第34話 足立区の新事業所(仮)を見学
適当に渡しても、辞令は有効です。さ、皆さん、異世界行きますヨォ!
「はい、辞令」
「「「「「えっ?」」」」」
「アルノさん、辞令の渡し方、軽すぎ。」
「社長、ちゃんと一人一人渡してください。」
「実くんたちには、飲み会で渡してたよね。それよりはマシとか考えてない?」
ギクっ
「「ギルティ!…考えてましたね。」」
「基本給とかは今まで通りです。昇給も少しだけ。契約内容が変わるのは、寮に入ると通勤手当はなくなります。住宅手当も今まで通り。減ったら嫌ですよね。異世界勤務手当はつけられないので、遠隔地勤務手当をつけます。公的書類の仮の勤務地は群馬県の我が社の保養施設とします。忘れずに。」
「親とかには足立の寮の住所言っていいよ。携帯電話はあっちでは僕と店長夫妻と、柳田さん、福の神の会社支給携帯だけ使用可能。」
「基本、業務と保護者連絡用です。様子を見て渡す人増やします。こっちの事務所では、秘書・ドライバーは普通の会社支給携帯を今まで通りの番号で使えます。納得したらサインを。交渉もありですよ。」
「寮に入ると職場へ徒歩2分ぐらいになるけど、どうする?」
「「「「「入りま〜す。」」」」」
「走覇、お前、実家だろ? 親に相談しなくて、いいのか?」
「柳田さん、兄貴が結婚して、同居するみたいだから、俺が家を出た方が良さそうなんです。新婚は二人暮らしのほうがいいと思うんだけどなぁ。母も兄貴も聞かないんです。」
「そう言うことなら、大丈夫か。なんかあったら、国道さんには俺も話すよ。困ったら言えよ。」
あ、走覇くんは柳田さんが見つけたのか。国道走覇って、親御さん生粋のドライバー? 地元へのドライブ、国道楽しいけど、走破は無理かも。(汗)
実家の横、国道179号線、それ以上あるってことだよね?無理だね!
「他の人も、親御さんに相談とか、大丈夫か?」
「私は北千住のそばに引っ越しを考えておりました。お見合い写真が毎週机に置かれてるんですわ。うちも次女は出ていけってことですかね? 姉がもうすぐ婿とるらしいです。」
「緑山もOKってことだな」
「お祖父様が、お見合いの肖像画を送ってくるんです。スコットランド人。 一人暮らししたかったんです。」
「肖像画って、お貴族様?」
「フォトショで画像加工してるから、肖像画風にしてるみたいです。」
「最近、毎週のようにお祖母様が、お茶に誘ってくるので、山野の家を離れようと思ってました。同じ理由です。」
「歌手の大叔母が付人しろって、可愛い女の子いるよって。僕に彼女いないから心配なのはわかるけど、家にいると誘惑に負けてしまいそうだから。」
「負けてもいいんじゃ?」
「アルノ社長はわかるでしょ。7割方は我儘なのが大叔母のいる世界ですよ。いっときの誘惑に負けたくないんです。」
「そんなこと言ってるのが、可愛いアイドルとかと結婚するんだよな。」
「そうなりたくないんですう」
「天童で大叔母さまって、似た名前の人?」
「そうだと思っててください。似たようなもんです。」
全員、家を出たい理由がある。もしかしてリサーチ済み? 大企業恐るべし!やっぱりお庭番か? リサーチ方法、あとで聞こ!絶対江戸城お庭版の家系だ!ハンゾウくん、親戚いたよ!(汗)
「じゃ、ひとまず全員入寮ということで、成人なので親の許諾は入りませんが、ちゃんと言える範囲で説明しといてくださいね。」
「走覇、国道さん、嘱託職員で働く気がないか、探っといてくれないか? 俺の名前出してもいいから。お互いローテが合わないから、頼む。詳しくは言うなよというか、喋れないしな。」
「はいって、親父と同じ職場?」
「いや、同じ地区で、必要な時に交代してもらえるように、できれば同じ魔法契約してもらいたい。息子より信用高い。」
「そりゃ、そうですよね。って、本人に言う?」(汗)
走覇くん、生まれながらのドライバーでした。ゆりかごはトラック?
「じゃ、新しい契約内容OKだったら、更新書にサインして、異世界行くゾォ〜!」
「「「「「はーい〜」」」」」
「あの、私も行きたいです?」
トントン、ドアを叩く音…。会議室のドアが開いて、秘書室長が顔を出した。
「そういえば、シナモンさんは守秘義務魔法契約、一番にしてるね。異世界相互会談中はたまに一緒に行ってくれたよね。」
『異世界相互会談』ギルマスやギルド幹部さんとの彼女が会談をそう名付けた。鈴木シナモン。現秘書室長。鴉瑠之の妹。あさの大学の同期。兄が出歩くばかりするので、会社から離れられない。
「そうですよ。りおんちゃん。兄貴のせいで、私こっちからなかなか離れられなかったけど、あっちにも秘書室作ったから、これからはもっと行けるんです。今日は向こうの敵情視察。広さとか間取りとか見て、新しい備品揃えなきゃ。誰かさん、自分の分だけはしっかり準備したみたいですけど。」
「いつの間に?」
「たぶん、柳田さんたちの特務室作るどさくさに、自分のを注文したと見てます。」
「「ギクっ」」
「「当たってますね。」」
柳田さんとアルノ社長が怯えた顔をした。
「朝乗ってきた僕の車にあと4人乗れるよ。」
「じゃ、もう一台は社用車? 俺がダンジョン走破します。」
「そのまま突っ込むなよ。店が壊れる。」(怒)
「改めて、出発!」
はてさて
「ここが我が家。車入れるから、降りてて。新事業所はあそこ。」
「浅田家、枇杷がいっぱい!」
「もうすぐ食べられるよ。お店で売ろうかな!」
「いいですねぇ〜。」
「四分六、会社四でどう?」
「三七、会社三なら、OKです。収穫大変なんですよ。手伝いすると小遣いせびるのばっかりなんですから。」
「私たちのこと?」
「カエデ。どうした?」
「一番近くのコンビニだから、お弁当買いに来た!ママがあさちゃんの握ったおにぎり食べたいって。(笑)…そしたら叔父ちゃんの車見えたから、一緒に行こうと思って」
「そうか。…あ、新しい特務室の人たち。」
「こんにちは、バイトのカエデです。」
「こんにちは、秘書室長の鈴木シナモンです。」
「はじめまして。緑山敏子と申します。」
「エレン・カーマイケルです。よろしくね。」
「社長の鈴木鴉瑠之です。」
「知ってます。(笑)…シナモンさんてアルノ社長の妹さんですよね。よろしくお願いします。」
「覚えてくれてたの? カエデちゃん可愛い!」
「シナモンさんのスーツも素敵です。」
「ママも連れてきてもいいのに。」
「さっき、あさちゃんと相談して、今度にするって。パパだけ行けないの寂しいでしょ。」
「じゃ、パパとママは今度ね。」
「大婆ちゃんは?」
「りおちゃんいるのにノエルが吠えてないから、行ったんじゃない?」
「かもね。」(笑)
「じゃ、行きましょう。みんな待ってる。」
はてさて
「ここが新事業所です。」
「なんか説明手抜き。」
「ここが駐車場。大型車も入れます。」
「福の神、着いてますね。荷下ろしは終わってるかな?」
「私、先にお店行ってる。制服用意しとくね。」
「サイズわかる?」
「だいたい分かる。任せて」
「あさに着いたって言っといて」
「はーい」
「2階フロアが秘書室と特務室とちょっと社長室」
「3階が男子寮。5階が女子寮。エレベーター付き。」
「4階と6階は未定。屋上は緑化テラスがあるよ。」
「寮はあとで実くんとことりちゃんにでも案内してもらうね。」
「1階の事業所玄関入って、すぐ横の駐車場の入り口入ってみて。」
「この部屋には玄関ロビーからと駐車場から入れて、あっち側は大きな引き戸になってて、全開放可能。3つ目のドアが…」
「ゲートですね。別名『どこかしこでもドア』です。」
「駐車場が空いてる時はお店の倉庫に。」
「閉まってると事務室につながってます。魔法だね。」(汗)
「もっと不思議なのは、大婆ちゃんがいるときだけ、調理場の入り口に直結します。」
「超バリアフリー」
「いらっしゃ〜い」
「妻のあさです。」
「あさ、新しい秘書室の秘書さんとドライバーさん。自己紹介はあとでね。」
「よろしくね」
「「「「「よろしくお願いします。」」」」」
「あさぁ〜久しぶりぃ」
「シナモン、元気してタァ」
「お兄ちゃんのブラックぶり、迷惑かけたでしょ」
「配慮のあるブラックで、感謝しております。」(汗)
「さ、みなさん事務室へ。まだ、お昼でバタバタしてるから、モニターで見学しててね。」
僕がゲートの魔道具で認証してる間に潜った人は、ゲートから承認される。敵対してると通れなくなる。どっちに行けなくなるかは、そのとき次第? 不思議だ。
「お店で作った、おにぎりと唐揚げとコロッケを置いといたから、適当に摘んでおいて。お昼ご飯食べててね。1時ごろには空いてくるから、それからお店の見学ね。慌ただしくてごめんね。」
「大丈夫です。コンビニ社員ですから」
「ねえねえ、あれ、噂の大縄跳び?」
店舗前の広場を映すモニターでは、女性冒険者とOL風の人たちが大縄跳びやってる。もう流行ってるの? 山猫のエリーさんの回転が凄すぎる。
スカートでやってるお姉さんも、高等テクニックで、ぴょんと飛び越えて駆け抜けた。基本の遊び方やってるのか。…なぜ、見えない?
新スタッフも無事、ゲートに承認されました。これから、新規戦略を立てるのは彼女たち。ぼちぼち色々見て、戦略考えてね。頑張りやぁ〜




