022・コロコロぴょんぴょん全裸ガチャです!
「ええっ!? ユメヒコ君、また脱ぐの……!?」
「脱ぎます!」
だって今からガチャを回すのですから!
ボクは、今着ている巫女服の袖を外してノースリーブ巫女になり、続いて袴の紐をぐしゃしゃっと解いて脱ぎました。
さらに着物もにゅるんと脱ぎ捨て、足袋だけ装備の半裸マンになります。
「ある意味紳士の姿じゃん……」
【靴下装備の全裸待機は、変態紳士の嗜みだよな】
「いや、こんな紳士いてたまるかよ」
「ていっ!」
ボクは足袋もぽぽいっと脱ぎ捨てるも、いつもの格好になりました。
うーん、解放感♡
広い家で脱ぐのは、今までとは違った良さがありますね♡
「今回は、10連ガチャチケットが2枚あるので、20連できちゃいますよ!」
ウィンドウを開いて、ガチャコマンドをタップ!
そして10連のボタンに狙いを定めー……、
「いきますよー、ポチっとな!」
どぅるるるるるるるるるるん♫
という楽しいメロディが流れます。
善野さんは顔真っ赤でソファに座り込んでいますが、斎藤さんと深森さんは興味津々の様子でガチャ画面を見に来ました。
ウィンドウ上に、次々とカプセルが表示されます!
ポコンッ、銅!
ポコンッ、銅!
ポンッ、緑!
ポンッ、緑!
バシュンッ、銀!
ポコンッ、銅!
ポンッ、緑!
ポンッ、緑!
ポコンッ、銅!
……バシュンッ、銀!
……むむむむむっ。
今回は、金カプセルがありませんでした。
低レアのものから順番にタップしていくと、
緑カプセルからは、
『消費:マナポーション(低)』
『消費:ソウル(小)』
『装備:皮の胸当て』
『装備:イボ付き軍手』
銅カプセルからは、
『職業:狩人』
『職業:剣士』
『衣装:農家のオーバーオール』
『衣装:タイトスカートスーツ』
銀カプセルからは、
『消費:ソウル(大)』
『装備:耕しスコップ』
が、出てきました。
「なんか、まぁまぁの結果、って感じか?」
「可もなく不可もなく、だなぁ」
「むむむむむ……!」
全裸になって、金が出ないなんて……!
悔しいです!!
よーし、次の10連こそは……!
【待て、ユメヒコォォ……!!】
はっ!
ボクは、指をピタリと止めます。
【……転がれぃ!!】
分かりました!!
「ガチャを回す前にボク自身を回すのですね!」
「はっ?」
「えっ?」
ボクは、広いリビングの端まで行って壁に背をつけると、そこからコロコロとでんぐり返りを始めました。
「よっ、ほっ、うんしょっ!」
反対の壁までコロコロ。
元の壁までコロコロ。
それを何度か繰り返します。
【ユメヒコォォ、跳べ!!】
はい!!
ボクはリビングの真ん中に戻ると、その場でぴょんぴょんと飛び跳ねました。
運気上がれ、運気上がれ……!
次こそ金を引けますように……!
そのまましばらく、一心不乱に飛び跳ねます。
「なにやってんだ、ユメヒコ……」
「なんか、どっかの奇祭の奉納演舞みたいだよな」
「こんな奇祭、あってたまるか」
チラリと見ると、ソファに座った善野さんが、両手で目を隠したまま「あわわわわ……!」と言っています。
「ユメヒコ君の……、ユメヒコ君が……!! ぴょ、ぴょんぴょん、ぴょんぴょんしてる……!!?」
けど、両手とも指の隙間が空いてるので普通に見えていますね。
ボクが飛び跳ねながら手を振ると、ものすごい勢いで顔を下げてしまいました。
【良いぞ、ユメヒコッ!!】
はいっ!
【ガチャ最高♡ ガチャ最高〜♡】
引きます!
シュタッと着地したボクは、そのまま10連ボタンに狙いを定めました。
「カモンゴールデン! ポチッとな!」
どぅるるるるるるるるるるん♫
という楽しいメロディのあと、ウィンドウ上に次々とカプセルが表示されます。
ポコンッ、銅!
ポコンッ、銅!
ゴロゴロドンッ、金!!
バシュンッ、銀!
ポコンッ、銅!
バシュンッ、銀!
ポンッ、緑!
バシュンッ、銀!
ポンッ、緑!
ときて、最後の一つは、
ゴロゴロ、……ドンッ!!
という雷のエフェクトとともに、キラキラと金色に光るカプセルがぴょいんと現れました。
「やったぁ! 金カプセルです! しかも2個!!」
これほど嬉しいことがあるでしょうか。
ボクのテンションは最高潮です!
「おおっ、金2個あるじゃねーか! やったな!」
「あの動き、乱数調整のためってことぉ……?」
とりあえずボクは、飛び跳ねて汗だくになった体を善野さんが渡してくれたタオルで拭き、元の服を着直しました。
そしてカプセル開封です。
低レアのものから順番にタップしていくと、
緑カプセルからは、
『装備:膝当てサポーター』
『技能:高速ブリッジ』
銅カプセルからは、
『職業:槍士』
『衣装:チャイナドレス服』
『衣装:ジャージメイド服』
銀カプセルからは、
『衣装:高性能ボディスーツ』
『装備:駆けっこシューズ』
『装備:強化プラの日本刀』
そしてそして、金のカプセルからは、『装備:指揮官の如意旗』と、『採用:???・朝倉 翔子』と書かれたチケットが出てきました。
……って、朝倉さん……?
「たいへんです、斎藤さん」
「なんだ、どうした?」
「ここに書いてる朝倉さん、ボクの学校の同級生です!」
「なにぃ!? またかよ!」
「ユメヒコくんの学校、すごいね……!」
そこに、タオルをきれいに畳んでビニール袋に入れて自分のカバンに詰めていた善野さんも寄ってきました。
「陸上部の朝倉さんが、どうかしたの?」
「善野さん。このチケットを破ると、朝倉さんが仲間になるのです」
「朝倉さんが? ほんとに?」
あ、そうだ!
すっかり忘れていましたが、
「そもそももう一枚、勧誘チケットがあるんでした」
「そういやぁ、そのせいで引越ししたんだったな」
「色々あり過ぎてすっかり忘れてたね」
ボクは、元々ゲットしていた『採用:???・金村 七奈』と書かれた金チケットを善野さんに見せました。
「えっ、ユメヒコ君。この人も、私たちの学校の人だよ……?」
「そうなんですか!?」
「う、うん。少し前に隣のクラスに転校してきた、読者モデルとかやってる女の子」
「読者モデル?」
「オシャレ好きな若い子向けの雑誌とかに載ってる子だね」
「なんか、イケ好かなさそーだな」
「えーっと、SNSとかにも写真が……、あ、この人だよ」
見てみると、長い金髪のお人形さんみたいに美人な女の子が、ギャルっぽい人たちと一緒にクレープを食べてる写真でした。
なるほど!
「つまり、2人とも、既にボクたちの仲間みたいなものということですね!」
「えっ。……そうかなぁ?」
「そうですよ善野さん! 同じ学校ということは、同じ志のもとに集った仲間ですから!!」
「いや、お前んとこは公立校だろ」
「単に住んでる地域が同じだけでしょ……」
もう!
細かいことは良いんですよ!
「ええーい!」
ボクは、金色チケットを2枚まとめてビリビリーっと破りました。
「お、まとめていきやがった」
「この場合どうなるんだろうか」
さぁ、金村さんと朝倉さん。
どこからでもかかって来るといいですよ!
……。
…………。
………………。
「……あれ? 何も、起きませんね……?」
「あ、ユメヒコ君。また編成コマンドが光ってるよ」
おお、ほんとですね。
どれどれ……?
『現在ロード中です。しばらくお待ちください……▶︎▶︎▶︎』
ロード中??
「あー、ユメヒコくん。たぶんなんだけど、まとめて呼んだから処理落ちしてるんじゃない?」
「そんなことあるんですか?」
「いや、分かんないけど。でも、そのウィンドウってゲーム画面ぽいから、ゲーム的なことが起きても不思議じゃないんじゃない?」
「なるほどー……?」
じゃあ、……待ってたら、そのうち来ますね!
「それならあとはー、これ!」
ボクは、もう1つの金カプセルから出てきた、指揮官の如意旗を出しました。
見た目は、長さが50センチくらいの木の棒の先に小さな旗布がついたものです。
そして旗布には、カタカナのユに丸をしたものが描かれています。
もしかしてこれって、ユメヒコ組のマークでしょうか?
「なんか、バスガイドとかが持ってる旗みてーだな」
「いやけど、指揮官の指揮棒って、こんな感じなんじゃないの?」
「如意旗……。ユメヒコ君、もしかしてだけど、それって伸びたりしない?」
善野さんに言われてむむむっと念じてみると、確かに棒のところがにょいんにょいんと伸び縮みします!
すごい!!
「ほえー、すげぇな」
「あ、それなら旗布のサイズも変わるんじゃない?」
「書いてるマークとか、旗布の色は変わるんでしょうか?」
とかなんとかワイワイやって、この日はお開きになりました。
善野さんは、明日の朝一緒に登校する約束をしてお家に帰り、斎藤さんと深森さんは自分たちの部屋で酒盛り二次会をすると言って帰りました。
そしてボクも、お風呂に入ってお布団に入ってすやぁと寝ました。
『ピロリン♫ 善野 露璃の絆値が+1されました』
『絆値ボーナスとして、単発ガチャチケットを1枚進呈します!』
翌日。
月曜日の朝です。
パチっと目覚めて朝ごはんを食べて学生服に着替えたボクは、善野さんとの待ち合わせ場所であるマンション横の公園の前に向かうことに。
「行ってきまーす!」
そして、今日も楽しいことがいっぱいあると良いな、と思いながら306号から外通路に出たところで、
「はぁー……、早起きダルっ……。んっ?」
隣の307号のドアがガチャっと開いて、長い金髪の美人な女の子が出てきたのでした。




