042・白樺さん、アネゴに甘える保育園児です!
放課後になりました!
ボクは露璃さん、ナナさん、翔子さんと一緒に校門を出ました。
「露璃さん、箒木さんと米津さんは何と言ってましたか?」
「2人とも大丈夫って言ってくれたよ。来週からのテスト期間に入ったら、お勉強会に来てくれるって」
「わぁい! ナナさんのお友達の台田さんと城田さんと濵田さんはどうでしたか?」
「全員オッケー。3人とも成績ヤバいから助かるー、だってさ」
「あたしと同じ陸上部の小栗っちと特曜っちも、絶対参加するって言ってたよ! あと、同じクラスの酒巻っちも、参加させてほしいって!」
「A組の酒巻さんというのは、バスケ部の副キャプテンをしてて背が高い酒巻さんですね! もちろん良いですよ! 皆で楽しくお勉強しましょう!」
「ユメヒコ、アンタその子とも仲良いの?」
「去年は同じクラスでしたから!」
それに、それを言うなら、ボクは他の皆さんとも仲良しですよ!
「だって、同じ学校に通ってますからね。毎日同じところに集まって顔を合わせてお喋りしたりするなら、それはもう仲良しだってことですよ」
「そうかなぁ……?」
「そうですよ!」
「ユメヒコ、当たり判定が広すぎる」
さて、そんなことを話しながらてくてく歩き、途中のコンビニでアイス(ボクはチョコミントです)とジュース(ボクはドカペです)を買ったボクらは、
「ただいま!」
ボクの自宅兼ユメヒコ組の事務所である306号室に帰ってきました。
「お邪魔します」
「昨日ぶりだね。……ん? 知らない靴が2つ……?」
「玄関も広いよねー!」
リビングに入ると、大きなテレビにゲーム機を繋いで、神格ゲーであるキン鉄′15をプレイしている2人の女性が。
「斎藤さん! 深森さん!」
金髪空手家ヤンキーの斎藤さんと、ボサボサ黒髪ゲーマーの深森さんが、お互いの持ちキャラを使って本気で戦っていました。
「ぐっ、このっ……! ユメヒコ! あと20秒だけ待ってくれ! 今日こそコイツをボコす……!!」
「お、お、斎藤、腕上げたじゃん……! そこだ! 弱キック!」
あ、あれは10割コンボの始点によく使われる卑劣なローキックです!
そのままひたすらテンポ良くキックを繰り返すだけで、相手のHPがゼロになるのです!
「あっ!? テメー! そのセコいローキックマジでふざけんなよ!?」
「勝てば官軍だろーがよー! よいしょっ、よいしょっ、これで、トドメ!」
斎藤さんの操るキャラが、高々と吹き飛ばされました。
そして画面に大きくKOの文字が。
「だぁー! また負けた! 今度こそ潰してやろうと思ったのに!」
「はっはっはっはー! 斎藤もまだまだだなぁ! あ、ユメヒコくん。どうだった、僕の華麗なレバーさ、ば、き……?」
テレビから振り返った深森さん。
パチパチと拍手するボクの後ろにいる露璃さんたちを見て、キョトンとした顔になりました。
「えっと……。こんにちは、斎藤さん、深森さん」
「この2人が、ユメヒコが言ってた頼れる大人たち? ホントに……??」
「そっちの金髪のお姉さん! 良い筋肉してるね! あとであたしと腕相撲しない!?」
そして、何かに気づいたようにハッとしました。
「えっ!? あっ、今日は新しい子たちも来るって話!?」
「だから、全員集合だって言っただろーが。人の話はちゃんと聞いとけよ」
「いや、ほぼ完徹で遊び続けてようやく寝始めた朝5時に来られても、まともに頭動いてないって……」
「おっす、善野。元気そうだな。そんでそっちは……、金髪のほうが金村で、茶髪のほうが朝倉か?」
「……金村。よろしく」
「あたし朝倉翔子! ねぇねぇ、お姉さんが斎藤っち? 何やってる人なの? ボクシング?」
「ボクシングと、空手だ。……そういうお前は陸上部なんだっけ? 確かに、身体が軽そうだ」
斎藤さんと翔子さんが握手をすると、翔子さんがウキウキと楽しそうに「よろしくね!」と言いました。
「……えっと。金村ちゃん、で良いんだよね?」
「は?」
「えっ!? ま、間違ってた……!?」
「……あー、ごめん。ちゃん付けなんて久しぶりだったから。フカモリさん、で良いんだっけ。よろしく」
「ひえぇ……。ツンツン系かと思ったら、意外とフレンドリーだ……」
深森さんとナナさんも握手しました。
「じゃあ、ボクたちも握手しましょうか!」
「ふふふ、そうだね」
最後にボクと露璃さんが握手をしてから、ボクたちはダイニングテーブルの椅子にそれぞれ座ります。
「あらためて! この6人が、ユメヒコ組ですよ!」
ボクは、おさらいの意味も込めてウィンドウを開き、全員のステータスなどを開きました。
・歌方 夢彦 15歳
職業:指揮官・レベル2
資質↓
知力:5
心力:35
技力:15
速力:35
筋力:10
体力:30
指揮官適正:95
幸運度:64(+9)
特性↓
・メニュー機能
・IQ53億
ダンジョンステータス↓
HP:80/80
MP:90/90
攻撃力:5
防御力:40
魔法力:3
抵抗力:35
素早さ:75
スキル↓
・びしっと指揮する
・スライディング
・ジャンプ
・くるっとターン
・高速ブリッジ
・斎藤 金衣鳥 21歳
職業:拳闘士・レベル18
資質↓
知力:18
心力:19
技力:27
速力:37
筋力:45
体力:43
指揮官適正:20
幸運度:25
特性↓
・姐御肌
・頑丈
ダンジョンステータス↓
HP:256/256
MP:82/82
攻撃力:152
防御力:138
魔法力:19
抵抗力:53
素早さ:81
スキル↓
・かばう
・右ストレート
・スタンアッパー
・クロスフック
・マシンガンジャブ
・深森 初月 22歳
職業:睨めつく観測者・レベル17
資質↓
知力:43
心力:26
技力:36
速力:15
筋力:9
体力:9
指揮官適正:41
幸運度:22
特性↓
・脊髄反射
・集中力
ダンジョンステータス↓
HP:68/68
MP:202/202
攻撃力:30
防御力:38
魔法力:106
抵抗力:52
素早さ:48
スキル↓
・じっと集中する
・弱点看破
・眼力
・マップ探査
・動体視力
・鷹の目
・先読み
・善野 露璃 15歳
職業:水の踊り子・レベル16
資質↓
知力:38
心力:40
技力:41
速力:22
筋力:10
体力:21
指揮官適正:29
幸運度:25
特性↓
・嗅覚鋭敏
・論理思考
ダンジョンステータス↓
HP:94/94
MP:215/215
攻撃力:30
防御力:54
魔法力:154
抵抗力:76
素早さ:58
スキル↓
・臭気記憶
・液体操作
・液温変化
・水圧強化
・高速操作
・金村 七奈 15歳
職業:輝きの巫女・レベル15
資質↓
知力:40
心力:28
技力:24
速力:30
筋力:31
体力:41
指揮官適正:14
幸運度:11
特性↓
・好奇心
・存在感
ダンジョンステータス↓
HP:134/134
MP:198/198
攻撃力:82
防御力:75
魔法力:146
抵抗力:98
素早さ:69
スキル↓
・映えるっしょ?
・子稲荷使役
・請願御神籤
・稲荷様探知
・御神籤確保
・朝倉 翔子 15歳
職業:幻惑の足崩床士・レベル15
資質↓
知力:16
心力:21
技力:28
速力:48
筋力:36
体力:43
指揮官適正:12
幸運度:27
特性↓
・天性のバネ
・大喰い
ダンジョンステータス↓
HP:156/156
MP:84/84
攻撃力:89
防御力:67
魔法力:38
抵抗力:58
素早さ:136
スキル↓
・よーい、ドン!
・ぼよよ〜んとさせる
・連続加速
・方向転換
・分身する
まず、皆さん。
以前と比べると少しずつジョブレベルが上がって、ダンジョンステータスがしっかり伸びています。
それに、新しいスキルを覚えている方もいますね。
「これでまた、次のダンジョン探索がやりやすくなりますね〜」
「……というか、ユメヒコ。こうしてあらためてお前のステータス見てると、あきらかにおかしくないか?」
すると、斎藤さんがそんなことを言いました。
何がおかしいのでしょう?
「お前はジョブレベルの上がり方が普通とは違うみたいだから、ダンジョンステータスが上がってないのはまだ分かる。変なスキルが増えてるのも、ガチャで引いた奴を覚えたんだろうな、というのも分かる」
「でも、こっちの資質値っていう数字は、明らかにおかしくない? ユメヒコくん、指揮官適正ってやつが高すぎないか?」
深森さんにそう言われて皆さんのと見比べてみると、資質値と書かれた項目のほうは、ボクの指揮官適正と幸運以外は、多くても50以下の数字しかありませんね。
それに比べてボクの指揮官適正は、95あります。
つまり、2倍はすごいということなのでしょう。
「いや、ユメヒコ君。この数値を元にしてダンジョンステータスが決まるみたいなんだけど、それで考えたら、40台後半でも充分すごい数字みたいなんだよね。それが、50を飛び越えて95っていうのは……」
「てゆーかユメヒコ、幸運も64あってめちゃ高いじゃん。アタシなんて11しかないんだけど!」
「ユメっちって、知力が5しかないんだね! 勝った!」
ふーむ……?
「つまり……、ボクのジョブの指揮官は、ボクにピッタリということですね!」
【まぁ、ダンストの主人公は指揮官だしな】
【ある意味正しい】
「それより皆さん。せっかく買ってきたアイスが溶けちゃいますよ!」
「お、そうなのか。俺はジャリジャリ君ソーダ味な」
「カップのバニラある?」
「私、アイスの種」
「雪だるま大福一択でしょ」
「クールッス!!」
そしてボクはチョコミントです。
うーん、美味しい♡
「そんで、今日のダンジョンはどうするよ」
「うーん。白樺ちゃんたち次第だけど、できれば今まで行ったことないところが良いでしょ。そうすれば、クリアした時にユメヒコくんのガチャチケットが増えるって話だし」
あ、白樺さんといえば。
ボクは、所持品コマンドをタップして、昨日のガチャで引いた勧誘チケットを2枚取り出します。
「白樺さんと、黒杉さんっていう人の勧誘チケットが当たったんですよ。ほら」
「なに? アイツを勧誘? ……つーか白樺、チケット銅色なんだな」
「こっちの黒杉ってのは、全然知らない人だね。こっちもチケットは銅色だ」
「白樺さんって、すでに仲間になってますけど、このチケットを破ったらどういう扱いになるんでしょうね?」
「そんなもん、破ってみねーと分かんねーだろ」
ですよね。
じゃあ、破ってみます。
「ビリっとな!」
「あ、ユメヒコくん、また2枚いっぺんに……」
すると、インターホンがピンポーンと押されました。
玄関を開けにいくと、そこには今まさにチケットを破ったばかりの祈祷師ギャル姉さん、白樺さんが立っていました。
「やっほ、ユメヒコ君。お久しぶりっスね」
白樺さんは、いつも被っている白いベレー帽をくいっと直すと、
「アネゴたち、もう来てるっスか?」
なんだか、恋する乙女のような表情で、そう言ったのでした。
▶︎▶︎▶︎
「いーーやーーだーー!!? イヤっス!! ウチは絶対、アネゴと離れないっスーーー!!!」
5分後。
先ほどまで恋する乙女のような表情を浮かべていた白樺さんは、おやつを取り上げられた保育園児のように泣きじゃくりながら深森さんのお腹に顔を埋めています。
「だからよー、最初から言ってただろ。深森はあくまでも臨時リーダーだって」
「白樺ちゃん、その、僕のことを慕ってくれるのは嬉しいけど、僕もそろそろユメヒコくんたちと潜るようにしないとだから……」
「うわーーーん!!!」
ギャン泣きですね!
深森さん、とっても慕われていますね〜♡
「白樺さん、前に見たときはもう少しふわふわしてる人だったのに……」
「マジ? 激重湿度でぺしょぺしょになってんじゃん」
「濡れてるの!? ドライヤーとか使う?」
困ったようなお顔で、深森さんが白樺さんの頭をヨシヨシします。
「白樺ちゃん。僕は君に、リーダーとしてどう動くべきかってことを、この数日で色々教えてきたでしょ。あとはそれを、自分の力で実践していかないとだよ」
「でもでもでも〜〜、ウチは、もっとアネゴと一緒に潜りたいっス〜〜……」
「そりゃあ、深森は司令塔として優秀だけどよ。今後は白樺がそれをやっていかないとダメだろ。じゃないと、せっかく教えた深森の顔に泥を塗ることになるんだぞ」
「おい斎藤、そんな言い方……」
「事実だろ。甘えてんのは白樺のほうだ」
「ううぅ〜〜……」
白樺さん、深森さんと離れるのが寂しくて、それにまだ深森さんの分までリーダーをするのに、自信がないみたいですね。
「それなら、赤松さんたちも来たら、皆で統括局に行きましょうか!」
「統括局に? なんでだ?」
「実はボク、この数日で知り合いのパーティーが増えまして! あそこに行けば、白樺さんの助けになってくれる人がいるかもしれません!」
「……まぁ、探索者が集まる場所といえば、ダンジョンか統括局だもんなぁ」
「あとは、探索者通りもあるけど、俺たち装備品を買ったりしないから、行かないもんな」
てなわけで、赤松さんたちも来てから事情を説明し、皆で統括局に行ってみたところ、
「おう分かったよ! こんなパーティー、こっちから辞めてやるよ!!」
黒髪ドレッドヘアの女性が、コーラのペットボトルを床に投げつけながら、他の女性たちと大ケンカをしていたのでした。
わーお!




