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いやぁ、今日も勉強頑張ってますね。
姿を見せた教授は、少しその表情がやつれて見える。
お疲れ様ですと奥野さんが教授を席に誘導する。すっかりアルバイトが板に付いている。
と思ったら向かいの席に腰を落とし、自分のも含めて注文を始める。
二人の会話は聞こえなかったけれど、深刻そうにしていた。時折聞こえるため息と笑い声。想像するのも意味がない空気感を漂わせる。
想像力なんて夢の中。あれこれ夢想しても、現実は遠い。
想像力がない人程想像する。
教授がよく言う言葉だ。
そうかも知れないとの勘違いを真実かのように思い込む。だろ? そうだろ? そんな言葉で未来は開けない。
想像なんて空想なんだ。正解じゃないんだよ。
教授の言葉に戸惑う私は、だったらいくら考えも意味がないの? そんな言葉が溢れる。
答えが出ないから想像するんだよ。正解じゃないと分かっているから実験をするんだ。それが正解である可能性を求めて実験を繰り返し少しずつ高めていくんだよ。だからね、私達に想像力なんて必要ないんだ。ただただ考えてそれを模索すればいいだけだから。
なんだが分からなかったけれど、妙に納得した。
私は余計な事を考えず勉強を進め、受験に挑んだ。最近教授が姿を見せないのは大学関係者としての配慮だと勝手に想像をする。奥野さんは当日も会場まで付き添ってくれた。
国立大学は面倒だ。一回の試験では終わらない。
試験後に迎える卒業式。結果が分からないままの日程に不安が襲う。
卒業式に両親揃って来たのは私の家だけだった。
それは嬉しかったけれど、恥ずかしくもあり、何故か二人の隣に佇む中川さんが祖父感丸出しで可笑しくも誇らしくあった。




