8月9日 12時29分 工魔科学帝国マンス中枢紅魔城城下 噴水広場の演説台 帝国第三古代結界の跡地~「私はね、私の命が1229《いつ尽く》かずっと考えていたの?私はボマーボマよ」
六魔女の一人である、赤髪の坊主頭の少女が滔々とそれでいて浩々と天海衆第三代総大将ラティオ・csに向かって言葉を発する。
「あなたはネロ・グリフィスさんの生涯の目標の障害ですか?」
「うん」
「あなたはネロさんより強いですか?」
「うん」
ゆったりかつ、まったりとだが全く迷いなくラティオは言った。
「そうですか、、、」
それを聞き届けた赤髪の坊主はゆらゆらフラフラふわふわと近づいていく。
「おい待て、ヒミコ!」
六魔女の一人であるジャンヌは自殺をする友達を止めるみたいに言った。しかしその言葉に振り返ることはせず、、、
「私はね、私の命が1229かずっと考えていたの?私はボマーボマよ」
それだけ言って、ラティオに向かう歩みを進めていく。
彼女はラティオの知覚できる距離に近づくと、ラティオを親に甘える赤子のようにがっしりとどっしりとちゃっかりと裸締めの体制と体勢で抱きしめる。ラティオはそれに対して振り払うわけでも薙ぎ払うわけでも無くただ見ているだけだ。
「自爆の加護 スキル【ボマーは私だ】」
ヒミコがそういった瞬間、勇者ラルフと六魔女そしてラティオのいた噴水広場は光に包まれる。
その後ラルフたちを驚かすようにおどろおどろしく襲ったのは、衝撃と熱。それらが辺り一帯を一体何の恨みがあるんだというくらいに包み込む。その破壊的衝動に身を任せた衝撃は建物も空気もそれら全てを風前の灯火がごとく吹き飛ばした。
しかし次の瞬間トンネルを抜けるみたいに光が晴れた時、夕立がやむみたいに光が差した時、そこには相も変わらず愛想のない顔の龍人族が一人、衝立みたいに立っていた。まるで何も起こってないみたいに、まるで何も怒っていないかのような真顔でラティオは立っていた。
「自爆程度で僕との力量差が埋まると思っているなんて侵害で心外だな、、、」
軽くついた煤を払いラティオはゆったりと言った。
「無駄死に。自殺行為だよ。もう死んでるけど、、、」
六魔女たちはそれを見て唖然としながら愕然とする。
「下がっていろ御下がり青少女たち、、、」
ラルフはそういうと、ゆったりと首の骨を鳴らしながらラティオがしっかりと知覚できる距離に近づく。
「勇者の抜け殻、もぬけの殻、セミの抜け殻。帝国に運命を設定され決定され徹底された人間って自殺快楽者なの?」
ラティオはゆったりと挑発するようにロン毛勇者ラルフに挑発した。
「生憎、今は勇者の抜け殻ではなく、勇者本人だよ。ラッティー」
「ああそう、、、よくわかんないけど僕はインドカレー屋さんになった覚えはないですよ、お姉さん、、、」
ラルフは歩みを進める。それに対してラティオは先ほどとは違い腰にかけた長さ2mほどの太刀に手をかける。
「一刀流の一等竜スキル【殺人龍 立浪】」
鞘から出さずにラティオはラルフに対してその太刀をふるう。龍のような紋章がラルフに向かって伸びる。すると、勇者ラルフの体は腰の部分から一刀両断。否、一刀龍断される。
ばったりとぐったりとゆったりとラルフの体はジェンガが倒されるみたいに上半身と下半身が切り離されて行ってしまう。
上半身と左様なさようならをした、ラルフの下半身が号泣するみたいに剛胆に血を噴き出す。
「勇者ラルフだったのか?はわからないけれど弱いな。さすがに、、、」
ラティオはその死体に対して立ち話もなくふわりふわりふわふわと立ち去ろうとする。
しかし、一刀両断したはずのラルフの下半身が緑色の光を発し始める。すると切り離したはずの上半身と下半身がまるで逆再生でもされるみたいに、戻っていく。それはゆったりともしていないし、まったりともしていない。素早く硬く早く丸く治る。
「今ので勇者を殺したと思ったの?それは少し虫が良すぎるだろ。こんなかわいい女の子を無視すんなよなラッティー。もしかして天海衆第三代総大将のラッティーって真っ二つにすれば人を殺せるなんて思っちゃってるちょろい人?」
「無詠唱の生命回復魔術、禁術ザーリクか、、、強くてニューゲームとか勇者がすることじゃないな。ずるいんだねお姉さん、、、」
「私はねただの勇者じゃないんだ。殺さなければ死なない勇者だ、Mr.生命のルールブック。もしかしてさっき魔法少女に抱きつかれて興奮しちゃったのかな童貞君?」
「僕ってさ、あんたみたいなウザ可愛いババア結構好きなんだよね、、、」
「マジで脈あり!あざーっす!イケメンの貞操ゲットだぜ」
そんな話をしていると帝国の中に轟くように「フォン」という音が響く。その瞬間ラルフたちの見上げる先である。紅魔城の中心禁書庫のあたりから先ほどまでと比べれば小さな小さな結界のような光の円柱が上がる。
「帝国第一古代結界?それはまだ発動しないはずだろ」
ジャンヌはおどろおどろしい事態に驚くみたいに声を上げた。
しかし目の前にいる化け物二人は特にそれに対して特異な気持ちは抱いてはいないようだった。




