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行きたい大学は、今の私には難しい。塾に通えばまだ間に合うだろうと学校の先生は言う。そのお金がきっと家にはない。無理を言えば払ってくれる事は承知しているけれど、その間はお店の手伝いも出来なくなる。大学費用は奨学金を借りるつもりでいる。父と母はきっとそれを拒むだろう。少しでもお金をかけずに大学に行くには、多少の妥協が必要だった。
行きたくもない大学になんか行っても無駄だぞ。
父がそう言うと、何故か常連客が激しく頷く。
そうそう、大学っていうのは目的を持っていく所なんだ。それがないなら働くか、どうせ行くなら一番レベルの高い大学に行くべきだね。
常連客の言葉に父と母が頷く。
本当に行きたい大学があるなら、目指すべきだよ。もしもやる気があるなら、私が教えてあげようか?
常連客は私にではなく、父に向かってそう言った。
有り難いお言葉ですが、それはこの子次第ですから。
その言葉に常連客は笑顔を見せる。
するとテーブル席で本を読んでいたたまに見かける若い客が声を出す。
どこを目指しているんですか?
私に対しての質問だとは理解出来ずに沈黙をする。若い客はキラキラした瞳で回転するレコード盤を見つめていた。
そう言えば聞いた事ないわよね。
母がそう言うと、父も頷く。
言わないのかい?
常連客が目配せをしながらそう言う。




