第103話 いつでも買えるなら、『少しでも毎日買い物したいのよぉ〜』
「ギルマス、ファミプに納品する食料品は、農家から全て1割プラスで買ってください。」
「「「「ええええぇぇ〜」」」」
期待が上がりすぎてたので、反動からか、その場のほとんどが叫び声を上げた。
落ち着いてたのは、あさと従兄妹組だけだった。
鴉瑠之は社長として、
『農家から1割高く買う。損するだけじゃないか。……無理無理!』
柳田は、
『何か考えはあるのだろうが、りおんさん優しさだけでは商売は成り立たないですよ。』
ジュリエットは妹分のために、高くなることに反対して、
『高くなったら、今まで通り八百屋さんで買うしかないわね。りおんとの付き合いは、イートインで十分ということよ。天童がいればわたしはいいのよ。』(赤)
みんな心の中で呟いていた。
エリーとヒルルは念話で……、
『ねぇ、高くなるんだって。八百屋さんで買う?』
『いろいろエリーに聞いてたから、何か考えがあるのよ、あのりおんよ。もう少し聞いてましょう。』
実とことりは小声で……、
「プレミアム価格は、浸透しにくいから、大変だよね。ファミプも定着できてないよね。」
「エリーさんたちに質問してたことに、解決策あるのかも。もう少し聞いてみよ。」
修一、
『りおんさん、何思いついたんだろ?楽しみだ。』
その場にいた、ほとんどがそんなふうに、特にファミップ関係者は、あっけに取られていた。ギルマスが……
「今までの査定に1割プラスでいいのか?お前たちが損するぞ?」
「大丈夫です。」
「りおん、大丈夫って、本当に商売になるのかい?」
「アルノ、大丈夫だよ。……シナモン、ファミプの野菜の納品基準、こちらに合わせて、決められるよね。」
「それくらいは、私、野菜のバイヤーもしてたから、大丈夫よ。肉も果物もわかる。」
「農家さんからは、その基準に合ったものだけ、買い取ります。」
「やっぱり、プレミアム価格で1割高く引き取るのね。」
「シナモン、そういうことだよ。」
「それ以外の取引は、今まで通りの割合でOKです。」
「プレミアム価格は、なかなか浸透しないよ。デパートじゃないからね。」
「価格が1割高かったら、買わない人が多くないかにゃ?」
「無理しないほうがいいと思うわね。」
「エリー、あっちのファミプ基準って、厳しいんです。」
「そうなのかにゃ?」
「そこまではしませんけど、買って損したと思わせる商品は弾きます。安定して美味しい野菜だけを農家は収めます。だから手間賃で1割高く払います。」
「それは安心だけど」
「それから、ファミップは欲しい時に、欲しいだけ買えます。」
「どういうことにゃ?」
「毎週2回、買いだめしなくて良いってことです。保存食で保存しなくても大丈夫です。」
「あ、だからストレージのことをドボルジンクに聞いていたのか?」
「ギルマス、そうです。それに、納品場所も隣にありますし。」
「あ、買取もここか。」
「ファミプなら、買いだめしなくても、いつでも買える。新鮮なお肉が毎日食べられる。」
「そう思ったら、高くても買ってくれるかもしれないでしょ?」
「うちは便利なジュリエットがいるけど、半蔵クラスじゃないとマジックバッグも買えないにゃ。」
「コンビニは、毎日寄れるお店。が基本コンセプトなんです。……ですよね社長。」
「りおん、いつでも同じものが買える。も大事だよ。」
「アルノ、そういうものなのか?……だから、あの爺さん、毎日かわいい店員から買ってたのかにゃ?」
「ギルマス、クロちゃんになってるよ。」
「ミニステップ、思い出したからな〜。」
「ファミプはお気に入りじゃなかったの?」
「シナモン、うちから近所のファミプ、猫の行動範囲だと、ちょっと遠いわよ。ライフは頑張ったんだよね。」
「一度だけニャァ〜」
ギルマスはクロちゃんの記憶だと猫語になる。……メモっ!
「そのおじいさんは、店員と喋りたかったんだよ。あの子可愛かったから。」
「あら、リオちゃん、詳しいのね。……あとでそのあたり、家で詳しく聞きたいわね。」
「あさちゃん、冤罪ですよ。」
「あとでゆっくりね。」(怒)
「明日、りおちゃん、無事生存してるかな?」
「「「だめだとおもう。」」」
「「「うんうん」」」 ×全員
はてさて
「で、エリー、ヒルル、みんな買ってくれるかしら?」
「あさ、すでにみんな、買いに来てるからにゃ。おにぎりやお弁当が気に入って、毎日着てる主婦、多いにゃ。」
「イートインが気に入って、毎日居座ってるエルフもここにいるわよ〜。……文句あるかしら?」
「子どもたちも、買い物しなくても、広場で遊んでるわよ。ママたち、お迎えついでに買い物してるわ。」
「約束してなくても、ここにくると友達と会えるのもいいにゃ。」
「こんにちわぁ〜」
「いらっしゃいませぇ〜。」
お店に子ども達とママ友さんたちがやってきた。
「あ、アイもいるにゃ。遠慮して、子ども達とジュース飲んでたにゃ〜」
「聞いてていいのかな?って思いながら……、ジュリエットが私も含めて、結界張ったから……。」
「主婦の一大事ですわよ。省くなんて、かわいそうでできるわけないじゃない?……りおん、そうでしょ。」
「その通りですね〜。」
「金銭の話も終わったから、ちょうどいいにゃ。りおん、みんなに聞いてもいいかにゃ?」
「お願いしたいぐらいです。助かりますよね。……社長。」
「エリー、こっちからお願いするよ。」
「エリー、なんか怖いこと?みんな真剣な顔してる。」
「大丈夫にゃ。お店のこれからの相談してたんにゃ。」
「私は、聞いてて、嬉しいって思ったわよ。うちも家族多いのに、マジクバッグ小さいから。」
「アイもそう思ったにゃ?」
「あのね、いま店長さんや社長さん、ギルマス達で相談してたのは、ファミプで、お肉と野菜とキノコと果物、売ってくれるかもって相談だったんだよ。」
「そうにゃ。」
「しかもね、いつも美味しい野菜やお肉を吟味しておいてくれるんだって。お店のストレージで保存してくれるから、毎日新鮮な食品が少しずつでも買えるんだって。」
「のぞママ、それいいね!」
「いいもんだと、ちょっと高くなる?」
「ちょっとぐらい高くても、新鮮なのが買えるなら、嬉しい!」
「お肉干すと、少し減った気するしね。」(笑)
「少しぐらい高くても毎日通うほうが、面白いわよ。」
「傷んで捨てるものもあるから、1割ぐらいなら、その分がなくなると思えば、大丈夫かも」
「でも、いっぱい高いと嫌よ。」
「あ、1割です。いま、そう相談してましたよね。りおちゃん。」
「うん。手間増やすから農家さんから1割高く買おうって、相談してました。」
「1割ぐらいなら、問題ないわよね。」
「パパの食べる量、減らすわ。」
「悪いけど、大量買いは八百屋に行くしね。」
「それぐらいなら工夫でなんとかなるわよ。」
「いつも買えるお店があるほうが、嬉しいわ。」
「安心して、いつも買えるなら、『少しでも毎日買い物したいのよぉ〜』……よね。」
「あさの標語だね。」(笑)
「なんなのにゃ?」
「結婚した頃、毎日よく買い物行くねって言ったら、あさが怒っていった一言。」
「『少しでも毎日買い物したいのよぉ〜』って怒鳴ったの!」(照)
「それ、いいにゃ!せ〜の」
「「「少しでも毎日買い物したいのよぉ〜」」
声を揃えて、その場の主婦全員、シナモンも義姉さんも、もちろん、あさやエリーも声を合わせて大きく叫んだ!
「男ども、よく心に留めておきなさいよ。私もそう思うわ。『少しでも毎日買い物したいのよぉ〜』」
「アルノ、決まりでええかの?軍配は女性たちの勝利じゃの。」
「はい。りおんの提案、飲みましょう。ギルマス。ご了解いただけますか?」
「こちらとしては、農家の収入も上がり、助かるばかりだな。」
「「よろしく願います。」」
ギルマスと鴉瑠之社長、トップ二人が固く握手をした。
万雷の拍手で口々に、交渉成立を喜んで、交渉は締め括られ……た。
「めでたく、ここに『ギルド・ファミプ食糧品販売協定』が……成立した。」
とカエデがボソリとつぶやき、あゆみが爆笑した……。
昔、『少しでも毎日買い物したいのよぉ〜』とはっきり言われて、諦めた柿野たねです。クロスバイクで毎日走りまくって、その後ですけど、実際骨折したこともある奥様が心配で、ちょっと聞いたら、言われた言葉です。
主婦って、「何も買わなくてもお店に行きたい」って、92歳の義母も語ってます。毎日スーパーまで散歩して、涼みがてら買い物して帰ってきます。
世の亭主たちは、心して、覚えておかねばならない言葉です。




