第11話 冒険者Payは携帯端末が便利! 冒険者の夜はコンビニ女子会。
ドワーフさんと秋山先生の大物会談に驚愕している間に、ギルドから直行した冒険者たちで店内はごった返していた。イートイン、居酒屋タイムスタートです。
「いらっしゃいませ〜。」
「ご心配おかけしました。」
「夜の営業、楽しみにしてたのよ。あなたたち、無事だった?」
「「はい。全員無事です。」」
レジ担当のことりちゃんとミナさんがお客様に声をかけ、優しいご婦人が応えてくれていた。
「ここのレジよね。あなた、大丈夫だった?」
「はい。秋山先生が瞬時に倒してくださったので、大丈夫です。」
「無理しないのよ。こんな可愛い子を攫おうなんて、お姉さん、そいつを成敗してくるわ」
「大丈夫です。ギルドの牢屋に入ってます。」
「ギルマス。私に成敗させろ!」
威勢よくお姉さん?が咆哮を上げてくれて、春樹が困っていた。(笑)
客層の5割冒険者? 優しそうな女性の方たちもコスチューム見ると魔法使いみたいだったりするから、さらに3割も冒険者? 残りは役所帰りや街の人たち?
この街の女性就業率高そうだなぁ。主婦ってこの時間はお家で忙しいよね。事件で臨時休業してる時に、親子連れが残念そうな顔で店内見ていたから、今日は諦めたのかなぁ? 気づいた子たちが、交代でお詫びに開店記念タオル渡してたから、明日、来てくれるといいね。
パーティごとに入ってるようで、夕食のお弁当やお酒、おつまみがどんどん消えていく。コロッケと唐揚げも消えていく。もう直ぐ空っぽ?
「りおちゃ〜ん。コロッケあげてぇ!そのあと下準備しとくから、唐揚げもお願いね。」
「いいよぉ〜」
「カエデとあゆみはおにぎり手伝って!」
「はーい」
「康太は実くんを手伝ってお弁当出して!」
「実さん、手伝いま〜す。」
「お待たせしましたぁ。夕方便到着です。」
「福の神来たぁ〜」
「お弁当下ろしますね。リンスインシャンプーとシェーバー、シェービングクリームも追加きました。」
「ありがとう!」
「ティッシュボックスも倉庫に積んどきますね。」
「あ、それ、お店にも並べて、もう空になってる。ドボルジンクさまの宣伝で、もう無くなりそうなの。」
あさの怒号が舞っている中、福の神の登場である。
「あっ副室長、荷物下ろして搬入したら、そのまま補助に入ってね。」
「はい」
「お客様すごいの。店内で説明よろしく!」
「そう思って、柳田室長も連れてきましたよぉ。社長も後で来ます。」
「室長は大歓迎!社長はまぁ助かるかなぁ?」
「社長も結構役立ちますよ!」(笑)
「ユニホーム着替えるの忘れないでね。結界弱くなるから。」
恐怖のあさ軍曹の号令に動じずに動き出す福の神。大したものである。あさの中で社長のポジションは室長以下?解せぬ!
レジに冒険者の行列できて、ちょっと怖い!
役所帰りのOLさん、頑張ってと思ったら、ウィンクひとつで順番譲ってもらってる。意外と紳士的な冒険者さんたち。これは「女性に評判になりますよ」と男性用ボディソープ紹介したらの爆売れの予感!
朝のドワーフさんに続いて2匹目のドジョウは…上手そうだから社長来たら、マイク持たせよ!元天才子役の本領発揮である!
さぁ〜と店内見回して、お客様の目線、スタッフの動きを確認し、調理場のフライヤーに陣取って、コロッケと唐揚げを増産しまくる俺。なんだか『俺』の気分なのよね。揚げ物って、深夜だけ営業の食堂やってる大将の気分になるでしょ。「言ってくれたら作るよ!」見たいなセリフの…。上げてるのコロッケだけど。
お客様は店内を回ったあと、気に入ったお弁当やお惣菜、お酒を購入して、半分以上の方がイートインコーナーに吸い込まれていった。パーティごとに座るのかと思えば、リーダー級はリーダー同士、そのほかの男性冒険者は気のあった感じの仲間と座っていた。
女性魔法使いやヒーラーは、秋山先生と同じ座敷の座卓を4つ繋げて、大きなテーブルを作ってた。なんでそんな使い方わかってるの?(汗)
イートインでトラブルが起こった時に対応できるように、店内カメラが各所に設置してある。
「これ、いろんな味で美味しいねぇ」
「小さいからみんなで摘むにもちょうどいいにゃ。」
「えっとレシートの『サンドイッチオードブル(小さなハサミパンセット)』ってのがコレ?」
「ジュリエット、ハサミパンって、パンで挟んでるから?それともハサミで切ってるからってこと?って論争されてるやつよね。」
「挟んであるからでしょ!パンの耳、ハサミじゃきれないわよ。」
「専用の大きな鋏があるって噂にゃ」
「ねえねえ、店員さん、どっちか知ってる?」
「あ、先日、工場見学した時、大きな鋏は使ってなかったですよ。」
「工場で作ってるんだにゃ」
「ブルブル震える大きな刃物の機械で、端っこ落としたら、パートさんの前に進んで、そこで具を挟んだむんです。」
「機械と人間が一緒に作ってるの?」
「そうなんです。自動で移動して、斜めに高速で震える細い刃物で切ってました。」
「魔法剣かにゃ?」
「機械はどんどん切るけど、怖いから私には無理って思いました。」
「その剣欲しい。」
「お姉さんたちなら、魔法でスパっと切れるんじゃないですか?」
ちょうど空いた席を片付けてた、あゆみちゃん、グッジョブです。調理場ちょっと手が空いたので、こちらに回ってくれたようです。食べたらさっと帰る方も多いのか、イートインの回転は早い。
ま、女性陣はどこの世界も根が生えやすいようですね。ごゆっくりお楽しみください。
「お、可愛い店員さん、ちゃんと勉強してるのね。そういう娘、お姉さん大好き」
「あら、あざとくターゲット探してるエルフには気をつけてね。魅了使われると大変よ」
「私、サキュバスじゃないからそんな魔法持ってないわ。(怒)」
「店内ではどういったものも、攻撃魔法は禁止です。気をつけてくださいね。」
ちゃんとシステム理解してる。研修したこと忘れてないのはちょっと見直した。
店員やお客様に精神魔法も含め害する意識を持って攻撃魔法を使うと、店から弾き出されて、再入店はギルドが許可するまでできなくなるのがこの魔法結界らしいけど、お客様には内緒。
その後、お姉さんたちはそれぞれのパーティーの男たちの愚痴や街の噂に花を咲かせていたが、ふと後ろの席のお二人を見て、驚愕の目を開いた。今まで気がつかなかったの?
「えぇドボルジンクと秋山さん、二人が一緒なんて、何年ぶりかにゃ?」
「ドボルジンクなんて、引きこもりじゃなかったの?」
「暇なの?」
言いたい放題言ってません?まぁ長命種のお姉様もいらっしゃるのかも。
二人が並んでるこの奇跡、瓦版で伝えなくても、明日には街中の噂になってるみたいです。ドワーフが街に出て来て、侍が山を降り、コンビニで酒を酌み交わしてる…、ファミプって、いったいなんなの?と噂が回り始めそうで、怖い。創世神国がどう思うのか、大人しくしていてもらいたい。
「わしらもたまには酒も飲む。ここはなかなか良い居酒屋じゃの。
しばらくちょくちょく顔を出そうかのぉ」
「それがしも、一日の締めは、この天ぷらそばと熱燗を堪能するでござる。
鍛錬で昂った魂が落ち着くでござる。」
「ドボルジンクさま、居酒屋ではないですが、この座敷で心豊かにお過ごしください。これからもご贔屓に……。お願いします。」
「ふむ、この座敷というのは良いのぉ。草履を脱いでくつろげるのが良い。」
「足の臭いに気にならない?…帰ったら湯屋へ行こうかな。」
「草履やサンダルは大丈夫でござるぞ。」
「お蕎麦とお酒、美味しそう、私も買ってこよ。お酒は暑いから冷たいのがいいけど、ある?」
「ドリンクコーナーのワンカップ赤桜がおすすめです。高校生なので飲んだことないですけど。」
「あら、あなたも飲んでみる?おごるわよ。」
「就業中ですので、大人になったら、また誘ってくださいね。
お持ちしますか? 携帯端末もお持ちしますから、冒険者Pay使えます。」
「良いの? ありがとう」
おぉ、あゆみちゃん。ここでも活躍。??店内カメラって、音声も聞こえたっけ? 異世界仕様? あとで確認増えた?
実はあゆみちゃんのインカムのスイッチを入れもらった。こっそり情報収集中!腹黒店主!…お客様の動向把握は大切。
はてさて
そんなこんなで21時前、店内のお客様もまだ途切れず、イートインコーナーも半分ぐらいはまだ埋まってる。あと残り1時間の営業だ。
ギリギリ感満載で社長登場!折角ですので、マイク持って締めの挨拶をお願いしよう。ついでに男性用ボディソープを……。起きてるのはお姉様たちだけ、男たちは撃沈、寝かしておこう!商機はまたある!残念!
「社長、あと1時間で閉店です。開店記念と締めのご挨拶、よろしくお願いします。」
「えぇ、店長の仕事じゃないの。経団のパーティーで散々やらされて来たのに、こっちでもやるのぉ」
「あっ社長、あとでファミプの2027アルノさんカレンダーにサインください。今日の記念に店頭受け取りで注文してたんです。私、仮面トラッカーの大ファンなんです。スーパーデコトラで駆けつけるアルノさん、カッコよかったですよね。社長姿も素敵です。」
デコトラのヒーローって、かっこいいのか?
「あ、じゃぁ挨拶しちゃおうかなぁ」
え、あゆみちゃん、年上キラー? 春樹受難です。いとこハードルもあるから、難しいだろうなぁ。あさの社長の評価が低い理由はコレか!
「こんばんは、今日はご来店ありがとうございます。
初めてのコンビニ、ファミプはいかがだったでしょうか。
お弁当、お惣菜はお口にあいました?」
笑顔が眩しい!任せてよかった!
「「おにぎりって美味しいね。冒険にも持っていきたいぃ!」」
「「お酒、今まで飲んだことないのがいっぱい、幸せぇ〜」」
「楽しんでいただけたようですね。今日は存分に楽しんでいただきましたが、明後日からはイートインでのお酒はおひとり様3本までお願いします。明日からは他の居酒屋さんにもお酒を卸す予定です。そちらでもゆったりお酒をお楽しみください。一升瓶はパーティーに一本だけでお願いします。」
「「おつまみは卸さないんでしょ。こっちのがいいぃ〜」」
「気に入っていただいて嬉しいです。食材は卸販売もする予定です。居酒屋ギルドの方も提携に積極的だとお聞きしています。楽しみにお待ちください。」
まだ、食材の提携してくれたとこ無いけど、これからかな?お酒は購入希望の連絡が増えてるんだよね。これだと、コンビニじゃなく、卸になってない?裏口ないんだよね。危険だから配達は難しいしね。表で卸もやるって、まぁ明日考えよ。
「さっき、板さんぽい方が野菜やお肉、冷食も買っていかれてたから、色々試してくださってるんじゃ無いですか?」
「そういえば、午後、営業止まってたんだって? 暴漢捕まえたんだって?」
「私じゃ無いですぅ。秋山先生です。」
「さすが、秋山ちゃん、えらい!」
酔っ払いのお姉さん、からみ酒ですか?上手く捌いてるあゆみちゃんグッジョブです。
「ということで、そろそろお時間となりました。残ったおつまみとお酒、あゆみちゃん、箸つけてないものは袋に入れて差し上げてね。お酒も瓶に残ってるのはよくキャップして同様に。食べ残しは自主的にお口の中へ、入り切らないものはそのまま机の上に置いといてくださいね。イートインはお買い上げ商品ですから、お持ち帰り大丈夫です。
箸をつけたものは一晩置くと危険ですから破棄させてください。今日も最後までお楽しみくださり、ありがとうございました。あと25分ほどですが、ゆっくりお過ごしくださり、連れ立ってお帰りください。」
「寝てるお兄さんたち、起こして連れて帰ってくださいね。よろしくお願いします。」
寝てる冒険者たちも、お姉さんたちも思ったよりキレイに食事していた。食べ切れそういないものは箸をつけていない。箸をつけたものは平らげてる。お酒もコップのものは綺麗になくなり、瓶は注ぐたびにきっちり蓋を閉めていた。酔っ払ってもこの状態。新橋のサラリーマン、見習え!
冒険者さんたちはダンジョンの中で食事をするので、残すと魔物がよって危険、足りなくなると飢餓危機、食事は危険と隣り合わせなのできちんと食べる癖がついてるそうです。側で見て片付け手伝ってたあゆみちゃんが感心してました。
「お姉さん、ありがとうございました。また来てくださいね。」
あゆみたちが笑顔でお見送りした
「お姉さんたちもおじさんたちも、えらいねぇ。高校の学食の方がひどいよ。女子は多いって平気で残してるし、男子は食べきってるけど。ゴミは放置。今日は片付け私ほとんど手を出さなくてよかったもんね。」
今晩の殊勲賞はあゆみちゃんだね。イートイン主任の候補決定!
さて、仕事は切り上げて、この後は初日打ち上げ会と称して、北千住へ!出発だあ!
襲撃、鑑識、一時臨時休業と午後から夕方にかけて、飛ばし続けたファミプ。高校生バイトも若手社員も平気そうですが、PTSD対策は必要ですよね。さ、打ち上げ、北千住へ!
え?こんな時間から?保護者の了解はもちろん、とってるよね?
スピンオフで仮面トラッカー、書けるといいなぁ〜。モデルはデコトラ?




