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異世界コンビニ『戦場のファミリーストップ』開店です 〜足立区から出勤、本社と提携。手作り特大角煮おにぎりが爆売れ。イートインは常連S級冒険者のほのぼの居酒屋に。  作者: 柿野たね
第1章 異世界でコンビニ始めました

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22/65

第22話 異世界には異世界の時間が流れている……臨時休業も大らかに受け入れられるらしい。

 かなり前に連発で魔法弾が飛んで以来、今日は爆音が少ない気がする。あっちは半休?


 年中無休のコンビニエスストア『戦場のファミリーストップ』は本日も営業中してる。この街では忙しかった日の後は、休む方が常識だって教わったのは、この後すぐ。昨日教えてよ!(怒)


「おはようございます。」

「いらっしゃいませ。」

「朝ごはんのおにぎりまだあるっすか?」

「いっぱいありますヨォ」


「よかった、まだみんな寝てるのかな?」

「これからみなさん来てくれますかね?」

「今日はギルドも開店休業かな? …でも、お腹は空くから、朝昼一緒ぐらいに食べに来るんじゃないすか? 朝ってさ、ギルドの固いパンとコーヒーしかなかったから、ここ出来て、みんな喜んでたっすよ。」


「ないよりはマシだろ!」(怒)

「あ、ギルマス!………お、おはようございますっす。」

(コボルトさん? 私より大人だけど、かわいい!ちょっと残念かわいい!語尾のせい? ちゃんと服着てる。)


 って、考えてる顔をことりちゃんがしてる。

 朝9時を過ぎた頃、やって来たのはワンコ? イマイチ感なジャック・ラッセル・テリアがそのまま立ってた。


「いらっしゃいませ。……ギルマス、おはようございます。」

「おはよう。大きい方のおにぎり、角煮以外もあるか?」

「手作りおにぎりは、唐揚げとシャケと煮卵がありますよ。高菜漬けや梅干しも若干作ってます。私好きなんです。」


「煮卵ってのはなんだ?」

「ゆで卵を醤油ダレで煮たものです。黄身まで味がついてて、不思議です。」

「じゃ、唐揚げとシャケと煮卵を1個ずつもらおう。あっちだよな。」

「はい、こちらのカゴをお使いください。野菜も食べてくださいね!」


「おうっ!……ガキンチョどもは学校とやらか?」

「はい、勉強してます。カエデちゃんはまだ働いてます。」(汗)


 ギルマス危ない!……みんながいないこと、バレちゃうじゃん。ことりちゃんグッジョブ!


「学んでるのか。みんな偉いなぁ?」

「ギルマス、高校ってなんすか?」

「よう知らんが、ここのガキンチョどもは、毎日学んでるらしいぞ。カエデは勉強して物語の絵も描いてるらしい。ここの子達はよく学ぶ。お前も少しは学べよ。」


「ちゃんと読み書きぐらいは…、もう少し勉強しないとダメっすかね?」

「計算もやっとけ! お前また昨日の討伐数間違ってたぞ! 合計がゴブリン3体少なかったぞ。耳7個と5個に6個。合計いくらだ?」

「えーと、指7個広げて、足すから5本、足りないから足2本、右足5本で15個ぐらいですよね。」


「ゴブリン18体ですよ。」


「ことりが正解!…ということで討伐数15でいいな。」

「直しておいてくださいヨォ〜」

「ギルマス、直してあげてくださいね。」

「ことりに免じて、直しておいてやろう!」


「よかったですね。…足し算は小学生、六歳の頃、学校で最初に習う勉強ですよ。」

「えぇ、そんな頃に計算できたら、この街では天才っすよ。」

「まぁ、そうだな。天才だな。」


「ギルマスまで何言ってるんですか?」(笑)

「いや、ほとんどの子供はできないぞ。大人はこいつよりはちゃんとしてるが、ギルドの書類仕事はできないな。」


「それにしても、今日店やってるとは思わなかったぞ。普通休むぞ〜このあたりの店」

「えっ、どういうことですか?」

「この街では忙しかった翌朝はお店休んでるのが普通なんだよ。早くても昼からだな。」


「そうなんですね。コンビニは定時に開けるが基本だから、休むってことみんな考えてもなかったです。店長にこっちの普通、伝えておきますね。」

「そういうものなのか、それは助かるが、「無理されないように」と店長に伝えてくれ。」

「は〜い」


「おっと、広場の向こうからかけてくる奴らがいる。おにぎり確保!」

「えっ、あ、広場の路地から人が出てきた。……見える前からわかるんですね!? すごい!」

「ダンジョンじゃそれが分からないと、魔物に殺されるっす。当たり前のスキルっすよ。俺もおにぎり買いに行くっす。」


「はーい、頑張って。……生きる力は私たちも教えてもらわなきゃ、路地からバイク来るのがわかったら、あっちでも安全よね。」

「ことりちゃん、路地はよく確認してご安全にね。それも小学生で習うよ。」

「あ、店長!聞いてたんですね。…それより、あれ、暴走冒険者さんたちが…。」



「おっ、先頭は若手冒険者軍団。ギルド宿舎の大部屋組か!広場の真ん中を怒涛の勢いで走り抜けております。ダンジョンより石畳は走りにくい。よろよろしている中堅集団。……おっ先頭転んだ、後ろは止まれない。集団の半分がつまずいて、さらに後ろは、さすがD+のもうすぐ個室組。横っ飛びに身を翻した。その隙を華麗に舞う花々、朝だというにバッチリ決めたあだ花3輪Bクラストリプルルーム組。そろそろ誰かもらって!と叫びつつ軍団の脇を抜けて行くが。……無事だった男たちが行手を阻む。その後ろで機先を制していたB+のイケメン二人。自動ドアのゲートは開いた!

 ゴール! 判定はビデオ判定に…!」



「「「「おはようございますぅ。」」」+約15人

「「「おはよ!俺たちが先!」」」

「「「何言ってるの、うちらが先よ!」」」


「あ、アルノ社長…。」

「?? 競馬中継のアナウンサーもやってたんですか? 社長」

「流石にやってないよ。競馬中継見るの好きだから。」


「賭けてます?」

「流石にそれするとアナウンサーの徳先さんになるでしょ。あれほど財ないから、横領したら両手括られるからね。」


「「「何、無視して訳のわからない会話してるのよ。一番は私たちよね。」」」


「おはようございます。商品たくさんありますから、落ち着いてくださいね。」


「「「サンドイッチが欲しいのよ!」」」+5人

「「「絶対大きなおにぎり。美味しい方!」」」+8人

「「「握り寿司と助六の黒い方の長いやつ!」」」そのまま。


 ことりちゃんナイス! みなさん、パーティごとに欲しいものが違うから競争しなくて大丈夫だね。逆にグループ内争奪戦が激しそうな方々も…。頑張ってください。


「大丈夫です。店内はゆっくりお弁当コーナーへ向かってください。」


 ソローリ、ソローリ、魔物が出ても大丈夫なぐらい、ゆっくりスローリーに…。

 ドリ◯のコントか!(笑)


「社長、会社大丈夫ですか? 毎日こっち来て怒られません?」

「今日がどうだかは、確認しときたいでしょ。」

「イベント後の平時の状況が経営には大切なんです。」


「「あ、室長。おはようございます。」」

「店長、ことり、おはようございます。」


「俺にはあいさつは?」

「いきなり変な人現れるから、忘れました。」

「社長、おやようございます?」


「ことり、なぜ疑問形?」


 その後お昼過ぎまで、お客様が途絶えることなく、朝食なの?お昼ご飯なの?を買ってイートインへ。しばらく賑わっていた。


 調理担当のあさとおばあちゃん、ことりちゃんはお昼休憩を取りつつ、イートインを気にかけていた。


「ゴブリンって、強くて、大きいんですか?」

「そうでもないけど、俺たちより大きいっす。」

「みなさん、小柄ですもんね。」

「強くなさそうっすよね。」


「はぁ、……そう見えますね。」

「そう見えるから、ゴブリンが舐めてかかって来るっす。近づいたとこを、さっと……。」

「えぇ〜。首を狙うんですか?」


 身振りで戦いの様子を教えてるコボルトくん。


 ゴブリン18体のコボルト君をはじめ、それぞれが自分の手柄話を聞いてもらいたかったようで、ことりちゃんとあさ、最後はおばあちゃんまで、その話を聞きながら、一緒にお昼を食べていた。


「リーダーの一人でゴブリン18体はなかなか大したもんなんっスよ。」

「影から飛び出てスパッと首筋に一線入れるんです。」

「俺らは、二人ずつで、一人が揺動、囮になって、残りが後ろからスパっだからね。」

「それでも、10体は難しいっス。」


 なにそれ、ちょっと怖い! 可愛い顔して、とんでもない実力の『コボルト忍者隊』。……多分、忍者隊。


 レジは俺と実くん。あれからすぐに社長は室長に(くく)られて、帰って行きました。秘書室長から厳命でもあったのかな? 室長、ちゃっかり幕の内弁当二つ経理清算ピッしてた。


「朝の分とお昼の分のあささん達が用意してくれたの、全部売れましたね。」

「うん、あさとおばあちゃんは、毎日スーパーの動向見てるから、目が覚めてお腹空いたら来る人多いんじゃないか?って予想してたらしい。」

「主婦って、すごいですね。今日は、冒険者と主婦のスキルを学びました。身につけられるよう頑張ります。」


 はいはい、ことりちゃん、去年大学卒業したんだよね。素直過ぎて、おじさんは心配になります。あっちのお兄さんや、こっちの冒険者さんたちに、気をつけてね(遠い目)。


 無事、ローテーションと午前の営業を終わって、まだお昼を食べてない実くんと僕、近所の配達を終えた福の神はやっとお昼ご飯。働いた後の休憩では70リオンまでのお弁当を一つ食べて良いことに…。

 今日から福副室長は元の配送部の配送係兼務。副業務として近隣のお店への配達も担当してるんだって。朝と夜の最終がファミプ異世界店にしてある。


「ことりちゃんとあさと、おばあちゃん、ピッした?」

「ピッとして、賄いボタンクリックしたよ。りおちゃんも忘れちゃダメだよ」

「レジでも携帯端末でもどっちでもいいんですよね。」

「どっちでもいいよ!」


「店長。ギルマスから聞いたんですけどね…」

「朝、二人で話してたこと?」

「あ、聞いてたんですか?」


「近づいた時、聞こえてた」

「こちらの感覚、日本とはずいぶん違うんですね。」

「そうだね、休むわけにはいかないけど、参考になるね。休んでも大丈夫ってのは、気が楽だ。色々聞いてくれて、ありがとうね!」


 こうして、ファミプの通常営業日は過ぎていくのであった。

 もうすぐ高校生組と午後番の就業時間。午後も元気に働こう!



 平和が何よりだ。ついでに忙しい日の後は休むコンビニの初めにしよう!

 だから、今日の午後の営業もお休み!


「ダメに決まってるでしょ!」(by あさ)

 昔から、日本の常識=世界の非常識とはよく申しますもので。いつからこんなに時間に縛られる国になったんでしょうなぁ。思いますに江戸には江戸の時間が流れておったようで江戸の時代、十五日連続で働かされておりましたが、明治以降よりはるかにゆったり時間が流れておったようで、夜が暮れると店は閉まり、市井は静かなものでございました。明治のご維新で、街に(あか)りが(とも)り、陸蒸気おかじょうきが走り出した頃より、時間に縛られる国に…


「いきなり新作落語始めるんじゃないの!」(怒)

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