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【第2章は店舗魔改装中!】異世界コンビニ『戦場のファミリーストップ』開店です!〜今日も足立区から通勤。グルメS級冒険者、常連主婦と現代の魔道御庭番の強力タッグで“美味しいバトルの連続です!”  作者: 柿野たね
第1章 異世界でコンビニ始めました

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第108話 お店に戻ったら、カレーの匂いに釣られたのか……かなりの盛況だった。

 はてさて


 イートインに戻ってみると、お昼寝してる子が大半だった。

 ママたちは、ジュリエットたちとお店の中を物色していた。どんどん買ってね。



「ジュリエット、ありがとう。大変じゃ無かった?」

「何も無かったわ。みんなでファミプを満喫してたの。いろいろまだ見てない商品あるわね。」

「何事もなくて、楽しんでくれてよかったわ。」


「あさ、このボールペンって便利ね。インクの補充しなくていいなんて、便利じゃない。……もっと他にも良いモノあるんじゃないの?」


「えっ?売れないから使わないのかと思って、シナモンが片付けちゃったわ。」

「可愛い文房具や便利なものは、女の子の嗜みじゃない。……なんで相談なしに片付けるのよ。」


「『シナモ〜ン、……片付けたものにクレーム入りましたぁ〜。ご対応をお願いしま〜す。』」


 あさはインカムでシナモンに丸投げしておいた。


「これでよしっと!……ジュリエット、担当者がすぐ来ます。」


「あさ、どのくらい書けるにゃ?」

「ず〜と線を書いて、この星1周しても、終わらないって聞いたことあるわ。」

「あささん、それ、りおんさんから聞いたでしょ。……騙されてますよ。3〜5㎞だそうです。」

「夫婦、仲いいにゃぁ〜。」

「『りおちゃぁ〜ん!……聞いてるでしょ!』」


 触らぬ神に、祟りなし……。


「この3色のボールペン?おもしろすぎ。今度の帰省のプレゼントに欲しいにゃ。」


「帰省?」

「猫獣人の山猫の里は、山の麓にあるにゃ!」

「実家に行くのは、楽しいわね。……母さん、元気かなぁ?」


「エリー、実家に小さい子いる?」

「姪っ子や甥っ子がいっぱいいるにゃ!」

「じゃ、小さい子にはこっちの鉛筆と消しゴムがおすすめよ。」


「鉛筆削りもね。」

「りおちゃん、ありがと。……でもさっきのは許さないわよ。あとで覚えといてね!」


「鉛筆だと、800本ぐらいで、1周できるって。……これで許してくれない?」

「それも嘘だったら、怖いわよ。」

「1本で50㎞ぐらいかけるらしいよ。削り方にもよると思うけど。」

「1本、ずーっと書いて歩いてくれたら、許すわ。」

「そんなぁ〜」


「うそよ、仕事に戻って!」


「あさ、ボールペンとどう違うにゃ?」

「あ、ごめんなさい。書き方や計算覚えるでしょ。……この鉛筆で書いて、間違えてたら、こっちの消しゴムで消せるの」

「それ、便利だにゃぁ。」


「あささん、これ。」


 ことりがレジに行って、使ってる鉛筆と消しゴムとメモ用紙を持ってきてくれた。


「なになに、エリーが気に入ったものって、これ?」

「アイの子どもたちにも必要かもにゃ」

「書き方の時、これで書いて……。」


 エリーの鉛筆の握り方は、ちゃんとしてた。


「間違えたら、こっちので消せるにゃ。」


 エリーがゴシゴシ文字を消していった。


「あら、それ、便利ね!カゴに入れとこ!」


「あ、ナイフでも削れるけど、難しいから、こっちの鉛筆削りも必要よ。」

「あ、先っぽ、だんだんチビるんだにゃ。」


「鉛筆削りの穴に差し込んで、鉛筆をくるくる回すと、……あっ尖ったにゃ。」


「それも買い!」


「「「うちも買うぅ!」」」


 ママたちのカゴの中へ、一気に鉛筆と消しゴムと鉛筆削りが棚から消えた。


「お買い上げありがとうございま〜す。」


「楽しいから、1本全部削ってしまう子、時々いるから、気をつけてね。」

「あ、わたしもやってみようと思ったにゃ〜」



「あさ、呼んだ?」

「シナモン、文房具コーナーが売り切れちゃったわ!」

「ジュリエット姉さまが、もっと可愛いのが有るなら、元に戻せって、お怒りです。」

「あ、まだ倉庫にあるわ。……返品キャンセルしてくる。」


 シナモンが逃げるように走っていった。


「カレー教室の後、どこかに並べますね。」

「ことり、ゆっくりでいいわ。有るのが分かれば、楽しみはあとでいいのよ。薔薇の(つぼみ)が綻ぶのを見つめてるのは、楽しいものでしょ。」


「とてもいい香りが広がりそうですね。……そう伝えておきます。」


 詩的に、明後日の棚替え、模様替えに期待してるって、言ったのかな?

 エルフのジュリエットが気になったのか、カーマイケル夫妻があさに近寄ってきた。


「リチャードさん、静江さん、S級冒険者のジュリエットさまで、このお店の協力者のお一人です。」


「「「あさ、敬称いらない」」」


「だって、紹介ですもん、一応敬わないと。」

「まぁ、確かに、そうとも言うわね。」

「じゃ、このあとは、無しね。」


「ジュリエット。エレンのご両親です。」

「静江、リチャード。見ての通り、ジュリエットはエルフです。」


「初めまして、リチャード・カーマイケルと申します。」

「静江です。よろしくお願いします。」


「リチャード、あなた、エルフの子孫でしょ。……エレンは、とってもいい子ね。丁寧に剪定された糸杉の木のように、素直に育てたご両親に会えたのはとても楽しいわ。……ここに来れたってことは、あさとりおんの仲間ってことね。これからもよろしくね。」


 一気に捲し立てた……ジュリエット節健在だ。今日はなぜか詩人。


「わかりますか?……先祖にエルフがいます。あささん達と信仰的には同じようですね。」

「御子さまを主として、エルフの女性から教わり、御子さまの命じられたことと、われわれの礼拝があまりにも違うと知り、それ以来一族では聖餐の食事を続けています。」


「あら、エレンは初めてと言ってたわよ。」


「ちゃんと毎週家族3人でやってたんですが、本人は普通の食事と思ってたことが先ほど発覚しました。親としては、大いに反省しています。」


「だから、エレンの食事や祈りの所作はちゃんとしてたのね。不思議だったの……。でも、その躾だけでも、十分だと思うわよ。時間が有り余るエルフでも、できない子もいるわよ。短い時間で、素敵な子に育てた両親は偉いわ。」


「聖霊の魔法と、悪い魔法があることも、伝わってるそうですよ。秘密保持魔法契約に忌避感がないので、驚きました。」


「それじゃぁ、もう仲間じゃのぉ。鍛治士のドボルジンクじゃ。よろしく頼むのぉ」

「秋山でござる。見ての通りの剣客でござる。」


「御三方とギルマスがこの街の重鎮で、Sランク冒険者です。」


「あさ、呼んだか?」


 ギルマスが棚の反対側から声をかけた。


「あ、ギルマス。……紹介しますね。エレンちゃんのご両親です。」


「リチャード・カーマイケルと、妻の静江です。娘のエレンが、お世話になってます。」

「ここに来る子は、どの子も良い子じゃ。」

「これからも見守っていくでござる。」


「ギルドマスターのクロード・フォレストだ。エレンも含めて、ほんとにいい子ばっかりだな。」


「よろしくお願いします。」


「帰り際に、あさの家の庭によるといい。あそこの琵琶は、そろそろ美味しいぞ」

「えっ?なんでご存知なんですか?」


「毎年見てたからニャァ〜」


「あ、忙しくて忘れてた。びわ、撮らなきゃ!」

「りおちゃんの頭の中の取るの字が違ってるでしょ。」

「明日のびわ収穫班結成しとかなきゃ!」


「どうせ撮影も、するんでしょ。」

「大勢でできるから、やりやすいね。」

「ねぇ、編集する時間あるの?」

「あっ」


 ギルマスは、ピリッと不思議と促しを振り撒いて、言い逃げした……。


「リチャードさま、お久しぶりです。田沼です。」

「おっ、……びっくりした。……田沼くんもこのお店の関係者なのかい。」

「ここで顔見知りに声をかけれるとは、思いませんでしたわね。」


「はい。しばらく前から開発スタッフとして裏方をしてました。今日初めて、こちらに来れました。」

「じゃ、娘とはまだ会ってないのかい?」

「はい。ここでは行き違いでしたね。」

「秋山さまは、田沼家の関係者の秋山さまかい?」

「リチャードさま、よくご存知ですね。」

「秋山家のファンだからね。」

「では、後でちょっと良い話を聞いてもらえますか?」

「今じゃないのかい?」


「あささんのカレー、食べたくないですか?」

「この匂いかい。ぜひ、ご馳走になりたいね。」

「私も……。」

「では、ここではなんですので。あちらで……。」


 イートインの端に、遅れてきた人用の試食コーナーができていた。


「エレンちゃんに、ちょうど良い子がいましたね。」

「親としては、彼だと嬉しいね。」


 田沼くんの後ろを歩きながら、お二人は、そんなことを話していた。

 田沼家の社交力は今も健在のようだね。エレンちゃんに幸せが訪れるといいね。


「エレンは試食したのかい?」

「あ、私もまだです。でも、作り方も知りたいから、後にします。」

「じゃ、見学を優先しますか?」


「私も知りたいから、そうさせていただこうかしら。いい?」

「大丈夫みたいですよ。ことりさんが、微笑み返してくれてます。」


「あ、田沼さん」

「エレンさん、入社式以来ですね。」

「はい。ご無沙汰してます。研究者チームって、田沼さんもだったんですね。」

「エレンさんの活躍は、報告書で見てましたよ。」

「りおんさん、何書いてるんですか?」

「さぁ〜?」

「当事者は、忙しすぎて、読む暇ないんです。」

「面白いですよ。読んでください。……なろう版もあるって、さっき知りました。」

「なんですか、それ」

「柿野タネってペンネームで、アップしてるみたいですよ。僕もまだ見てないんです。」

「へぇ〜、面白そう!」



 あさとカエデが、インカムを外しヘッドセットマイクを口元に寄せた。


「では、カレー教室を始めます。」


「あさちゃん、待ってました!」


 演芸場か〜い!


「そちらにいらっしゃるのは、エレンちゃんのご両親のカーマイケル夫妻です。……お店の見学がてら、お楽しみください。」


 スタッフも揃ってたから、ついでに紹介してもらった。



 いよいよ次回から美味しいカレーの作り方を紹介します。事件が起きてバラバラになったレシピをちゃんとまとめてって感想が……。多分、そう思ってる方、多いですよね。ということで、次のお話は、冒頭から『蒸らし炒めの野菜の甘いミノタウルスのカレー』の作り方を紹介します。もちろん、牛肉でも作れます。


 でも、ここで素直に始まらないのもファミプです。ちゃんとカレー作れるかなぁ〜?

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