ。それ以上でもそれ以下でもないのぉ。」
「そうだ、明日は客が多いやも知れぬ。皆は初めの日の食事を買いに出かけるぞ!」
「私もこの店の美味しいのをたくさん買いたいわ。また来るわね。」
「種入れぬパンと葡萄酒は、みんな買うわね。」
「ええエエェ〜。早く言ってヨォ!」
「ことり、福、明日の追加注文、相談するよ。ワインは在庫あるわよね。りおん店長は、…あさも…いいや!」
「シナモン、種無しパンは、売ってないでしょ。」
「日本中探しても、売ってるコンビニないと思う。あさ、そっちの話し続けて、クレープやチャパティみたいなものでしょ。後でネットで探して機材はあるから、材料注文しておくわ。」
「「ありがとう。よろしくね。」」
この機会だと、りおんは質問を続けた。福がバックヤードに向かった。
「大きな会堂で集ったりはしないのですか?」
「りおんたちは大会堂で集うのかのぉ?」
「私たちの所属していた教団では、そうしておりました。教えを強要する者、教え諭そうとする者、大きな群れを率いる者が、評価される。そのあり方に疑問を感じて、今はそこを離れております。規模ではなく、群れのあり方が大切なのではと思い始めたのです。」
「それは、よき疑問だの。探り続けるが良いのぉ。こちらにも大会堂を持つ集いが諸国にはあるが、我らは己が身の丈を越える群れは身を滅ぼすことを学んだのぉ。ドワーフにもおった。エルフにもおった。様々な獣人にも、もちろん人にもじゃ。」
「人が一番タチ悪いわよね。多いから。」
「週の初めの日、この地でコンビニを営業しても構わないのでしょうか?」
「クロードが、そのことにこれまで言及したことはなかったじゃろ。それはそれぞれが見定め、決めることじゃの。心のあり方ゆえ、我らは強制はせぬ。創世神国との最大の違いだのぉ。彼奴等は国民にも集うことを強制しておるの。強制などせずとも、各々良い判断をするものだということを、知らぬのじゃろうのぉ。古き定めのまま、己が神の意を汲むことがない。絶えず神に逆らっておるのぉ。また、新たなる定めを知っても、大きな力を求め、御心から離れるものもおるのぉ。難しいものじゃのぉ。」
「ギルマスはなにも…」
「では予定通り、次の週の初めの日を過ごしてのち、りおんと鴉瑠之で定めると良いのぉ。それぞれ家庭と商会の長老であろう?」
「「そうさせていただきます。」」
それまで静かに会話を聴いていた鴉瑠之も、りおんと共に返事をした。
「では、締めの祈りじゃ。創造神への祈りじゃ」
「天におわします、天地をつくりし創造の神。今日、ここに異なる理を超え、出会った者たちが、新たな契りを結び申した。創造神の繋いだ契りは誰も解くことは叶いませぬ。また、解いてはならぬものであります。新たに魔法を司る民も生まれました。どうかこの者たちを祝し、我らと手を携えて、この地を豊かな恵みの地として、あなたの祝福をお与えください。各々心のままに、そのあり方を求め、定めることが叶いますよう、知恵と力をお与えください。天と地と海に満ちる魔法はあなたのものであります。
アルーナ」
「「「アルーナ」」」×全員
「りおちゃん、アルーナも一緒なのね」(微)
ひとときが静謐にすぎた。
はてさて
「さ、今日はお店の客じゃないんだから、あんたたちも一緒に片付けるのよ。潰れてるのは、先に外に投げといて。忘れずに連れ帰るのよ。」
「ギルマスも投げておいていいですか」
「私が投げるわ。えい!」
「ぎゃぁぁ〜」
パスっ!
「クイーン、ナイスキャッチ!」
「ジュリエット、もらっていくわね。」
「おやすみなさ〜い」
ちょうど迎えに来たクイーンさんが、ギルマスを担いで帰って行った。片付けがどんどん進んで、イートインでの感謝会は、お開きになった。
「あささん、クレープとチャパティの材料と機材は午前便で届きます。」
「福ちゃんありがとう。…ジュリエット様、種入れぬパン、明日10時ごろまでにサンプルを作ってみます。どれが相応しいか、あるいは違うか、試食をお願いできますか?」
「あさが作るものは、美味しいから、大歓迎よ」
「私も試食するニャァ〜」
「ファミプは他にも優秀な働き者が、向こうにもおるのぉ。ありがたいが、無理はせぬように伝えよ。」
「お気遣い、ありがとうございます。」
「ではのぉ。皆、落ち着いたの、帰るぞ」
「あさ、シナモン、福も、いろいろありがとう。みんなもね。」
「また明日来るニャァ〜」
嵐のように去って行った。ギルドの面々である。
店内は少し静かになった…。
「さ、もう少し片付けて、今日は終わりよ。頑張って!」
「「「はーい」」」×みんな
「高校生組とお婆ちゃん、ことりと実とミナさんは、引き続き担当してたところの片付けをお願いします。初日組は自分のできそうなところを片付けて。」
「社長たちと店長さん、あささんは明後日の相談してください。柳田室長は寝てていいです。」
夕方から、責任者に立てた福の神、福田副副室長がみんなに指示をして、締めの片付けを始めた。
本日土曜日、おやつどきですね? ご来店ありがとうございます。次は18時更新です。
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ずっと陰から支えていた、ドボルジンク、秋山、ジュリエットのギルド3重鎮がギルド長老として加わり、異世界コンビニ『戦場のファミリーストップ』が正式にスタートした。共に集い、協議を行い、誓約を交わす。『魔法三原則』を心に留め、それぞれが心に灯した火に従って、歩み始めた。祝賀会は暖かな祝福に包まれた。




