48_ちょっとそこのダンジョンまで_2
気持ち悪い...。
完全に飲み過ぎた。
ジークの奴。飲む量多いし、拘束時間も長いし...
冒険者は、なぜ皆、あんなに飲めるんだ!
しかも、無駄に長い!
とかつて自分も冒険者だった事は棚にあげ、冒険者に毒を吐くライガ。
結論から言うと、昨晩、ライガはギルドに戻る事は出来なかった。
イザークがお礼だと言って、わんさか酒を奢り、これに部外者であるはずのジークハルトがここぞとばかりに飲み始めた。早めに解散する予定だったはずが、だいぶ“良い感じ”で酔っていたジークをとりなすのが、とても面倒で、結局、ジークハルトがトイレに立ったのを見計らって、ジェイクには、帰ってもらい、ライガが残る形となり、ジークハルトに最後まで付き合わされた結果、ライガが家に辿り着いたのは、日を跨いでからだった。
イザークのお店は、魔獣肉をふんだんに使ったおつまみが売りだったらしく、ジェイクは、色々とイザークに質問をしていたので、今後のジェイクのレシピの幅が広がったという事で良い事にしようと、心を修めたライガであった。
イザークさんのお店はおいしかった。雰囲気も良かった。
だが、ジークを連れて行ったことにより、次回から行きづらくなったじゃないか!
いや、ジークは最後まで陽気だったが、如何せん昨日は、イザークさんのおごりだった為、相当な金額をタダで飲んでしまったのだ。
い、行きづらい...。
いや、逆に沢山通って、売り上げに貢献した方が良いのだろうか...。
まあ、前回のアルフレットの飲み会のように、リタ達の絡み酒もなければ、娼館へのお誘いもなかったから、良しとしよう!うん、そうしよう!
だが、如何せん、二日酔いで気持ち悪い。
ライガはとりあえず、売店で下級ポーションを買い、食堂でスープを飲むことにした。
そして、今日こそは、引継ぎに必要な作業をしよう!そうしよう!
「あら、二日酔い?」
「ああ、リッテ。なんだか、最近君に会う時は、二日酔いの事が多いな。」
「ふふ、そうね。ちなみに、今日は残念ながらスープはこってりとしたポタージュよ。どうする?」
「重そうだね...どうしようかな...いや、とりあえず貰うよ。」
「了解。おチビちゃんの分はどうする?」
「う~ん、俺の分を少し与えて、良さそうだったら、考えるわ。」
「オッケー!じゃあ、準備してくるわね。」
何も口に入れないよりは、ゆっくりでも何か入れた方が良いだろう。
食堂の窓から降り注ぐ光を、とても眩しく浴びながら、ポータージュをゆっくり胃に流し込んでいると、エントランスでキョロキョロと誰かを探している、壮年剣士が見えた。
ふと目が合ったと思ったら、うれしそうにこちらに向かってくる。
なんだか、デジャブを感じる...。
「おはよう、ライガ君。」
「おはようございます。ブノワ先生。ひょっとして、私をお探しでしたか?
「そうなんだよ。今日はね、“剣術Ⅰ”の卒業検定でダンジョンに潜る予定だったんだけど、助手が急に今朝体調を崩してしまってね。急で申し訳ないんだが、引率の手伝いをお願いできないだろうか。」と申し訳なさそうに聞いてきた。
これから朝ごはんを食べきって、試験内容を確認して、着替えて、長剣は取りに行く暇がないから、またギルマスから借りて...。
うん、さよなら、俺の引継ぎ書作成日デー。
そして、今度こそ、ちゃんと自分のロッカーに長剣を入れておこう。
「はい。かまいませんよ。何時にエントランス集合でよろしいでしょうか?」
「ああ、それが次の鐘で出発なんだ。」
「了解です。ところで、先生。交換条件とは言ってはなんですが、二日酔いに聞く薬って持ってませんか?」




