002・特産品
ツレルクがドラゴンの縄張りとなって一月が経過した。一連の騒動はあっという間にポラン王国にも伝わり、カルモンドの元に詳細を尋ねる使者が何人も押し寄せてきていた。使者はドラゴンの姿を見るたびにぎょっとしてカルモンドに詳細を訪ねてくる。
ドラゴンは縄張り宣言した夜のうちに郊外に大きな城を建設した。城と言ってもドラゴンの巨体を入れる為に内部は広く作られており、人間からすればがらんどうとしたように見える。ちなみに、それらはドラゴンの魔法によって作られており、材料は異世界で手に入れたという未知の鉱物だった。また、内部には様々な装飾品が飾られており、一つでも売れば国宝に指定されそうな程の豪華な物ばかりだった。カルモンドはそれらを見た時にあまりの高価さに触りたくないとさえ思ってしまったほどである。
ツレルクの混乱は今では収まり、日常が戻りつつある。とはいえドラゴンを恐れて住民たちは半数が去ってしまっており、かつての活気は半減してしまっている。残っている者達もまるで悪魔に支配されたかのように暗い顔をしている。正直に言えば悪魔なんかよりも恐ろしい存在に支配されているので間違いではないのだが。
「カルモンドと言ったな。貴様は我が縄張りの総責任者に任命する。我が縄張りに住む人間たちを円滑に支配せよ」
そしてカルモンドは名前と顔を覚えられて宰相のような地位に就任させられていた。やっている事は都市長の時と変わらないが責任は遥かに増している。都市中の胃薬を買い込みその半数を使い切るくらいには辛いと感じている。
因みに、彼が属していたポラン王国は今のところは何も言ってきていない。ドラゴンによる一方的な建国と縄張り宣言と非常識なことだらけだがそれ故にどう判断すればいいのか分からないのだろう。自分だって信じられないし判断何て無理だろうと思っている。出来れば当事者にはなりたくなかったとカルモンドは政務室で何度目とも知れないため息をつく。
ドラゴンは細かい事には興味がないようで全ての責務を押し付けてきた。更に住民が減った事で税も減っており食料などの物流も商人が逃げ出したことで完全にストップしている。早番この都市は機能不全に陥るだろう。それでも未だ都市として体裁を保てているのはカルモンドの手腕によるものだった。こんな時に発揮したくはなかったとカルモンドは泣いた。
「せめて商人を呼び込まないと……」
金を積めば商人も来てくれるかもしれないがその数は少ないだろう。誰だってドラゴンという明確に危険な生物の近くに、ましてや縄張りと宣言している都市に行きたいとは思わないだろう。何かしらそんな命の危険よりも魅力的なものを見せなければならない。
「ドラゴン様に相談するか……」
精霊すら支配出来、異世界にもいく事が出来るドラゴンならば特産品となれるような物を持っていた李アイデアをくれたりするかもしれない。というか縄張り宣言するのならばそれくらいはしてほしいと痛む胃を抑えながらドラゴンの元へとカルモンドは向かうがそんな彼に対してドラゴンは拍子抜けする程簡単に解決策を提示してきた。
「我の鱗や爪を売り出せばいいだろう。我がアイテムボックス内に都市を埋め尽くさんばかりにストックを用意してある。少しずつ売れば特産品となろう」
「良いんですか?」
「我にとっては抜け毛と大して変わらん。好きにするが良い。それとも我がとある異世界を滅ぼした際にかっぱらってきた総量10トン声の金塊でも」
「それは止めてください。金が値崩れ起こします」
こうしてツレルクは新たな特産品を得る事となり、それを目当てに商人が舞い戻ってくるようになり、都市は半年のうちに元の活気を取り戻すどころかそれ以上の賑わいを見せるようになった。ちなみに、そんな特産品はカルモンドが管理することとなり、ドラゴンすら超える体積の量に全部出した時の値崩れを考えて更に胃を痛める事となる。
ドラゴン様
名前はない。そのうち作るかも
世界最強のドラゴンの一匹であり、本人もそれに相応しいスペックを持っている。様々な異世界を旅しており、中には滅ぼして資源だけ奪い取ったところもある(というか大半のドラゴンにとって当たり前の行動)。人間の国づくりに興味を持ってツレルクを強襲して奪い取って縄張りとした。政治外交軍事等国家に必要な事は分からないし覚えるきがないのでカルモンドに丸投げしている。取り合えず自分の国があり、崇められればそれでよしと考えている。
カルモンド
ツレルクの都市長で趙優秀な人。タイミングが悪くてドラゴンの縄張りを管理する宰相にされてしまう。ドラゴンの縄張りで二番目に偉く一番胃痛に悩まされている人。35歳のちょっとしたイケオジ。妻と娘がいる。
ドラゴンが興味ないので政治外交軍事の全ての権限を丸投げされており胃痛に悩まされながら全てをこなしている。丸投げされた専門外仕事を120%の成果を出してしまえる人。
ツレルクで育ちツレルクを反映させるのが夢だった。結果ツレルクはドラゴンの縄張りになってドラゴンの鱗や爪や角を特産品とする都市になった。




