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018・全裸ガチャで神引きしたのに、詰みました!


 深森さんが残っていたMPで本日2度目のマップ探査をしてくれましたが……、このボス部屋内には、何もありませんでした。


 ちぇっ。


「うーーん。……何もない。……痛ててっ!?」


「え!? 大丈夫ですか深森さん!?」


「痛たた……。いや、大丈夫。この前よりは、全然痛くない」


「本当ですか?」


「うん。今回のは、二徹で耐久ゲーム配信してたときぐらいの痛みだから」


「それ、だいぶ不健康だと思いますけど……」


 善野さんが少し呆れています。


「どうやら反動は、マップ探査に対して来てるみたいだな」


「みたいだね……。前の感じだと、1日に3回使うと一時的に失明するのかな……」


「失明……!?」


「あ、うん。右目がめちゃくちゃ痛んで、2時間ぐらい見えなかった」


「ひえー……!」


「マップ探査は、探索中の1回と、ボス後の1回で留めるようにしないとだね。残りの1回は、緊急避難用かな……」


「深森さん、ボク、前に言ったことはまだ本気ですからね!」


「あ、うん……。大丈夫、3回は使わないようにするから……」


 そんなこんなで、ボクたちはダンジョンを出ました。


 このままボクたちのアパートに戻ろうか、と思ったのですが。


 善野さんがわりと疲れてしまっていて、そこまで歩くのもたいへんかなぁ、という話になりました。


「タクシーでも拾うか?」


「ああ、こういう時に共有資金を使うのか」


「ちょうどあそこにいますよ! ヘイ、タクシー!」


 すると、善野さんが申し訳なさそうに言いました。


「あの、皆さん。実は、私の家がすぐ近くにあるんです。ひとまずそちらで休みませんか?」


 そういうことに、なったのでした。




 ▶︎▶︎▶︎


 善野不動産、という看板のついた建物が、善野さんのお家でした。


 三階建ての建物で、一階部分の窓には物件情報の紙がたくさん貼られています。


 善野さんは店舗部分ではなく、建物隅の玄関口のドアを開けて、中に声を掛けました。


「ただいまー」


「おかえりなさーい」


「ごめん母さん、ちょっとお友達を連れてきたー」


「あらほんと!」


「あ、ちょっと……!」


 慌てる善野さん。

 玄関ドアからひょこっと大人の女性の顔が出てきて、キョロキョロとします。


 ボクは、推定善野さんのお母さんと目があったので、ニコッとしてペコっとしました。


「え、男の子! たいへん! お父さーん! 露璃が男の子連れてきたー!」


「母さん!」


「あら、しかも、お姉さんたちまで。すごいわ、いつの間に露璃にこんな個性豊かなお友達たちが」


「もう! あっち行ってて! 絶対部屋に来ないでね!」


 そう言って、嬉しそうな様子のお母さんを奥に押し込んだ善野さんが、恥ずかしそうに手招きをしました。


「ごめんね、騒がしくて」


「いえ。それより善野さん、お母さんと仲が良いんですね!」


「なんか、善野もちゃんと中学生なんだなって感じ」


「思春期だなぁ……」


「も、もう! 皆まで!」


 善野さんの新たな一面を発見しつつ、ボクたちは善野さんのお部屋にお邪魔しました。


 可愛らしい小物とかクッションとかが置かれたお部屋ですね。

 ベッド脇の棚の中には、小さなビンがたくさん並んでいます。


「あ、それ、もしかしてアロマオイル? 懐かしいなぁ。姉さんが好きでさ、たまに嗅がせてもらってた」


「えっ、深森さんも詳しいんですか! あのあの、深森さんはどの香りが好きですか?」


「えー。僕わりと、ハッカのやつが好きだったなぁ。あと、柑橘系も好き」


「じゃ、じゃあ、これと、これを混ぜて……」


「あ、めっちゃ良い香り〜! 善野ちゃん、センス良いね!」


 深森さんと善野さんがきゃっきゃしています。

 勉強机の椅子に座った斎藤さんが、そんな2人をどこか優しげな目で見ていました。


 そして善野さんが、調合したアロマオイルを加湿器みたいな機械に垂らして電源を入れると、部屋全体がさわやかな香りに包まれました。


「良い香りですね!」


「あ、ありがとう」


「粗茶ですが〜」


 と、ひょっこり入ってきたニコニコ顔の善野さんのお母さんから、お茶とお菓子をもらってしまいました。


「ありがとうございます!」


「あ、母さん! 来ないでってば!」


「ふふふ、ごゆっくり〜」


 そして善野さんは怒ってお母さんを追い出してしまいました。


 クッキー、美味しいです。


「まぁ、晩飯時だから、そんなにゆっくりしても悪いよな」


「善野ちゃんが落ち着いてきたら、僕らも家に帰ろうか」


「ではその前に、せっかく皆揃っているので、ガチャをしましょう!」


 ボクはよいしょっと立ち上がると、靴下を脱いで丸めてカバンの中に。


 学生服の上を脱いで畳んでカバンの上に置くと、ズボンのベルトに手をかけます。


 うーん、しかし……。


「さすがに、クラスメイトの女の子の部屋で脱ぐのは、ちょっと恥ずかしいですね……!」


「いや、当たり前すぎるよ……」


「ユメヒコにも、羞恥心ってあるんだな」


「え!? へっ!? ゆ、ユメヒコ君、何してるの……!?」


 ズボンを脱いで畳んで、ワイシャツを脱いで畳んで、Tシャツを脱いだところで、善野さんの顔が真っ赤になっていることに気づきました。


「善野さん、大丈夫ですか? お顔が真っ赤ですよ?」


「だ、だ、だって、ユメヒコ君が……!?」


「あ、ボクのことは気にしないでください。ガチャをしたらまた服を着ますので」


「なんで一回脱ぐのぉ!?」


「全裸じゃないと当たらないんです!」


「意味分かんないけど、マジだもんな……。あ、カーテン閉めとくね」


「おい、ユメヒコ。善野母が上がってこないか見張っといてやるから、さっさと回せ」


「へ!? へっ!? ええっ!!? ぱ、パンツまで……!? って、ダメダメダメ……、み、見ちゃダメだよ、私……!!」


 最後にパンツを畳んだボクは、ウィンドウを開きました。


 そしてガチャコマンドをタップして、10連ボタンを呼び出します。


「行きますよー、ポチっとな!」


 どぅるるるるるるるるるるん♫


 という楽しいメロディのあと、ウィンドウ上に次々とカプセルが表示されます。


 ポンッ、緑!

 ポコンッ、銅!

 ポコンッ、銅!

 ポンッ、緑!

 バシュンッ、銀!

 ポコンッ、銅!

 バシュンッ、銀!

 ポンッ、緑!

 バシュンッ、銀!


 ときて、最後の一つは、


 ゴロゴロ、……ドドンッ!!


 という雷のエフェクトとともに、キラキラと金色に光るカプセルが現れました。


「やったぁ! 金カプセルです!」


 ボクのワクワクは最高潮です!

 そして、善野さんを見ると顔を手で覆っていました。


「ふーっ、ふーっ、ふーっ……」


「よ、善野ちゃん、大丈夫……?」


「大丈夫です、大丈夫……」


 よく分かりませんが、大丈夫なようです。

 ボクはしっかり服を着直してから、カプセルの開封に移りました。


 低レアのものから順番にタップしていくと、


 緑カプセルからは、

『消費:マナポーション(低)』

『装備:ヘルメット』

『装備:タンポポかんざし』


 銅カプセルからは、

『職業:魔法士』

『衣装:ヘソ出しチアガール服』

『衣装:脇出し巫女服』


 銀カプセルからは、

『消費:ライフポーション(高)』

『装備:鈴鳴り緋扇』

『装備:火の魔導書』


 そしてそして、金のカプセルからは、『採用:???・金村 七奈(なな)』と書かれたチケットが出てきました。


 やった、またまた勧誘チケットゲットです!

 嬉しい!!


【ガチャ最高♡ 金レア最高〜♡】


 ボクはさっそく勧誘チケットを手の中に呼び出しました。


「お、金のやつ。てことは、だ」


「また、仲間が増えるやつかぁ。次の人も、善野ちゃんぐらい良い子だといいんだけど」


「……ふえっ? ユメヒコ君、そのチケット、何……?」


 今回は、知らない名前の方です。

 今ここで破ったら……、善野不動産のお客さんとかで来る感じでしょうかね?


 ふふふ、何度も使ったので、ボクもなんとなくこの後の展開は読めますよ!


「そ〜れ、ビリッとな!」


 ……?


 …………あれ?


「ビリッと……、ビリビリッと……!」


「なんか、全然破れそうにねーぞ」


「えっ? それ破ったら、新しい仲間に出会えるって話だよね?」


「……あ、ユメヒコ君。ウィンドウの、編成ってとこが、ピカピカ光ってるよ?」


 え、ほんとですか?


 善野さんに言われて見てみると、確かに編成コマンドのところにビックリマークが付いてチカチカと点滅していました。


 編成コマンドをタップ。


 すると、こんな表示が出てきました。


『編成及び待機ユニットの()()()()()()()()います。拠点を拡張してください』


 ……拠点を、拡張???


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