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 父のレコード集めは学生時代から始まっていて、当時で既に三千枚は所有していた。古い物から新しい物まで、人気があってもなくても関係なく、ロックでもアイドルでも演歌でも、気に入ればなんでも構わない。それは音だけの問題ではなく、ジャケットが好きだったり、名前に惹かれたり、単純に安かったからだったりと様々な理由で手にしている。今では三倍を超えていて、一万枚を超えるのもすぐだと思う。

 結婚を機に製造業の会社員になった父だけれど、それ以前はレコード屋とバーで掛け持ちアルバイトをしながら小説家を目指していた。

 母は外国人で、日本料理のお店で働きながら日本語学校で勉強をしていた。

 何故なのかの理由は謎だけれど、父は突然日本語教師を目指してヴェトナムに渡った。

 そこで二人は出会ったのだけれど、詳細はあまり語ってくれない。運命ですと言う日もあれば、あれは失敗だったとか、夢の途中だったのよとかの訳の分からない言葉で煙に巻く。

 結婚後の七年間、二人は楽しい時間を過ごしていた。今でもよくその頃の話をしては二人いちゃついている。

 貧乏だったけれど、毎日が楽しかった。あれ程の自由はもう味わえない。

 お金がないのは苦しいけれど、それ以上の楽しみがあるのよ。今とは違う幸せが、そこにはあったの。

 幸せそうな二人の笑顔に、私ははにかみ目を逸らす。

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