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47_ちょっとそこのダンジョンまで_1

「はい。次の方どうぞー!」

「これを、頼む。」

「はい。討伐完了報告ですね...。では、こちらの機械に、ステータスカードを翳して下さい。狩ってきたのは...ホーンラビット3匹...ですが、申し訳ございません。これでは、これだと75パクロですね...。」

「はぁ?なんでだ!150パクロはするだろう!」

「三匹とも、ぐちゃぐちゃなんですよね。これだと、皮は使えないし、肉も売れない。魔石はなんとか取れそうなので、討伐の達成報酬としての費用と魔石の金額のお支払いのみになります。」

「三匹は三匹だろう!」

「ええ、ですから、三匹分の討伐報酬はお支払いいたしますよ。」

「いやいやいや!」

「いいですか?討伐報酬と狩った魔獣を売ったお金合わせれば、150パクロになりますが、今回あなたがお持ちいただいたホーンラビットは、売り物にならないのです。売り物にならないものは、こちらとしても、お支払いする事はできかねます。」

「そんな...。」


冒険者のステータスをチラッと確認すると、銅印だった。

しかも、前回の試験で合格したて。


銅印になったばかりってことは、狩りも初心者か。



討伐は、ただ魔獣を狩るだけでは駄目なのだ。冒険者に支払われる報奨金の内訳は、討伐とその魔獣を売った金額の両方が合わさって出来るもの。つまり魔獣自体も商品になる為、綺麗に狩らないと報奨金が満額支払い出来ないのだ。一応その旨を記載してあるのだが、冒険者の始めたばかりの彼らは、金額内訳を気にせず、ただ討伐して完了と思い込んでしまっている者が多い。


「では、こういうのは、どうですか?今回特別にプラス20パクロお付けいたします。」

「え?良いのか?」

「ただし、上の研修センターの講習の一つである“魔獣の上手な解体方法Ⅰ”を受講する。ちなみに、この講習は110パクロです。」

「ケッ、有料じゃねえか。しかも、それじゃあ、俺の持ち出しの方が多いぞ!」

「まあ、一時的にそうですが、この講習を受けた後なら、間違ってもホーンラビットをこのような惨劇にならずに売れますので、150パクロ満額で今後お支払いできますよ。まあ、今後このような独学で出来るというなら、お止めいたしませんが、この講習を受けておいた方が、近道だと思うんですけどね。」

「...。チッ、じゃあ、それで。」

「はい。ありがとうございます。では、申し込み用紙はこちらに。費用は...カードの残額がないようなので、報奨金からの相殺になります。なので、差し引き...10パクロですね。はい、どうぞ!」

「...。」



「相変わらずね...。」

と隣で接客していたミシカがつぶやく。

「冒険者は技術が上がる、ギルドには質の良い皮と肉が手に入る。Win-winの関係じゃないか!」

「そうなんだけどね。なんというか、鮮やかというか、有無を言わせないというか。」

「まあ、タマタマだよ。たまたま。」

「たまたまねぇ。」



「よお!ライガじゃねぇか!カウンターで会うのも久しぶりだな。」

「おや、ジークさん。お久しぶりですね。」

「ちょっとばかし護衛でこの街を離れていたからなぁ。」

 と自分のステータスカードを機械にかざす。

「なるほど。では今日は任務完了報告ですね。」

「そういうこと。これが依頼主からのサインだ。」

「はい。ありがとうございます。報奨金はそのまま積み立てでよろしいですか?」

「ああ、50だけ現金でくれるか?今日の飲み代だ。」

「承知しました。」

「そうそう、護衛の時に噂で聞いたんだけどよ。」

「はい?」

「ウルノの森も今あんまり元気がないらしいぞ。」

「え?」

「ほら、お前なんか言ってただろ!クワッツの森に元気がないとかなんとか。」

「ええ。」

「ウルノの森もなんだか、最近元気がないらしい。まあ、俺にはいまいち“森の元気”とやらが一体なんなのか、わかんねぇけどな。」

「そうですか。ありがとうございます。」

「ああ、また何か仕入れてきたら伝えるよ。」

と言って、ジークは50パクロを握りしめ、クエストカウンターを去っていった。


森に元気がない...

樹木の病気が流行ってる?土に元気がない...?なんだろうな。




「ジェイクさん!」

「おう!なんだ、ライガ!」

「魔獣肉を使った料理の反響ってどうですか?」

「ああ、金額も抑えられるから、料理の量も増えて、中々好評だぞ!」

「そうですか!それは良かった。売り上げもどんどん上がっているみたいですしね。

ところで燻製の方は、今どんな感じですか?」

「...。」

「え...と?」

「なぜか、毎度消し炭に...。」

「なぜ!」

「わからん。冒険者として、方々回っている時に、野営で作ってた時は、上手くいってたんだがな。それが、なぜか今は毎回消し炭に...。」 

「冒険者の時と今と何か条件変わってます?」

「なんだろうな。場所、装置、時間帯位か?」

「なるほど。今度その条件を変えて、ちょっと試してみていただけますか?」

「そうだな。そうしてみるよ。今日は、何か食べていくか?」

「そうですね。では、ロックバードのパニーニとコーヒーを。」

「了解!」



「そうだ。ライガ。今度イザークさんのお店に行ってみないか?」

とライガがオーダーした軽食を渡しながら、ライガに聞く。

「誰でしたっけ?」

「あれだよ。燻製器買った時に、コマドリ亭で倒れた人。飲み屋やってて、今度行ったらサービスしてくれるって言ってたじゃないか。」

「ああ。」

「他の飲み屋で何出しているか、俺も気になる所だし。彼なら、この前の恩もあるから、色々教えてくれるんじゃないか?」

「確かにそうですね。」

「なんだ、お前ら。またデートの相談か?」とジークがまた“ちゃちゃ”を入れてくる。

「はいはい。」

チラッと、遠くでキャロルがキラキラした目でこちらを見ていたが、見なかったことにした。

「なんだ、ライガ。ノリ悪いな~。」

「ジークさんこそ、今日、どこかに飲みに行くって言ってたじゃないですか?まだ、ギルドにいたんですか?」

「まあな。バール爺と話してたからな。」

「ああ、なるほど。」

「お、ジークも一緒に行くか?ライガと飲みに行く約束なんだが。」

と言いながら、手でクイっと飲むしぐさをする。

「おっ、いいね~。今日これからか?」


「いや、さすがに...。」

「俺だったら、今日早番だから、次の鐘で上がれるが。」

「フレッドはどうするですか。」

「一回帰って、お隣さんにお願いしてくるよ。」

「おいおい。」

「まあ、たまになら良いだろう。そんなに遅くならずに帰るよ。」

「良し!決まりだ!今日決行だ!」

「ええ~!?い、いや、俺は、今日やらなければいけない仕事が!」

「ここんところずっと、お前残業してたろう。」

「そうだそうだ。お前、たまに息抜きは必要だぞ!」



た、確かに残業ばっかりだ。

しかも、飲みに行くことはたまにあったとはいえ、この五年間、家とギルド(職場)の行き来きのみと、実感したばかり...


し、しかし、まだやらければいけない仕事が。

いや、早めに切り上げて、飲み終わった後にもう一度ギルドに戻って仕事するか。

もしくは、いつもより早く起きて、早朝出勤もありか...

とブツブツと社畜のような考え方をしていたライガであった。


ライガの心の揺れを感じ取った、ジークとジェイクは、もう一押しと、にんまりしながら、かわいいかわいい弟分が、仕事一辺倒にならないように、駄目押しの言葉を考えていた。


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