8月9日 12時29分 工魔科学帝国マンス中枢紅魔城 禁書庫~「彼は1229《いつ着く》かな?」。このゲームは犯人を当てさせない密室殺人ミステリー異能力バトル。
爆発のような地鳴りが僕の足元に伝わる。
「誰かが死んじゃったのかな?マスター?」
今言葉を発したのは、僕の隣にいる、最強であり最狂であり最恐である三魔卿の一人の最恐担当フォニイ・フォニイさん。しかし、今は三魔卿の最強担当轟さんの姿になっている。理由は単純にして淡白かつ簡潔、造花の加護スキル【偽造された虚像と想像の創造】を発動し轟さんをフォニイさんはコピーした。
この能力に関して簡潔かつ淡白かつ淡々と説明すれば、ポケモンのメタモンを想像してもらえれば手っ取り早い、要は見た人間をコピーできる。その人物の加護も力強さも魔力も全部。これだけ聞くと全知で全能で最恐に聞こえるが、実際最恐ではあるが最強ではない。その人物のすべてをコピーは出来るが記憶や人格はそのままなのでその人物を操る練度のようなものをコピーすることは出来ないのだ。
「じゃあ、ちょっと外の様子を見てくる」
「いったんな」
そういった轟さんをコピーしたフォニイさんとオリジナルの轟さんは禁書庫から出て行った。
「ああはい、、、」
僕はゆったりとぐったりと答えた。
◇◇◇
少し時がたち二人の轟さんが戻ってきて、今この工魔科学帝国中枢紅魔城禁書庫には三人の轟さんがいる。つまり轟三だ。つまり轟轟轟だ。
理由を説明しよう。まず一人目の轟さんこれは先ほど戻ってきた、オリジナルの轟さん。彼はフォニイさんが支配の勇者である僕を仲間に引き込めた場合という事を制約と誓約とし工魔科学帝国第一王子ネロ・グリフィスを裏切るという約束をネロさんから僕の処刑が知らされた時にフォニイさんと交わしていたようだ。
ちなみに帝国第一古代結界の触媒であり媒体である十字架は今彼が持っている。ネログリフィスさんから有事の際はこの禁書庫を守るために渡されたらしい、そのせいで有事になることは彼もまだ知らないだろう。否、さすがに知らないと思いたい。
二人目の轟さんは先ほど戻ってきた固体。
そして三人目の轟さんそれが僕だ。僕のジョブである【〇〇のご主人様】のスキル【支配者】は、相手が自分に服従を誓っていた場合、対象のスキルの感覚を共有した遠隔発動と対象のスキルの借用をすることができる。今回はスキル【借用】によってオリジナルの轟さんをコピーしているフォニイさんのスキル【偽造された虚像と想像の創造】を借用することによって、僕を三人目の轟さんとして降臨させ降誕させ構想した。その名の通り早々に想像し創造した。
ちなみにレイドさんに関しては、野次馬的感覚に基づいてこの場でネロ・グリフィスさんと轟轟轟の戦いを見守るらしい。
正直、轟轟轟の力を発揮するには四方50mほどのこの四角形のリングでは失格系だと思うのだが、それについては問題ないとオリジナルの轟さんが言っていた。
「勝てるか?」
「どうなんですかね?まあ僕たちのやることは変わらないでしょ。裏表ありのおもてなし。裏切り」
「まあそうだね、彼は1229かな?、、、」
オリジナルの轟さんは特にそれに対して特異なことをしゃべることはなかった。
話をすれば、カツンカツンというネロ・グリフィスが履いていた驕奢で豪奢な革靴の音が禁書庫迄鳴り響く。
「来るね!」
ゆったりとドアが開かれる。そしてその瞬間禁書庫に入ってきたのは、予想通りであり想像通りでもある人物工魔科学帝国第一王子ネロ・グリフィス三世さんだった。
ネロさんが入ったその瞬間オリジナルの轟さんが十字架を十分な高さに掲げる。
「光の導きは我に、結界の成り立ちは魂を素とし、ここに明滅する命滅契約とする。帝国第一古代結界施行」
轟さんが轟くように詠唱する。
すると光の柱のようなものが禁書庫を取り囲む鳥かごのように展開される。それは点でもなければ線でもない円柱型の面だ。
三人いる轟を見ても全くオドオドと驚くことはなく、ネロさんは壁の後ろの結界に軽く触れると顔がゆったりとほほ笑む。ネロさんはその表情とは対照的にこちらに素早く近づいてくる。
「なるほどね、さっき城の正門で会った轟はそういうブラフか、、、そしてこの状況は轟とフォニイそれに支配の勇者の能力の合わせ技か。面白いね、本当に君達三魔卿は僕の最恐にして最低の傑作だ。君たち三人の内どれが本物なのかな?いや違うなどれが本質なのかな。」
この人はこの問題の本質に気付き僕たちを傷つけるのが速すぎる。イカレテイルいるくらいに狂乱的で早く硬く辛く丸い答えだ。固体をいきなり気体に解凍するような答えをいきなり答案用紙も見ずに期待通りの解答をするようなものだ。
この場合の問題の本質其れは、、、
「僕が殺される前にフォニイにアルカディア・キャンセルを当てれば、このゲームは僕の100対0。簡単で淡々としていて面白い犯人あてだな、、、」
感心するように考えこむようにネロさんは言った。
ああ正解だよ、ネロさんはマジでファックだ。僕は心の中でそう唱えた。轟さん本人に聞いたところによると、轟さん一人でネロさんに勝つことは出来ないらしい。そのことはネロさんも当然知っている。そしてこれも轟さんに聞いたことだが、ネロさんの聖者の加護スキル【アルカディア・キャンセル】は触れながら発動した対象の加護を一分間使用停止にする。一日の発動可能上限は一度のみ。
つまりフォニイさんにネロさんのアルカディア・キャンセルを当てられた場合僕の支配の借用が同時に無くなる。そうなれば僕はただの幼子。言葉の通りに赤子同然。そこまでいけばクオト・エラト・デモンストランドゥム、轟さん一人で戦う場合と同様に童謡のように動揺することもなく当然のように負ける。
このゲームは犯人を当てさせない密室殺人ミステリー異能力バトル。ここを隠し切らないと負ける。ここまでの伏線と布石が水の泡。
「逆に隠しきれれば勝てる可能性もあるってことだろ」
僕は轟くように轟いた。




