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034・陸上部のスプリンター、運命の仲間入りです!


 朝倉さんの右足の甲を見せてもらうと、線が内側に寄った四角形の四隅の先に、小さい丸がついた形の紋章がありました。


 これは、間違いありませんね。


【おー、このジョブね】


【これはなかなか、当たりのほう】


「これは、ダンジョンジョブの紋章ですね!」


「やっぱり!? そうじゃないかと思ってたんだよねー!」


 うわーっ、と頭を抱える朝倉さん。


 露璃さんとナナさんも、マジマジと紋章を見つめます。


「今朝見たら、いきなりできてたの?」


「これ、どんなジョブの紋章なんだろーね?」


「朝起きて着替えて靴下履こうと思ったら浮かび上がってるのに気づいてさー! 昨日寝る時にはなかったからビックリしちゃって! それで、ユメっちなら分かるかもって思って聞こうと待ってたんだー!」


 なるほど!


「というか、それこそユメっち、昨日あたしに、紋章がないか聞いてきてたよね! もしかして、こうなることが分かってたの!?」


「そのうち紋章が出てくる、とは思ってました! だって朝倉さんも、ボクたちの(勧誘)仲間になる(チケット)運命の人な(を引いた)ので!」


「そうなの!?」


 はい!


「ああ、そうか、先日のチケットで……」


「はっ? 運命? というか、チケットって、何……?」


「えっとね……」


 露璃さんが、訝しむナナさんに勧誘チケットについて説明してくれました。


「なるほど……。それで、運命……」


「うん、そうみたい」


「てことはユメヒコ。今後もあのガチャの結果次第では、どんどん仲間が増えるってこと?」


「たぶん、そうかな……」


「……アタシたちも負けてらんないね、ツユリ」


 ガチャでたくさんの人に出会えたら、嬉しいですよね〜♡


「ところでユメっち。この紋章が出たら、しとかないといけないことってあるの?」


「分かりません! なので、先生に相談してみましょう!」


 ということでボクたちは、校舎に入って職員室に向かいます。


「おはようございます! 忍野先生はいませんか!」


 ボクが大きな声で挨拶をすると、コーヒーの紙コップ片手に自分の席に座ろうとしていた担任の忍野先生と目が合いました。


「忍野先生! おはようございます!」


「ユメヒコか。それと……、なんだか、不思議な組み合わせだなー、お前たち」


「少し教えてほしいことがありまして! お時間よろしいですか?」


「まぁ、良いが。なんだ、今度の期末試験のことか?」


「いえ、ダンジョンジョブの紋章のことなのですが」


「……んん? ……あー、露璃、お願いできるか?」


「はい。忍野先生、実はですね……」


 露璃さんが忍野先生に、ボクたちのダンジョン探索のことや朝倉さんの紋章のことを説明してくれました。


「ほーん、なるほどな……。翔子もそうだが、ユメヒコもいつの間にか紋章が発現してたのか」


「しのちゃん先生! あたしこれ、部活とかどうなっちゃうの!?」


「あー……。心配するな。紋章が出たからといって、部活動に直ちに大きな影響はない」


「ほんと!?」


 忍野先生は、コーヒーをズズッとすすります。


「そもそもー、紋章の発現率は全人類の3割程度だ。そしてそれは、肉体的、精神的に強い者ほど発現しやすい傾向にあると言われている」


「そうなんですね!」


「だから、全国レベルのアスリートとかは自然に発現することが多いしー、紋章が出たからといって競技の場から弾いてたら、優秀なやつほど弾かれてしまうことになるんだよ」


「なるほど……?」


「翔子はー、紋章が発現したことはご両親に言ってあるか?」


「あ、言ってない!!」


「じゃあー、私のほうから伝えておく。陸上部の顧問の犬走先生にもな。もし、ジョブの内容が気になるなら統括局に行けばいいがー……、興味がないなら、別に調べる必要もないだろう」


「分かった! ありがとね、しのちゃん先生!!」


 すると朝倉さんは「よし、とりあえず朝練に戻るね!!」と言って職員室を飛び出していきました。


「……はぁ。仕方ない。私もグラウンドに行って、犬走先生に伝えておくか」


 そう言うと、忍野先生は体育用のスニーカーに履き替えて立ち上がりました。


「お前たちはー……、まぁ、試験に向けて勉強でもしておけ。露璃はともかく、七奈は国語が苦手だろう? ユメヒコはー、……選択式の部分以外でも点を取れるように、頑張れ」


「はい! ありがとうございました!!」


 ということでボクたちは、それぞれの教室に向かったのでした。




 ▶︎▶︎▶︎


「ユメっちー!!」


 放課後。

 いつもなら真っ直ぐ部活に行くはずの朝倉さんが、なぜかボクたちのクラスにやってきました。


「なんか、いぬちゃん先生がね! ジョブの内容ぐらい確認してこいって言うから、この後『とーかつきょく』ってところに行くんだけど、ユメっちたちもついてきてくれたら助かるんだけど!!」


「良いですよ!」


「ありがとうユメっち!!」


 ということで、隣にいた露璃さんと朝倉さんを連れて隣のクラスに行き、ギャルの子たちとお喋りしていたナナさんに声をかけます。


「ナナさん!」


「あ、ユメヒコ。……なんか、だいたい読めた気がする」


「皆で統括局に行きましょう!」


「やっぱり。良いよ、行こっか」


「あれー、ナナナン。ユメぽんと急に仲良しなのか〜?」


 いつも一際元気があって将来はDJになりたいと言っているギャルの台田さんが、ナナさんの頬をツンツンとつつきました。


「まぁ、そんなとこ」


「お! 照れもせずに肯定しちゃうじゃ〜ん! フゥーッ! アガッてくるね!」


「ボクとナナさんは、マブなんですよ!」


「やるじゃんユメぽん! これからもナナナンをよろしくな〜!」


「アンタはアタシの何なのよ」


 やれやれ、という感じでナナさんが肩をすくめました。


 そしてボクたちは、ギャルの皆さんと別れて学校を出て、統括局を目指します。


「いぬちゃん先生に聞いたらね、ジョブのレベルによる補正? ってのは、大会とかでも認められるんだって!」


「そうなんですね!」


「そのかわり、スキルを使ったり、ダンジョン装備を使うのは、ダメなんだって〜」


「なるほど〜」


 そして皆でてくてく歩いていると、朝倉さんが、


「そういえばユメっちってさー。ツユっちとナナっちのこと、名前で呼ぶんだねー」


 と言いました。


「はい! お二人とも、仲間なので!」


「じゃあ、あたしも仲間なんだったら、名前で呼んでよ!」


「良いですよ! これからは、翔子さんって呼びますね!」


「いぇ〜い!」


「いぇいいぇーい!」


 朝倉さんあらため翔子さんと、ボクはハイタッチをしました。

 パチン、と良い音が鳴りました。


「ね、ツユリ。アタシたちも、負けてらんないでしょ」


「う、うん……!」


 そして、今日も斎藤さんたちに電話をしてみたのですが、


「深森は今日もアネゴしてるぞ。つーかアイツら、毎日毎日深森に頼ってないで、自分たちで頑張れるようになりゃあいいのに」


 と、斎藤さんは呆れ気味です。


「それなら仕方がありませんね。あ、こちらは昨日と今日で仲間が2人増えましたよ!」


「はっ?? ……あー? もしかして、あのチケットの2人か?」


「はい! ナナさんと翔子さんです!」


「ふーん……。まぁ、どうせ止めても聞かないだろうけど、あんまり危ないダンジョンには入るなよ? 露璃に、モグールのアプリできちんとランクを確認してもらってから潜れ。いいな?」


「はい!」


 そんなわけで、ひとまず統括局に着きました。

 登録窓口に行って、翔子さんが必要書類を書いていきます。


 そしてレジのピッてするやつみたいな機械で翔子さんの紋章を読み取ると、登録が完了となりました。


 ボクはさっそく編成コマンドを開いて、明るい茶髪をポニテにした女の子のアイコン、つまり翔子さんのアイコンをタップして、露璃さん、ナナさんとともに編成すると、


『UR:水竜舞姫・善野 露璃、UR:純心輝光・金村 七奈、UR:乱反射する弾丸・朝倉(あさくら) 翔子(しょうこ)を編成しました』


 という表示が出ました。

 そして、翔子さんのアイコンを長押ししてみると、




・朝倉 翔子 15歳

職業:幻惑の足崩床士・レベル1


資質↓

知力:16

心力:21

技力:28

速力:48

筋力:36

体力:43

指揮官適正:12

幸運度:27


特性↓

天性(てんせい)のバネ

大喰(おおぐ)




 翔子さんの資質と、ジョブ名が分かりました!


 ……しかし。


「このジョブ、なんて読むんですかね?」


「えー……?」


「さぁ……?」


「あし……、くずし……?」


「えっと、……ちなみに、スキルは?」




スキル↓

・よーい、ドン!

・ぼよよ〜んとさせる




 ……えーっと?


 どういう、スキルなんでしょうか??


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