第21話 集中討伐の翌朝は……静かだった。三日目、お客はやってくるのか?事件は起きるのか?
「あさちゃん、柳田さん、岡山まで行ってくれたんだって。」
「えっ?お義兄さんとこ?」
「そうだって。飛行機とタクシーで行って来てくれたって。」
「夕方いたわよ?」
「ほんとありがた……」
そのまま、いつの間にか寝てしまったみたい。朝、今日も4時に起きた。
気になってたローテーション表を家のiMaxの表計算APPエクセリで作ることに。……仕事が残ってると、寝つきが悪くて、起きてしまうのは、昔からの癖なのだ。データベースの依頼もこなしてるので、エクセリはそこそこ得意である。本を書いたこともある。……若気の至りだ。……でも嫌いだ。トライ&ゴーが多すぎる。関数を覚えてしまう。
ノーコードって、流行ってるよね。
いつもはCONCATENATEとかVLOOKUPの関数を多用してる。
今回、初めてCOUNTIFを使った。誰が何回出勤してるかのカウントをするためだ。……これぐらいのことは1時間もあればできると思うと、気になって眠っていられなくなるのである。
ま、一眠りできたのは、疲れてたからだろう。
はてさて、朝5時半、開店30分前…
「おはよう!昨日遅かったのに、早朝からお仕事ご苦労様です。30分で準備するの大変だけど、よろしくね。」
「朝食は調理室のテーブルのマジックバッグに入ってるから、8時になったら交代で食べてね。「私のご飯、ちょうだい」って言うと、一人分出てくるようになってるわよ。」
「「「なにそれ、すごい」」」
「いくつでも出るの?」
「自分の分だけよ。入れる時、あゆみちゃんの朝ごはん、春樹くんの分…。て唱えて入れると、覚えてくれるの。すごいでしょ。」
「「「魔道具すごすぎ!」」」
「魔法はイメージが大切。ってドボルジンクさんが言ってた。」
「「「そうなのかあぁ〜」」」
「はい、みんなお仕事スタートよ!りおちゃんはオムレツ作ってね。」
「ご飯食べる時、パンとおにぎりテーブルに置いとくから、お店のでいいよな。ベーコンとオムレツ、サラダとスープは暖かいままマジックバッグに入れてます。「私の朝ごはん頂戴」で出てくるぞ。」
「基本、あさと僕は調理と店内カメラの映像見ながらみんなに指示します。」
「インカムつけといねて。店内放送でインカムつけて!は『ノエルさんお散歩です』よ。」
「ローテは、レジ担当は今日は春樹と実くん+康太ね。この表見やすいわ。」
「調理担当はことりちゃんと後から来るカエデ、あゆみとミナさんもよろしく。」
「全員、手の空いてる時、必要な時は、品出しもお願いね。毎日誰か二人は休日です。」
「このローテーション、室長のOKもらったら、発表するね。」
「OKだそうでぇ〜す。」
「はや〜。あ、トラックこっちだから、福の神も寮で寝てたんだよね。忘れてた!ご飯、先に作るね。」
「俺、影薄いんだなぁ。神様なのに…」
「えっ、福の神って、気に入ってるの?」
「気に入ってはいないですよ。でも会社中そう呼ぶから諦めました。」
「直接呼ぶのはやめとくね。」
「影では呼ぶんですね。」(怒)
「朝一はみんなでお惣菜、おにぎり、サンドイッチ、お弁当コーナーの商品をマジックバッグから並べてね。」
「「「はーい」」」×全員
「その間にあさたちで、コロッケと、唐揚げとおにぎりのパッキング。本当は夜にやって、マジックバッグと移せばいいようにしたかった。」
「昨日、作るそばから売れちゃったわね。」
「あとは商品棚のチェックと店頭の掃き掃除。汚れてるとこあったら掃除をして開店準備です。」
福の神は華麗にスルー
「じゃ、6時から営業スタートします。準備頑張ってねぇ〜。」
「「「「「「「はーい!」」」」」」」」
「昨日の集中討伐で疲れてみなさん寝てるだろうから、今日はゆっくり準備でいいと思うよ。」
「康太とミナさんはマニュアル見ながら、的時、確認してね。」
「ミナさん、あさや僕にも遠慮しないでね。そういえば、おばあちゃんは?」
「お家で寝てたよ。」
「おばあちゃんは御意見番だから、自由出勤で。」
「リストに入れ忘れたんでしょ。」
ギクっ
はてさて
今日もドカンドカンと砲撃音… 流石に飽きた!
「開店時間ですね。ドア開けます。……いらっしゃいま……」
お客様が居ませんねぇ〜
「今日は誰もいらっしゃらないですねぇ〜」
「「「開店休業?」」」
「コロッケと唐揚げ、おにぎり作るのやめとく?」
「お昼の分以上にあるもんね。ひとまず様子見?」
「ミナさんと私、帰って寝ようか?」
「いやいや、あゆみちゃんは学校でしょ」
「そうだった、休めると思っちゃった!」(笑)
「私も、お休みいただいて、引っ越し準備しようかと思っちゃった」
「あゆみちゃんは夕方から休んでもいいよ。ミナさんの仮のローテーション見たら、今日と明日連休だから、半休扱いにして引っ越し準備に行ってもらってもいいわよね。」
「ミナさんさえ良ければ、それでもいいよ。突然で悪いね。」
「この後帰ったとしても、有給半日分、使っていいよね。ファミプって半休ずつも使っていいんだよね⁈」
「大丈夫じゃない? 店長権限!」
「じゃ、朝の準備がひと段落したら、帰って部屋の片付けします。引っ越しは会社の配送係がやってくれるって聞いたので、早めに準備します。ひとまず明日の夜には簡単な荷物と一緒に戻ってきます。マンションの契約すぐには切れないので…。」
「あゆみは、学校から帰ってきてからも働く!事件見逃すもん!」
「事件あるって、決まってないよ。お姉ちゃんにそんなこと言わないでよ。」
「ママに心配かけるもんね。」(笑)
「はーい、じゃ、片付けや陳列。仕事にもどってぇ。時間あるから、マニュアル読みながら、仕事しよう!」
「調理係もお掃除手伝うかな。昨日適当だったから、やっといたほうがいいよね。」
「はーい、よろしくね」
はてさて
「ごちそうさまでした。配達行って来ま〜す。」
「運転、気をつけてね。お昼ちゃんと食べて、休憩するのよ?」
「あささん、母さんみたいになってますよ。」
「一昨日からみんなの世話してたら、母親気分にもなるって…。」
「なにしろ、疲れてるから、無理しないでね。」
7時前、福の神を運転席に据えて、配送車が出かけていった(汗)。それから1時間。
「ご飯できたヨォ。8時すぎたから、手の空いてる人はご飯食べていいヨォ」
「仕事気にしながらの朝食だけど、普通の範囲でゆっくり食べてね」
「食べ終わったら、食洗機のトレーに並べて、お仕事再開ね」
「高校組は食べたら、そのまま学校行っても良いよ。」
「「じゃ、そうする!15分ぐらいから食べる。」」
「いつも朝ドラの時間内で食べてるから大丈夫なの」
「お姉ちゃん、好きだもんね。カエデもそん時一緒に食べてね!」
「お母さんもパートだから、一緒に食べて来た!こっちで働きたいって、叫んでた!」
お義姉さんの必死感が伝わって来ます。何かがギリギリ削られていく。
「「じゃ、私たち、先にいただきます。」」
「僕も」
「ことりの朝ごはん出てこい」
「朝ごはんください。」
「僕のもください。」
「「「すごいね!出てきた!」」」
かなり適当でも理解するマジックバッグ、AI以上に賢い。
「「「このオムレツ、美味しい!」」」
「そだろ、そだろ。YouTubeでオムレツ動画アップしてます。」
「「「再生回数100万回?」」」
「数百です。」(悲)
「「シー、触れちゃいけなかったやつ。」」
「ベーコンもいいやつ? お店のじゃない!」
「それ、討伐隊のお土産よ。オークキングのベーコンだって。」
「昨日の討伐で獲れたやつ?」
「以前に獲ったやつを燻製にしたのなんだって」
「龍の槍のお姉さんがくれた。」
エルフの姉御から、ちゃっかり貢物をもらってるあゆみちゃんであった。
「サラダはあっちのスーパーの野菜だけど、プチトマトとモッツァレラチーズはお店のよ。野菜はコンビニの卸値の方が高いもの。」
「一日1度はクロスバイクでスーパー行かないと、気が滅入る主婦さん。いつの間に行ってきたの?」
「一昨々日、買ってきた分よ。早く使ってしまいたかったの。」
「パンとおにぎりは、好きなだけ食べてね。冒険者さんほど食べると、お店傾くけど、あんたたちなら、大丈夫よ。」
「食べる前に、バーコード読み取って、経費清算しておくこと。」
「マジで食べるの仕事ってかんじだね。」
「後で困るのレジ係だよ。」
「「「はーい」」」
この間も数人の冒険者とお昼のお弁当を目当ての街の人が来店されたが、ごった返すようなことはなく、穏やかな時が過ぎていった。
「外を歩いてる人が、不思議な顔つきでみてるわよ。」
「出勤中のお役人さんやお掃除してる街の人たち、驚いたような顔でこっちみてるね。」
「昨日の今日で、真面目に営業してるんダァと呆れている雰囲気じゃない?」
本当に呆れられてたのである。あれだけ忙しかったら、普通は少なくとも午前中はお休みするだろうというのが、こちらの感覚だったのだ。
「今日は朝の営業遅らせても怒られなかったんじゃない?」
「勝手に開店時間遅らせたら、足立区だったら、怒鳴り込まれるわよね。」
「近所のコンビニ、職人さんのトラックで朝は混んでるもんね。」
「期待して、閉まってたら、僕も怒る」(怒)
それでも、朝一からちゃんと営業するのが あさとりおん達だと思う。
遅い朝ごはんとか買いに、この後、誰かやって来るのか。
……心配しながら、働いてる りおん達なのであった。
事件を期待しながらあゆみは登校していった。
その後を、春樹と康太が追いかけていった。
青春だなぁ〜。義理の従兄弟と兄だけどね。
まぁ、ギルド総出の討伐があった翌日、起きてるのが普通じゃない。真面目に定時から営業してる日本人が、確実に浮いてるダンジョンの街なのであった。
真面目に働いてるりおん達を褒めてあげてくださいね。【★★★★★】お願いしま〜す。




