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012・隣の席の図書委員ちゃんです!


 朝になりました。

 今日は月曜日、学校に行く日です。


「学校! ひゃっほい!」


 ボクは、クラスの皆の顔を思い浮かべてワクワクし、学生服に着替えます。


 それから、今日の放課後はどこのダンジョンへ行くか相談しようと、斎藤さんの部屋の呼び鈴を鳴らしました。


 ところが。


「あーー。悪りぃ。今日はちょっと用事があってな」


「なんと! 差し支えなければ、どのようなご用事かお聞きしても?」


「……実はな」


 どうやら斎藤さん、今まで一緒に探索してたツレの方々に、正式にお別れを言いにいくそうなのです。


「バカにはされたけど、世話になったのは事実だしな。それに、今後もお前や深森とかと一緒にダンジョン潜るんなら、やっぱちゃんとケジメはつけとかねぇとな」


「斎藤さん……!」


「ちゃんと向こうのパーティーを抜けてきたら、皆で一緒に統括局行って、お前や深森の探索者登録と、……パーティー登録を、しようぜ」


「はい!!」


 そういうことに、なりました。


 さらに、深森さんも。


「僕も、一晩考えたんだけど。やっぱり、配信は続けたいって思ってさ。もう一度勇気を出して、夕方から釈明配信してみるつもりなんだ」


「そうなんですか!」


「心配しなくても、探索者も続けるよ。君や斎藤と一緒にダンジョンに潜るの、……その、楽しかったからな」


「深森さん……!」


「ネットの奴らにどこまで信じてもらえるかは分かんないけど……、ちゃんと君のことも説明する。すごく変わってるけど、一緒にダンジョンに潜ってる、大事な仲間なんだって」


「ありがとうございます!!」


 ということで、深森さんも今日はダンジョンには行けないようです。


 仕方がありません。

 とりあえず学校に行きましょう。


「行ってきまーす!」


 2人のお部屋に向かって手を振ってから、ボクは登校しました。




 ▶︎▶︎▶︎


「皆さん、おはようございまーす!」


 学校に着いてクラスに入ると、ボクは大きな声で挨拶をしました。


「あ、ユメちだ、おはよ〜」


 おはようございます!


「ユメくん、おはよう!」


 おはようございます!


「ユメぽん昨日のスライディング島、見た!?」


 すみません、見てないのであとで良かったところを教えてください!


 クラスの女子たち(32人います)に順番にあいさつをして、それから仲良し3人組の男子たちのところにも行きます。


「おはようございます!」


「お、おお。ユメヒコか」


「ユメヒコ、おはよ」


「なんか、いつになくテンション高いな……」


 そりゃあもう!

 週明けでマブの皆さんの元気なお顔を見たら、とってもハッピーになりますので!


「そ、そうか。……ユメヒコお前、トイレとか、大丈夫か?」


「全然大丈夫ですよ!」


「そうか……。あ、俺たちはちょっと、トイレに行ってくるから」


「はい! お気をつけて!」


 そそくさと教室を出ていく3人。

 3人揃ってトイレだなんて、友情の連れションというやつですね!


 ボクはまだおトイレではないので自分の席に着きましょう。


 すると、




「おはよう、ユメヒコ君」




 隣の席の図書委員メガネガール、三つ編みおさげの善野さんがペコっと挨拶をしてくれました。


「おはようございます、善野さん!」


「ユメヒコ君は、今日も元気だね」


「もちろんです! ボクはいつでも元気ですよ!」


 ボクが両手を上げて元気さをアピールすると、善野さんがふふっと笑いました。


「そうだよね。ユメヒコ君、いつも元気いっぱいだもんね」


「善野さんも、なんだか楽しそうですね」


「うん、ちょっと良いことがあったの」


「ほほう、どのような?」


「えへへ、内緒。ユメヒコ君は、この土日は、……あれ?」


 と、ニコニコしていた善野さんが、不思議そうに首を傾げました。


「ユメヒコ君、なんだか、お酒の匂いがしない?」


「え、そうですか?」


 自分の袖口をくんくんとしてみますが、よく分かりません。


 善野さんにもくんくんしてもらいましたが、善野さんは首を傾げるばかりですね。


「それに、この匂いはなんだろう……? くんくん……」


「……あ、でも。確かに昨日は斎藤さんと深森さんと一緒にお寿司パーティーをしたんでした!」


「お寿司パーティー?」


「はい! 実はボク、この土日でダンジョンに潜って探索してきたんです!」


「え、ダンジョンに……!?」


 ビックリした様子の善野さんに、ボクはこの土日の出来事をお話しします。


「というわけで、真紅のヤギを倒したお祝いで斎藤さんたちとお寿司を食べて、そのあと一緒にゲームをしたのです」


「わ、わぁー……! そうなんだね」


「それで、その時に斎藤さんたちがお酒を飲んでいたので、ひょっとしたらその匂いが残っていたのかもしれませんね!」


「ちなみになんだけど、そのパーティーって、ユメヒコ君のお家でやったの?」


「はい! 少し夜更かししてしまいましたが、とっても楽しかったです!」


「えっと、その一緒にいた2人って、男の人なんだよね?」


「いえ? 大人のお姉さんたちですよ?」


「そう、なんだ……」


 とか話していたら、担任の先生が入ってきてホームルームになりました。


「お前らー、来月頭には一学期の期末試験があるからな。しっかりテスト勉強しろよ。ここでサボると、内申点に響くからなー」


 はい、がんばります!


「ユメヒコー、お前の元気の良さは素晴らしい。あとは、成績をもっと高めることだな」


 はい!!!


 そんなこんなで授業に入りましたが、なんだか隣の善野さんが、ずっとこちらをチラチラ見てきたりソワソワしたりしています。


 はて?


 体育の時間も、ボクと仲良し3人組男子でバドミントンをしていると、バレーをしている女子たちのほうから、善野さんがこちらを見てきています。


 ボクが手を振り返すと、慌てて目を逸らされました。


 はて??


 給食の時間でも、いつになく早く食べ終わってお友達たちとどこかに行ってしまった善野さん。


 たまたま、廊下を歩いていたところ、空き教室の中でお友達2人とヒソヒソ話をしている善野さんを見かけました。


「それは、ツユちゃんが頑張らないと」


「ツユちゃんしかいないでしょ」


「で、でも……」


 少し気になりましたが、ヒソヒソ話を聞かれたくはないでしょうからボクはくるっとターンします。


 代わりに、屋上でジュースを飲んでいた仲良し3人組男子のところに行って、皆でトランプをして遊びました。


 そして、放課後。


「ユメヒコ君、ちょっといいかな」


 と、善野さんに呼び止められました。


「なんでしょうか?」


「その、えっとね……」


「はい」


「……その、実はね……」


 しかし、モジモジしてしまって、なかなかお話が出てきません。


 後ろのほうで見守ってくれているお友達たちが、「早く」とか「ふぁいと」とか言っています。


 うーん?


「あ、そういえば」


「え、何……?」


「チケットのことを忘れてました」


 ボクは、ポケットに入れっぱなしにしていた勧誘チケットを取り出すと、その場でビリッと破ります。


 すると、


「えっ、あっ、ユメヒコ君!」


「はい!」


「その、ダンジョンに潜った、って言ってたよね」


「言いました!」


「今日も、潜るなら、その、……私も」


「善野さんも?」


「私も、一緒についてくね!」


「いいですよ! 2人で行きましょう!」


 ということで、今日は善野さんとダンジョンです。


 楽しみ!




「……え? 2人で!?」


「はい、斎藤さんたちは来れませんので!」


「〜〜〜〜っっ!? ……不束者ですが、よろしくお願いします!」


 はい!!


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