第101話 肉と野菜、キノコと作家柿野を売り出すには。販売会議が重要です。
『りおちゃぁん。ギルマスが野菜の販売、どうなった?って』
「あ、その話、まだしてない。すぐ相談して、降りるって言っといて。」
「りおんさん、インカムに何も聞こえてないから、今のは念話ですか?初めてみました。どうやればいいんですか?」
「念話の前に、魔力放出トレーニングが先だね。」
「その前に、こっちにしばらく通わないと、魔力がたまってないだろ。」
「「ファイヤーフラワー」」
アルノと柳田が、意趣返しと花火の魔法を頭の上に広げた。小さかった。(笑)
「ファイヤーフラワー」
事務所いっぱいに色とりどりの光が輝き、癒しの花火が広がった。疲れが取れた。
「さすが!……通ってた日数が違うね。」
「柿野タネ先生のWeb小説読んでたので、昨晩、魔力放出の練習してみました。」
「それでできたの?」
「魔力、結構溜まってたみたいです。……カレー食べたあと、実にファイヤーフラワーをこっそり教えてもらいました。カエデちゃん説明、上手ですね。一緒に教えてくれましたよ。」
「あれ?そこまで書いてたっけ?」
「ヒーリングファイヤーフラワーって、詠唱したら綺麗な花火が広がった。で終わってましたよ。そのぐらいにしといてくださいね。」(笑)
「うーん、次話への引きがない。文末、直さなきゃ。」
「リーンスタートアップですね。」(笑)
「アジャイルの基本?」
「さすが、詳しいですね。」
「デザインした本のほとんどがシステム関連だからね。」
「俺だって、それぐらい覚えてる。」
「もしかして、カエデのイタズラが、くやしかったの?」(笑)
「当たりです。」(笑)
「りおんと修一に無視された。」(涙)
「アルノ……」
「はい!」(嬉)
犬かぁ?
「ギルマスが、こっちのファミプで肉と野菜を売って欲しいらしいよ。」
「さっきのじゃがいもやニンジンなんかか?……色々たくさん入ってなかった?」
「あったよ。旬じゃないものが入ってないとしたら、まだあるんじゃない?」
「包装作業をどうするかだな?」
「地産地消商品のコーナー作る?」
「量り売り、とかどうですか?」
「修一くん、冴えてる!」
「あっちだと、オシャレで流行りつつありますよ。」
「こっちだと当たり前かもしれないな。」
「長さとか重さの単位、聞いてませんでしたね。」
「担当者が必要ですよ?」
「時間が被らないだろうから、イートイン担当みたいに、誰かに任せよう。」
「秤は、用意すればいいね。」
「細かなことは、あさたち含めて相談ですね。」
「肉は?」
「小さな生肉用ショーケース、あの冷蔵庫を設置する?」
「すぐできますかね?」
「中身の見えるストレージできないか、聞いてみようか?」
「なんで?」
「中が見えてたら、購買意欲増すでしょ。」
「そりゃそうだが、できますかね?」
「父さん、駄目元で、ドボルジンク様に聞いてみましょう。大丈夫な気がするよ。」
「それから、ストレージって、お願いすると指示通りに切られて出てくるんですよ。」
「それは便利ですね!」
「ファミプ全店で導入決定!」
「「決定権あっても、無理ですから……。」」
「コボルザンクくんが張り切ると思いますよ。」
「ファミプ全店?」
「じゃなくて、中が見える方……。」
「アルノ、販売価格は?」
「仕入れ値の1.5倍、販売価格の13%は本社の取り分ね」
「妥当ですね。りおんさん、それで大丈夫ですか?」
「ことりたちの店舗負担はバイト代同等だから、オーナー厚遇だね。いいのか?」
「この盛況が続けば、足立区の普通店舗よりはるかに稼げてる。ありがたいよ。」
「それどころか、キャンペーン企画まで立ち上げてもらって、ウハウハですよね。」
「誰だよ、人を勝手に神輿にしてるのは。」
「「「さあ?」」」
「修一く〜ん!?」
「また脱線してますね。ギルマス待ってますよ。」
「じゃ、肉も野菜もきのこも売るって方向で。中身の見えるディスプレイができなかったら、どうする?」
「昔、風呂屋で牛乳売ってた、中学生ぐらいの高さの、四方がガラスの冷蔵庫はどうだろ?中古でノスタルジックなのとかありそうじゃない?」
「うちの実家にあるよ。直せば使えるかな?……聞いてみるよ。」
「なんであるの?」
「母がばあちゃんの仕事継いだ時に、森森乳業さんから買った。……孫は牛乳ばあちゃんって、祖母のこと呼んでた。……裏でだよ。」
「浅田家物語だね。」
「母方だけどね〜。」
「運ぶ経費でこっちで買えない?」
「まぁ、検討ということで。」
「そんなとこかな?」
「大丈夫です。」
「ギルドカードの件も、ギルマスに相談しましょう。」
「キャンペーン、やるのか?」
「それは、本社で会議にかけて、各部の了承取らないと……。」
「お店のみんなに渡していいかの相談だよね。」
「さすがりおんさん。」
事務所からバックヤードへの階段を降りながら、まだ雑談が続いていた。
「キャンペーンの方、柿野先生のネームバリューが弱いね。」
「まだ、投稿5日目だもん。107PVぐらいだよ。」
「5話目で107PV、1話21.4PV?」
「新人だったら、いい成績じゃない?」
「1話38PV、2話22PV、3話20PV、4話13PV、5話14PVと下がってるよ。」
「りおんさん、これ、悪くないよ。離脱率約40%だから、かなり好成績だよ。」
「カエデちゃんに漫画、描かせましょう。」
「天童にイラストも!」
「実弾がある方がいいね。」
「趣味で描きたいだけなんだけどぉ〜」
「勝手に投稿した人が悪い。」
「本社で了承取れたら、柿野先生支援プロジェクトも同時に発動します。」
アルノと柳田さんまでやる気になってる。やばい!
はてさて
「りおちゃん、元気ないね。」
「あさちゃぁ〜ん。」
「よしよし。なにがあったの?」
「修一くんが、柿野タネ応援プロジェクトするっていじめて来る!」
「それ、いじめてないんじゃない?」
「趣味で書きたいだけなのに。ファミプ上げて応援するって。」
「「「えええぇ」」」
「りおちゃん、なんなのそれ!」
「ミノタウルスやコカトリスを売り出すためらしい。商売に利用される」
「修一さん、本当のところは?」
「りおんさんが勝手に投稿してたので、それに乗じて、もしこちらの情報が外に流れても作家、柿野タネの作品だとしてしまおうという作戦です。」
「あら、それじゃ、自業自得ね。自分で考えた作戦を後方支援してもらえてるわけね。泣き真似やめて、仕事よ。」
「はぁ、疲れたから、癒しがほしいよぉ」
「りおん、肉売れそうか?野菜は……?」
「あ、ブラックウルフの皆さんは……?」
「男は疲れたのか横になりたそうな顔してたから、眠そうな子供と一緒に、半蔵にギルド宿舎に送らせた。元気なママたちと子供は残ってる。他には、いつものメンバーと店の方に冒険者が数人だ。」
「シナモン、研究室の3人は?」
「りおんちゃん、ミナの案内で、寮の下見に行ってる。呼ぶ?」
「大丈夫、ことりと実と福くんがいれば、知恵は出るだろう。」
「ジュリエット、遮音結界頼む。」
「ガッチリしたのがいい?ソフトなの?」
「話をしてるんだなって気になるぐらいで、伝わらないように。」
「じゃ、そんな感じね。」
ジュリエットの結界の中で、野菜販売の交渉が始まった。
「ギルマス。結論から言うと、売り出せます。ただし、細かなところは色々相談があります。まず、ドボルジンク様と、コボルザンクくんに相談です。」
「お店のドリンクを売ってる、ガラスの商品棚ご存知ですよね。」
「おぉ、あの飲み物を冷やしとるやつじゃの。」
「はい、あれと同じ様に外から見えるストレージって、できますか?」
「ストレージは箱や袋に魔法陣を加えて作るのぉ。同じようなものを用意すれば、希望の魔法陣を書き加えるのぉ。」
「ありがとうございます。ところで、あのような透明なガラスの箱はありますか?」
「あれほど丈夫なガラスはないのぉ。」
「では、ショーケースはこちらで用意します。」
「ストレージの魔法陣は、いかほどお支払いすれば……?」
「販売を担ってくれるのじゃで、料金はサービスじゃのぉ。」
「ありがとうございます。」
「アルノ、お肉を入れるショーケース。冷蔵機能なし。本社で手配お願いできる?」
「冷蔵機能ありで、電源切って使った方が、既製品が使える。」
「りおんの実家の牛乳冷蔵ショーケース。風呂屋と同じのやつ、壊れてても、それでいいんじゃないか?」
「あ、冷蔵機能いらないからね。兄に聞いてみるよ。ダメならシナモン、探してね。」
「わかったわ、って、銭湯にあるやつでいいのよね?」
「そうそう!」
「お野菜は、八百屋みたいな露台を作って、商品の山から買いたい分をザルにとって、レジで購入してもらいます。」
「りおん、その露台もストレージにしての、減った商品を補充し続けることもできるのぉ。」
「それ、いいですね。お願いしてもいいですか?」
「もちろん、それもこちら持ち、サービスで良いからのぉ。他にもつけるか?」
「つけてもらいたいものはありますが、次回の相談に。」(笑)
「その時は、しっかり料金をもらうかのぉ」(悪)
「お手柔らかに……。」
「重さの単位は100gとか伝わってます?同じような重さなんですかね?」
「重さや長さの単位は違っとるようじゃが、翻訳魔法が計算してそれぞれに伝えてくれておるのぉ。」
「では、こちらは100g単位の価格を表記してても、問題ないですね。」
「大丈夫じゃろうの」
「では、野菜やお肉は重さに応じて、金額をお支払いいただく、量り売りとします。」
「ギルマス、卸値はおいくらですか?」
「アルノ、販売価格だな。バランスが難しいな……。」
大事な価格交渉が始まった。
足立区では米騒動が落ち着いて、販売価格も以前ほどではないですが、お得感が出てきましたよね。……ご存じの、うちの近所5㎏2,000円台前半も出てきました。鴉瑠之もギルマスも経営者として時代劇の米問屋みたいなことはしたくない様です。……頑張れ!
柿野タネは物語の1日を1話で書いてるらしい。同業者としては、とっても羨ましい限りです。柿野たねには無理難題ですね(汗)。これからも、ゆっくりのんびり、濃密な時間をお届けします。
足立区側の冒険者の皆さま、101話からも是非是非よろしくお願いします。
多分ですけどね、お店の形式が整ってきたら、少しは時の経過が進むんではないかと。
執筆者の願いです……。(汗)




