第32話 信じられない話を信じるのは大変です
【本日2話投稿】2話目です。
オタクばかりの内定者。新しい秘書課と特務室のスタッフを異世界へ勧誘中。全員オタで揃えるって、どうやったんだろう? オタなのに、こんなすごい記憶消されるなんて、気の毒。できれば全員OK出してもらいたいのだが…。
「『秘密保持魔法契約』をそれぞれと結ぶ魔道具です。」
・・・
「「「「「ええぇぇええ〜えぇぇええ」」」」」(驚愕)
社長が説明を続ける。
「驚くよね。僕も驚いたもん。魔道具だもんね」
「本物ですか? 本物の魔道具?」
「異世界から持ってきたの?」
「コスプレ用?」
「異世界、無い無い!」
「異世界行けるの? 荒野のドライブできる?」
「静かに、もうちょっと聞いてね。」
「これから話すことが本題です。もし、内示を受託するなら、この『秘密保持魔法契約』の契約を結んでもらいます。拒否の判断の時は、この会議室を出ると、一切忘れます。この魔道具のことも。」
実は、話を始める前からすでに魔法がかかってて、この部屋の中の記憶を保持してるんだよね。ドボルジンクさんの魔法らしいけど、ちょっと怖い。一昨日までクロちゃん信じて知らずに使ってた。安全でよかった。
「これまでの説明、わかりました?大丈夫ですか?」
「魔法って、あるんですか? 冗談ですよね?」
「社長が冗談しか言わない会社はダメでしょ? 信用してもらえると嬉しいよ。」(笑)
「冗談しか言ってない気が…」(小声)
「異世界に行けるって、ラノベとアニメと漫画以外で聞いたことないんですけど。」
「普通そうですね。でも本当なので、もう少し話を進めます。」
社長と柳田なろう室長の話、まだ信じてもらえてないみたい。
「数ヶ月前から、企画書等に『SCプレオ店』と言うのが出てるの気づいた人いる?」
「あ、秘書課でたびたび見ました。ショッピングセンタープレオって店だと思ってました。」
「半分あってる。ショッピングストア『プレオ店』なんだよね。」
「「「「「それ、絶対わかりません。」」」」」
「ショッピングセンタープレオで検索かけたけど、出てきませんでした。いつ、どこにできるんだろって思ってました。」
「緑山、あとで受発注管理確認してみな。『SCプレオ店』の商品移動始まってるから。で、その住所は足立区某所なんだけど、それは非公開。」
「本当は、どこにあるんですか?足立区に建設中?」
「配達のトラックが行く建物はもうあるよ」
うーん、日本人もオタクはあっちの冒険者と同じで、突っ込んでくる。話が進まない。
「ちょっと聞いてて、まず足立区にある特務事務所(仮)に異世界に行くゲートがあるんだ。ゲートは異世界のダンジョン街『プレオ』に繋がってて、3日前にコンビニエンスストア『戦場のファミリーストップ プレオ店』がオープンした。予想以上にすごい盛況なんだよ。」
「プレオ店の営業成績が良すぎたので、急遽前倒しして、秘書課と特務室の合併を進めることにしました。で、5人に来てもらったと言うわけです。」
「3日間、朝と夕方、イートインが満席で、92歳のおばあちゃまと店長夫婦、高校生と社員スタッフ総出で頑張ったけど、サポートが必要ということなんだ。」
「ちなみに、ここにいるのがその店長の浅田りおんさんだ」
「店長の浅田です。理解不能って顔してますね。いったん、疑問は置いておいて、少しだけ、今の状況を説明しますね。」
「疑問だらけだけど、聞かないとわからないですよね。」
「私も、本当に異世界店あるなら、話は聞いてみたい。」
「「「まずは聞こう!」」」
やっと、お店の話をすることができそうです。
「異世界店があるのは、城壁に囲まれた中立の立場のダンジョンの街『プレオ』と言う街です。『炎』と言う意味だそうです。
「『戦場の』ってお店の名前についてて、街の人、嫌じゃないんですか?」
「ギルマスがつけて欲しいって。戦場のダンジョン街『プレオ』っていうのが街の俗称なんだって。」
『戦場のファミリーストップ』と名付けた通り、他国の戦場に隣接する街なんです。戦場の街っていうと、爆弾降って来そうですけど、城壁にもコンビニ店舗自体にも強力な魔法結界が張られていて、さらに店の制服にも魔法結界が張られてます。初日も高校生バイトがチンピラ風の冒険者に襲われましたが、かすり傷ひとつなく無事でした。」
「「「えぇ、襲われたんですか?」」」
「「でも、無事だったんですね。よかった」」
「甥っ子は無事でした。ありがとう。」
襲われたことに驚く人と、無事だったことにホッとする人に別れた。当然だ。
「街の隣では、二つの国が戦争をしていて、毎日爆音が響いてくる。一方の国が侵略を考え、他方は防衛でテロを図っている。こっちの中東の石油産油国あたりと似たような状況らしい。こっちの方が、規模が遥かに大きいですけどね。
このプロジェクトの依頼者のギルマスとしては新しい知識と何らかの力で、街を助けて欲しい。できれば解決の糸口を探って欲しいということです。」
「私たちでできそうにないんですけど。政府とか関わってもらわないとダメな気が…。」
「今の政府には、無理でしょ? こっちのことでもお呼び越しだよね。」
「そうとも言えますね。」
「最初から、解決を目指さなくてもいいんだよ。まずは状況把握。お店の進出でも地域を見ないとダメだろ…。オーナーが出店を打診して来たら、どんな場所か現地調査から始めるだろ。一応、りおん店長夫妻と俺と柳田さんで、かなり時間をかけて調査したんだ。」
「向こうにある、店長所有の土地は、広大な貴族の邸宅の跡地だが、現状使えるのは玄関前のアプローチです。馬車寄せの広場だけで、邸宅は瓦礫のままです。更地にするかどうするか検討中。」
「コンビニなら、すぐできる。とコンビニ経営を提案したわけだ。我が社でできるのはコンビニ進出だけだからね。りおん店長がうちに声かけたのが、運の尽きだよ。コンビニ以外できないから。」
「「「「「「「そうですね。」」」」」」(汗)
「なぜか最初からギルマスも乗り気でね…。コンビニ知ってたのかなぁ?」
俺と一緒に5人も納得した。やっと静かに聞いてもらえる雰囲気になって来た。そりゃ、異世界に行くって話、信じるのは時間かかるよね。
「簡単にこれまでの経緯を話すと、我が家の庭に異世界から、異世界の土地を提供するから何か事業を始めて欲しいと猫獣人のギルマス。ギルドマスターが尋ねて来た。
ギルマスとしてはオーバーワークの冒険者ギルドを今の西門と邸宅跡地のある北門の二つに分けたい。で、ギルドの仕事をやって欲しかったらしい。夫婦で相談したところ、単にギルドをやるより、お店を開いた方が、状況把握にもその後の協力にも良いのではと思い、妻の大学同期でファミプの秘書室長に相談。社長が興味を持った。
ギルマスはこっちでコンビニを見たことがあって(クロちゃんのことはまだ内緒)、あれはいいねえ〜と快諾。とある地方の廃校舎の体育館を会社で購入(名目は経営研究費とした)。コンビニ店舗を建築、現地に運んだと…。どうやったかは、企業秘密。」
なんと、空色のどこかしこでもドアがトラックで運べた。一時的に廃校舎の体育館に運んで、試したら、あんな大きなものも現地へ。先にうちの車でテストした。無事、戻して今日乗って来た。店舗は一晩のうちに設置した。こっちの工務店には実験店舗だと言い張った。だから、土台には固定しないでもらった。
あっちの土魔法使いさんに図面を渡したら、土台は作ってくれて、一応、街の人に驚かれないように、城壁柄の工事用外壁で囲って移動した。
「ふう、話長くなったから、お茶にしようか?…その間に質問受け付けるよ」
「SF小説かラノベのようですね。」
「私の妄想より真実味がある」
「エルフさんやドワーフさんいるのかなぁ?」
「ダンジョンて、何階層まであるの」
「なんで戦争してるの?」
「特別手当は出るの?」
「行き来は簡単なの?」
「親にも話せないの?」
「社長と秘書室長はなんでりおんさんの話、信じられたの?」
「りおんさんて、何者?」
「インフラ環境は?」
出るわ出るわ、質問の嵐になって来た。少し信じたいと思ったってことかな?
「事実は小説より奇なりですよ。」
コンプライアンスの関係で、秘密保持魔法契約の様子は非公開にと思いましたが、33話に続きます(頭が疲れただけ)。
31話、32話、頭使いまくりました。「疲れた!」やば、ノエルが呼びにくる!
書くのが疲れる話、もう少し続きます。応援よろしく!です。




